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2014年2月25日 (火)

一般担保付社債があるから、東京電力を破たん処理すると、被害者の損害賠償請求権に迷惑がかかる、というのは嘘八百だ

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、金融界の代表的業界誌『金融財政事情』(2014224日)の特集「今後の電力ファイナンス」に掲載されました「電力会社への金融はどう変わっていくのか:電力システム改革と原発問題を巡る論点整理の試み」という記事で、著者は『金融財政事情』編集部の人間です。この週刊雑誌は、金融業界にあっては、いわゆる市場原理主義の立場から様々な制度改革や業界動向を他誌に先駆けて報道する傾向にある、業界誌としては斬新的な傾向のある雑誌ですが、こと電力関係となると、とんと議論が陳腐化するようです。金融業界全体として「政治的なことに弱い」「支配権力に対しては、完全服従するか、あるいは服従しているようなふりをして避けて通るか」のようなパフォーマンスが多いのですが、この記事には多分にその傾向が出ているように見受けられます。金融界の一つの支配的な認識、ないしは問題整理として、参考にはなるでしょう。

 

 ところで、この小レポートには、次のような記載がみられます。ちょっと注目です。いわゆる一般担保(ゼネラルモーゲージ)付債権の扱いの問題です。

 

 まず、よく言われていることですが、

「東京電力が福島第一原発の事故後も法的整理をされなかった理由として、①所管の経済産業省が法的整理下での電力の安定供給に自信をもてなかったこと、②財務省が賠償を含む事故処理費用を税金ではなく電力料金で賄うのを望んだことに加えて、①法的整理になると社債権者を中心とする一般担保権者に損害賠償債権が劣後することが指摘されているからだ」

 

 しかし、これが、どうも東京電力をゾンビ状態のままで生き延びさせるための方便であることが、次のような記述から推測できます。

「一般担保付社債を発行する一般電気事業者が分社化した場合、本体から法的に分離した事業の資産に対して一般担保が及ばなくなることから、既存の社債権者等の保護をどのように図るかが問題になる。東京電力はこの点、事業子会社が連帯債務を負うかたちを避けて事業子会社の財務的な自由度を確保するとともに、事業子会社が持株会社に対して一般担保付社債を発行し、持株会社に残る既存社債権者等の一般担保が間接的に事業子会社の資産に及ぶように配慮する仕組みを示した。」

 

 つまり、会社の資産を分割しつつ会社分割をすれば、一般担保付社債の債権を切り離すことができ、一概に「法的整理になると社債権者を中心とする一般担保権者に損害賠償債権が劣後する」ということでもなさそうだということです(しかも東京電力は、一方で被害者向けの賠償・補償を打ち切ったり値切ったりして、悪質な踏み倒行為を繰り返しているにもかかわらず、他方では、こうして分社化した子会社資産を間接的に担保として、わざわざ再提供することで、一般担保付社債権者の債権の安全=返済確実性を担保しているのです。社債権者”さまさま”で、被害者”さようなら”、の断固とした姿勢です)。

 

 しかし、そこまで言わなくても、東京電力の現状のバランスシートは、債務が一般担保債権の社債と、無担保を中心とする金融機関貸出の2つで大半を占め(各1/2ずつ)、それに簿外債務として損害賠償請求債権が巨額に金額未確定で存在している、という状態ですので、東京電力の現有資産のうち、送配電網に見合う資産を一般担保付社債とマッチングさせて東京電力本体から切り離せば(一部債権放棄を求める)、東京電力の債務返済能力を阻害するものではありません。

 

 そして、残った東京電力本体で、金融機関の無担保債権を債権放棄させ、株主出資金を100%減資してやれば、被害者向けの損害賠償支払いのための資産=資金原資は残ることになります。一般担保付社債があるから、東京電力を破たん処理すると、損害賠償請求権が劣後して支払いが受けられなくなる、などということはありません。しかし、福島第1原発事故で被害を受けた方々の損害額は超巨額ですから、東京電力の現有資産や将来利益からだけでは、とても満足な賠償・補償はできそうにありません。当然、加害者・東京電力に並んで事故の責任者である国が、東京電力を法的に破たんさせ(会社更生法)、今申し上げた債務整理を行うとともに、この被害者の損害賠償をまず立て替えて、被害者の一刻も早い再生・復興を保障するのが本来の在り方です。しかし、この当たり前のことを、国は事故後3年もたつというのに、いまだに実行しようとはしないのです。財務省が猛反対をしているからだと、巷では噂されております。

 

 既に国は、東京電力に対しては過半数の株式を握る株主でもあり、事実上の東京電力のオーナーです。東京電力の行う理不尽な行為は、事実上、国の行為とみなして間違いありません。従って、賠償や補償の問題についても、日々マスコミが伝えるような出鱈目=被害者切り捨て=賠償金不払い、を続けておりますが、それは経済産業省をはじめ、国がそれを容認しているということを意味しているのです。許しがたいものがあります。

 

 それから、同じPDFファイルに、もう一つ「法的整理における損害賠償債権の地位」という、早稲田大学の法律の先生が書いたレポートがあります。そこには、上記に関連して、次のような記述があります。

 

「民事再生法や会社生法には、同じ無担保債権でも債権の性質を考慮して再生計画や更生計画で異なる弁済条件を定めることを許す根拠となる規定がある。1970年代に大規模な火災を発生させた大洋デパート(熊本市)の会社更生事件では、実際には事業体の清算を内容としながら、破産ではなく会社更生を選んだ。これは、火災被害者の損害賠償請求権を他の債権より優遇するためだ。大洋デパートの更生計画では、更生担保権は元本の14%免除、一般更生債権のうち損害賠償請求権は元本の19%免除、その他の更生債権は元本の80%免除という取扱いとなっている。」

 

 被害者の損害賠償請求権を優先させて倒産処理を行った事例として、熊本市の大洋デパートの例があることを述べているくだりです。先行事例はちゃんとあるのです。東京電力を破たん処理して、関係当事者にきちんと相応の責任負担をさせるとともに、一般担保債権を適切に処理しながら、損害賠償請求権を守って賠償・補償していく道は、しっかりあるのです。要は国のやる気の問題です。一般担保付社債があるから、東京電力を破たん処理すると損害賠償請求権者に迷惑がかかるのでできない、というのは、根拠の全くない、実にいい加減で不誠実極まりない「方便」「逃げ口上」にすぎないのです。

 

 「逃げ口上」の筆頭格=茂木敏充経済産業相と経済産業省に批判を集中いたしましょう。茂木敏充経済産業相は、栃木県足利市を選挙区とする(栃木5区)衆議院議員です。元日本新党だそうです。あの細川護煕の日本新党です(やはりろくでもないのが、周りにいるのですね・いたのですね)。まず、取り囲んで、みんなで落選させてしまいましょう。お前は、何で原発事故の被害者を助けないで東京電力を助けてんだ、馬鹿野郎と、みんなで言いましょう。経済産業省の方は、かつての大蔵省のごとく、解体してしまえばいいのです。

 

●茂木敏充 - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8C%82%E6%9C%A8%E6%95%8F%E5%85%85

早々

 

<追1>院内集会「【2-21】 原発回帰でいいの?!エネルギー基本計画に各界から異論」の簡単な報告です。

●【2-21】 原発回帰でいいの?!エネルギー基本計画に各界から異論 eシフ
 http://e-shift.org/?p=2923

(別添PDFファイルと同じ資料=当日会場で配布されたもの、が、上記サイトにリンクされています。また、当日の録画も見れます)


<追2>誤って電源ケーブル損傷、4号機プール冷却停止は人為ミス 福島第1 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140225-00000533-san-soci

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014022501001913.html

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014022501002306.html

 http://www.asahi.com/articles/ASG2T3JT8G2TULBJ002.html

(こんな調子じゃ、そのうち、また大事故間違いないでしょう)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●もうひとつの「集団的自衛権」(伊勢崎賢治(東京外語大教授)インタビューより) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-4ffb.html

 

●STAP細胞について いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-d180.html


●虚構の「アベノミクス」:「何のための「負担増」か?」(アベノミクスの1年とこれから)(岩波月刊誌『世界 2014.3』の山家悠紀夫氏論文より) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/1-20143-f1a2.html

 

 

 

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