« 内部被曝のメカニズム(2):ICRPによる内部被曝線量の計算手順 (長山淳哉著 『胎児と乳児の内部被ばく: 国際放射線防護委員会のカラクリ』より) | トップページ | これが自民党の税制だ=大企業さまには「飲みねえ,食いねえ,寿司食いねえ」,私たち一般庶民には「つべこべ言わずに消費税払え」 »

2014年1月 5日 (日)

福島第1原発事故の損害賠償を何故きちんとしないのか(3):原子力損害賠償紛争審査会の「追加指針」は、まだまだ不十分である

前略,田中一郎です。

 

 昨年末、原子力ムラやその代理店政府の下請けとなって、「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」の損害賠償・補償について、被害者切り捨て・加害者救済に極端に偏った「指針」を出し続けていた原子力損害賠償紛争審査会が、ようやく重い腰を挙げて、追加指針を打ち出しました。原発事故被害者のみならず、多くの有識者や市民団体、あるいは全国の有権者・国民から、理不尽極まる、被害者切り捨てはやめろ、原発事故の賠償・補償をきちんとやれ、こんな指針では被害者は人生の再出発をできない、などなど、加害者・東京電力や事故責任者・国、それに原子力損害賠償紛争審査会を批判する声が相次ぎ、この「役立たず」の、「被害者踏みつけ」の、「屁理屈練り上げ」の、原子力損害賠償紛争審査会という組織・委員達も、ようやくこうした声に対応せざるを得なくなってきました。

 

 しかし、です。その内容を新聞報道で見てみると、その不十分さは依然として目にあまります。この原子力損害賠償紛争審査会の委員どもは、一体何なのか、貴様らには被害者の悲しみや苦しみがわからんのか、恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)の危険性が理解できないのか、何故、他の事件や事故と同様に、あるいはそれ以上の理不尽な事故・事件並みに、きちんと賠償や補償をさせようとはしないのか、しようとはしないのか、と言わざるを得ないようなひどい内容です。依然として、人権侵害ははなはだしく、お粗末・不合理・不正儀・悪の御用「指針」に留まっています。

 

 加害者東京電力の「事故責任」を免罪して巨額の税金投入により東京電力を救済する傍ら、「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」の被害者に対しては、まともな賠償も補償も再建支援も行わずに、「自己責任」を押し付ける、まさに金子勝慶應義塾大学教授の言うような出鱈目が、白昼堂々と大手を振って行われているのです。この国は、一体何なのだ、ということです。

 

 こんなことは、同時代に生きるものとして、同じ国の有権者・国民として、看過するわけにはいきません。私は、この理不尽・出鱈目・人権侵害を、今後も徹底して告発していきたいと考えております。以下、新聞報道の内容を簡単にご紹介し、今般の原子力損害賠償紛争審査会の「追加指針」のどこが問題なのかを箇条書きにしておきます。

 

 <新聞報道その他のネット情報>

(1)東京新聞「東電救済=被災民切り捨て+国民負担」 福島原発事故めぐる安倍政権の1年特報(TOKYO Web)

http://takumiuna.makusta.jp/e238132.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013122702000146.html

(この東京新聞記事が、今般の原子力損害賠償紛争審査会の「追加指針」をはじめ、安倍晋三自民党政権の新たな福島第1原発事故への取組方針全体の根本的な歪みを適切に報道しています。えらいぞ! 東京新聞、今年も期待しているからね)

 

(2)(金子勝慶應義塾大学教授)Twitter - masaru_kaneko 東京新聞「こちら特報部」は、「フクシマをめぐる安倍政権の1 ...

https://twitter.com/masaru_kaneko/status/416349516149706753

 

(3)朝日新聞デジタル:帰れない住民に1人700万円 原賠審、賠償の追加指針 - ニュース特集

http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201312260411.html

(この記事にある「一覧表」が、新たに打ち出された旧「避難指示区域」の方々への追加的な賠償・補償金額を分かりやすく提示しています)

 

 

 <原子力損害賠償支援機構法の「追加指針」の問題点>

(1)最大の問題は、「追加指針」で示した賠償・補償の金額増額の対象者が、福島県のごく限られた地域の人達だけ=言い換えれば、旧「警戒区域」や「計画的避難準備区域」あるいは「特定避難勧奨地点」に住んでおられた方々だけに限定されており、それ以外の、たとえば福島県中通り地方や、栃木・群馬・茨城・宮城・千葉・岩手・埼玉・東京などの都県に広がっている放射能汚染地帯、とりわけ1mSvを超えるホット・スポット地域の住民について、一顧だにしていないことです。放射能汚染は県境で止まるわけではありません。今回「追加指針」で対象となった福島県の地域と同じような状況下にある方々に対して、何の「追加対策」も出されてこないのは許されないことです。

 

(2)「追加指針」の対象となった方々も、「帰還困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」の3つで、金額に大きな差が出ています。同じ市町村に住み、同じように被害にあっているのに、この差は理不尽です。この区域分け自体が、賠償・補償金額を値切り、抑え込み、かつ住民を分断・対立させるために仕組まれた、タチの悪い「理屈」づけ・「仕掛け」に他なりません。まさに、ローマ帝国の人民抑圧統治の鉄則「分割し、統治せよ」を地で行く汚いやり方です。全ての被害者に、すべての損害をさっさと払え、が鉄則でなければなりません。であれば、少なくとも、同じ市町村に住んでおられた方々には同程度の金額=つまりは朝日新聞記事の表にある「帰還困難区域」の方々に支払われる金額が支払われて当然です。(被害を受けた財産に違いがあり、その分の補償金額に違いがあるのは、いたしかたないとしても)

 

(3)遅い、遅い、遅い、いつまで待たせてんだ、この野郎、です。賠償・補償の遅延に対しては、電力料金支払い遅延の場合に課せられる「遅延損害金」料率の10%を、3.11に遡って、約3年間の期間を、支払うべき金額に掛けて、増額すべきです。さっさと払え、をペナルティ付きで加害者・東京電力や事故責任者・国に対して強制すべきです。

 

(4)今般の賠償金額は、少し金額が大きくなりましたが、他方でこれは、「手切れ金」とか「切捨て金」とか言われています。しかし、そのようなことは許されません。賠償・補償金が支払われてのちも、一方では、仕事や家業の再建、学校のことやその他の生活の再建、そして故郷やコミュニティや人間関係までもを一挙にすべて奪われた心の痛み=いやせぬスピリチュアルなものへの、さまざまなレベルや方法での対応が、これからも続けられねばなりません。金を払ったのだから、それでいいだろうということにはならないのです。

 

(5)農林水産業や、その他の産業に対する賠償・補償が、依然として出鱈目です。原発事故で被害を受けた生産者・農家(林家を兼ねる)や漁業者の救済が、全くと言っていいほど進んでおりません。たいへんな後始末の負担が押し付けられ、そのためにかかった費用の一部しか補填されない理不尽な賠償・補償に押し込められ、農地や漁場や森林が放射能に汚染されたままに放置されて、農業や漁業や林業を涙ながらに放棄していかれる方が後を絶ちません。また、農業再建・漁業再建・林業再建も、生産者・農家や漁業者、及びその家族が、危険な恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)下におかれながらの農林水産業再開の形をとっており、不当な放射線被曝の押し付けと言わざるを得ないのです。その他の産業の被害者の方々についても、同様の事態を招いています。

 被害者は1千万人レベルで、巨大訴訟を起こすべきです。日弁連は、その巨大訴訟を組織すべきです。

 

(6)そして、最後にもう一つ、最重要なことを申し上げておきます。原子力ムラ・放射線ムラ代理店政府も自治体も御用学者達も、恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)の危険性を、福島県民をはじめ、「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」の被害者のみなさまにきちんと説明をしておりません。無責任で出鱈目な「放射能問題はもう終わった」「放射線被曝はそんなに心配しなくていい」式の「安全安心キャンペーン」「フクシマ・エートス」行為と「放射能や放射線被曝への懸念・心配の声の押しつぶし」を集団的に「わー」という形でやり続けています。

 

 だから、少しまとまった金額の賠償・補償金が出ても、そのお金で、いわゆる「危険な汚染地域」と思われるような場所に、再び住宅を新築して移り住むという、当方で見ていて信じがたいようなことが、今、福島県内で起き始めています。これは不幸なことです。そして、移り住む当事者からの立場で考えると、恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)の危険性を知らないのみならず、他の場所へ行っても、つまり福島県という住み慣れた故郷を離れても、仕事や学校のことなどが心配で、経済的に、社会的に、先行きやっていけるような気がしない、という、追い詰められた状況があるのだろうと推測されます。だからこそ、被害者の方々には、賠償・補償だけでなく、人生再建のための万全の措置がなされなければなりませんし(そのための「子ども・被災者支援法」だったはずです)、避難・疎開・移住後も、きちんとしたケアがなされなければならないのです。

 

 恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)の危険性を、被害者の方々にきちんと説明せよ、これは欠かせない必須の原発事故後の対応です。

 

(7)このままでは、日本は世界に「大恥」をさらす「人権踏みにじり大国」に堕ちていきます。この問題は、被害者の方々だけの問題ではありません。みなさま、どうぞ、同時代に生きるものとして、同じ国の有権者・国民として、人間の最低限の倫理・モラルとして、被害者の方々への支援と、この人権無視の原子力ムラ・放射線ムラ代理店政府・安倍晋三自民党政権、及びその手下・ちょうちん持ち達に、怒りのこぶしをおあげください。

 

 脱原発=脱被曝は、被害者の完全救済と三位一体です。被害者を救わねば、我々もまた、救われないのです。

早々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」から

●原発事故の賠償を何故きちんとしないのか(その1) (原子力損害賠償紛争審査会の新たな方針でも賠償金額が全然足りない) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-cb8c.html

 

●原発事故の賠償を何故きちんとしないのか(その2)(原発事故の損害賠償を踏み倒す東京電力の態度は許されない) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-3355.html

 

●主なレポートのバック・ナンバー(2013126日現在) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/2013126-f3be.html

 

« 内部被曝のメカニズム(2):ICRPによる内部被曝線量の計算手順 (長山淳哉著 『胎児と乳児の内部被ばく: 国際放射線防護委員会のカラクリ』より) | トップページ | これが自民党の税制だ=大企業さまには「飲みねえ,食いねえ,寿司食いねえ」,私たち一般庶民には「つべこべ言わずに消費税払え」 »

福島原発事故」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 内部被曝のメカニズム(2):ICRPによる内部被曝線量の計算手順 (長山淳哉著 『胎児と乳児の内部被ばく: 国際放射線防護委員会のカラクリ』より) | トップページ | これが自民党の税制だ=大企業さまには「飲みねえ,食いねえ,寿司食いねえ」,私たち一般庶民には「つべこべ言わずに消費税払え」 »

最近の記事

無料ブログはココログ