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2014年1月

2014年1月30日 (木)

消費者庁 食品表示Gメン等の消費者庁への併任発令について (これで食品表示偽装はなくなるのか)

前略,田中一郎です。

 今般,消費者庁は,ホテルや百貨店などの食材偽装表示の常態化を受けて,その改善を図るため,下記サイトの記事にあるように,農林水産省の食品表示Gメンを当分の間モニターとして活用していくことにしました。別添PDFファイルは,そのための「併任発令」を公にした消費者庁の文書です。

 <別添PDFファイル>
消費者庁 食品表示Gメン等の消費者庁への併任発令について (2014124日)
「2014124.pdf」をダウンロード

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「1.趣旨
農林水産省の食品表示Gメン、米穀流通監視官等に対し、一定期間、消費者庁の職員として一時的に併任発令することにより、景品表示法に基づくレストラン、百貨店等への監視業務を実施する。」
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消費者庁 虚偽表示対策に農水省Gメン活用!
 http://www.costdown.co.jp/blog/2014/01/post_2979.html

「食品Gメン」らがメニュー監視 百貨店などの表示違反を調査 - 芸能社会ーSANSPO.COM(サンスポ)
 http://www.sanspo.com/geino/news/20140124/sot14012413550003-n1.html


 この消費者庁と農林水産省の協力による食品表示の適正化対策ですが,一見,もっともらしく,よさそうに見えます。しかし実際は,その見かけに反して,この対策は食品表示の適正化にあまり大きな効果は持たないだろうと推測しています。それはなぜか。

(1)食品表示Gメンの活動の根拠となっている法律は,農林水産省が所管しているJAS法です。従って,レストランなどで提供されている外食は法律の対象外です。その対象外の食品の表示を,この農林水産省の役人であるGメンに監視させるというのですから,根拠法がありません。一般的に役人がある行動をとる場合には,その基礎に根拠法があるものですが,今回の場合,それがあやふやです(あえて言えば,国家行政組織上の業務命令程度の話です)。

(2)もともと,JAS法に基づく食品表示Gメンの表示監視自体が「根拠あやふや」でした。Gメンの農林水産省官僚達には,食品表示を監視する上で必要となる,一般調査権限や立ち入り調査権限,あるいは資料提出命令や業務改善命令を出す権限,仮に悪質な業者が指示に従わなかった場合の行政処分権限や名前を公表する権限,あるいは厳しいペナルティを課す権限など,およそ食品表示を監視する上で必要となる様々な法的な権限が,一切と言っていいくらい現場に与えられていないのです。これで適切な表示モニターができるなどというのは,まさに奇跡に近いことです。

(3)実際,だいぶ前のことですが,農林水産省食品表示Gメンが,どのように食品の偽装表示を見抜くために動いているのかをTVのドキュメンタリーニュースでやっているのを見たことがありますが,まさに「スパイ大作戦」のようなことを,現場の職員が身を粉にしてやっているのです。気の毒という他ありません。そして,仮に偽装や不正を見つけたとしても,悪質業者に居直られて,質問にも答えてもらえず,口頭で注意をしてすごすごと引き下がらざるを得ないような雰囲気のシーンが何度かあったように思います。表示偽装の調査は,いわゆる「お願いベース」で悪質業者に対して行われていて,法的な権限がほとんどない現場の役人Gメンがやっているのですから,こうなるのも当然のことでしょう。

(4)そして,私がけしからん,と思いますのは,当の農林水産省にしても,食品表示を司る消費者庁にしても,厚生労働省にしても,現場にはいない幹部クラスの役人達は,そうなるのを重々承知の上でやっている・やらせている様子がうかがえることです。つまり,一方で,役所はしっかり食品表示を監視していますよ,監視する体制をとっていますよ,というポーズを消費者・国民に対してとりながら,他方では,本音で,こんなものは大した効果などありはしない,業者の方がずっと上手で,偽装表示の大半はすりぬけてしまうだろう,それなら,業界からこのGメンの表示監視についての苦情も,おそらくはたいして来ることはないから,一石二鳥である,くらいの考えでいるのではないかということです。要するに,アリバイ政策・対策だ,ということです。そして,この政策の被害者は,我々消費者・国民であるとともに,農林水産省の現場役人であるGメン達でもあるのです。

(5)その一つの証拠に,これだけ悪質な食品表示偽装が何年も前から発覚して,数年おきにマスコミや週刊誌を騒がせているというのに,それを一掃するための厳しい罰則付きの法律はいつまでたっても制定される気配はありません。それどころか,「即罰化問題」というものがまだ解決しない=つまり,偽装という悪事を発見したらただちに行政処分で罰するということさえ,いまだに実施される様子はありません(口頭指導,文書による改善指導と業者名公表,行政処分の三段階)。

 食品表示偽装を行政が抑え込むには,何度も申し上げていますが,そうした悪事を働いた業者に厳しい罰金刑を課し,食品表示偽装をすることが経済的に無意味であること=万が一発覚したら倒産の危機に陥ることを思い知ってもらえば,かなりの表示偽装はなくなるでしょう(根絶は難しいですが)。しかし,農林水産省も厚生労働省も消費者庁も,食品産業界との腐れ縁・癒着を払拭できず,かつその食品産業界ともっともっと癒着しているゴロツキ政治家達に頭を押さえられて,きちんとした商品表示偽装の防止対策をとろうとはしないので。まさに「南町奉行所」状態です。

(6)表示に関するルールの周知徹底も不十分なままですし,やたらに詳細で重箱の隅を突っつくようなくだらない決まりも解消されていません。食品業者の表示担当者が迷った時の相談窓口もいい加減です。食品表示行政の実態は「業界団体に丸投げ状態」で,霞が関の役人達は,巷で何が起きていようと涼しい顔をしているのです。これで表示偽装がなくなったら,それは奇跡というものでしょう。無責任行政の典型です。

(7)申し上げるまでもなく,外食を含む流通する食品に日常的に最もよく接しているのは,一般の消費者・国民です。その消費者・国民の協力を得て,食品表示のモニター制度を,もっと幅広く,もっと適正に運営する必要があります。しかし,私がかつてこのモニター制度の窓口のようなところに電話をした経験で申し上げれば,不正や不適正表示を発見したとの連絡を受ける農林水産省の役人が「それは県の方に言ってくれ,担当は県だ」などと,「たらい回し」や「県と農政局との(美しく見苦しい)譲り合いの精神」を発揮しているのが実態です。思い起こせば,2008年に大騒ぎとなった「北海道ミートホープ事件」でも,北海道の農政局と道庁が,寄せられた表示偽装の内部告発について,「担当はあんたの方だ」などと言いあって,責任のなすり合いを演じていたことが発覚しています。要するに,偽装を発見しても,役所はまともにとりあげようとはしない,ということを意味しています。

(8)悪質な食品表示偽装の大半は「内部告発」によって発覚しています。つまり,表示偽装を防ぐ最大の武器は「公益通報者保護制度」をしっかりした制度にし,かつその主旨を文字通り100%活かした運営がなされることです。しかし,通報を受けた保健所や役所の人間が,その情報を,内部告発している人の名前も含めて,その悪質業者に「たれこむ」(知らせる)という信じがたい背任行為が行われている様子がうかがえます。内部告発者の名前を告発された業者に(こっそりと)通知することは犯罪行為であり,やった人間は厳しい処分がなされてしかるべきですが,うやむやにされて,内部告発者だけが解雇を含む被害を被るという事態が起きています(そもそも日本の法律に,こうした背信行為を厳しく罰する規定がない)。こうしたことも抜本改善がなされないと,食品表示偽装はなくならないでしょう。([公益通報者保護制度」の主旨から外れた「たれこみ」をした役人を懲戒免職・刑事告発せよ)

(9)現在,先般制定された新法「食品表示法」(JAS法+食品衛生法+健康増進法)の内容を定める作業が進められています。この法律自体がいい加減で出来そこないですが,しかし,それに加えて,いわゆる「法の執行」(法律に書かれていることを守らせること)についても,上記のようにいい加減で出鱈目なのです。既に賞味期限の切れた食品安全委員会,消費者庁,消費者委員会など,クソの役にも立たない行政組織が乱立して,(御用学者や一部の似非消費者団体,あるいはお気楽市民運動・社会運動などを巻き込んで),肝心なことは棚上げにしたまま,どうでもいいようなことを多くの時間と費用を費やして小田原評定を続けているのが現実です。
 
 (食品の偽装表示すら抑え込めない)このおぞましい日本の食品行政・消費者行政に終止符を打つためには,消費者主権を明確に意識した正真正銘の消費者団体を消費者・国民自身が確立するとともに,自民党や民主党をはじめとするゴロツキ・ゴキブリ政治家達を国会や地方政治の場から追い払う・一掃することです。そして,消費者行政を文字通り消費者・国民のために遂行できる体制や法体系を構築していかなくてはいけません(例えば,上記で申し上げた食品表示偽装を防ぐ実効性のある新法が必要となります)。役人をバッシングするだけでは事態は改善しないのです。

食品表示法の概要
http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&frm=1&source=web&cd=2&ved=0CC8QFjAB&url=http%3A%2F%2Fwww.caa.go.jp%2Ffoods%2Fpdf%2F130621_gaiyo.pdf&ei=7qLpUrX-BcXXkAWh14DwCQ&usg=AFQjCNGISGDgRJCQNqxMjF-WMJ6nknlWog&bvm=bv.60444564,bs.1,d.dGI
早々

2014年1月26日 (日)

言論・表現活動を妨害するTV朝日、お前達はそれでも報道機関なのか、それともマスゴミ=巨大粗大ゴミか

前略,田中一郎です。

 

みなさま、

あろうことか、報道会社のTV朝日が、市民の自由な言論・表現活動を妨害しております。

昨今の日本は、こうした「屁にもならぬ」ような口実を付けて、言論・表現活動を妨害する行為が目に余るようになってきました。

なげかわしいを超えて、ゆゆしき事態にまで至っております。

 

●東京新聞都知事選候補招き若者イベント テレ朝 会場使用拒否社会(TOKYO Web) http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014012602000106.html

 

(若者に東京都知事選の関心を高めてもらおうと計画されたイベント「せんきょCAMP東京フェスティバル」が、会場を所有するテレビ朝日の意向で初日の予定だった二十五日、突如中止となった。テレビ朝日側は、主催者が都知事選の候補者を招こうとしたことが「利用規約で禁じた政治活動にあたる」としている。)

 

こんな規約を設けていること自体が大問題です。

 

これが私の申し上げる「政治的中立主義」「脱イデ・イデオロギー」のなれの果てです。

穏健保守が支配する1980年代から、バブル崩壊後の市場原理主義氾濫の時代である1990年代に「はやり病」のように広がりました。

こんなものはあり得ない(あり得るのは[無党派」という立場)ということが、まだ理解されていない様子もうかがえ、一部の市民運動・社会運動活動家の中には、いまだにかようなことを言って、他人の言論・表現に容喙している人達もいます。

 

「候補者二人と来場者との質疑応答などを計画。候補者はたすきを外し、演説や投票の呼び掛けは行わない条件で、他の候補にも参加を呼び掛けている」もおかしな話です。

 

マスコミがマスごみという巨大粗大ゴミになっていることを明確に示しています。

これは忘れずに、事あるごとに、TV朝日をバッシングいたしましょう。

朝日新聞やTV朝日を当分の間見ないでおこう、の大宣伝をしてもいいくらいです。

 

徹底的にぶったたく、これあるのみです。

こんなことを許していたら、日本からは民主主義や言論・表現の自由が消滅し

暗黒国家に転落してしまうでしょう。

早々

 

 

2014年1月 9日 (木)

いつまでも改まらない食品の安全管理と表示,諸悪の根源は消費者にそっぽを向き、財界や食品産業会のご機嫌伺いばかりをやっている政府関係各省庁だ

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 最初に脱原発・脱被曝関連のサイトを2つばかりご紹介します。

 

●太田隆文監督の映画「朝日のあたる家」を応援するCTU湖西支部ブログ

 「国際賞をとっても報道されない日本人のアニメ:Abita

 http://asahinoataruie.hamazo.tv/e5041143.html

 

(3.11福島第1原発事故以降,日本は放射能や放射線被曝についての認識や態度が急激におかしくなっています。まるで「触れてはいけない」タブー問題のように,「ないことにする」「心配ないようにふるまう」「意識して避けて通る」などの,3サル方式の行動パターンが蔓延しています。それはまるで,アジア太平洋戦争前の大日本帝国で,日本のアジア侵略戦争や天皇陛下のことについての批判やコメントが「タブー化」していた状況と酷似しています。しかし,そのような「タブー化」は,その後,結果的に大日本帝国の破滅をもたらしました。原子力翼賛社会=放射線安全神話を受入れてはなりません。容認してはなりません。それは,緩慢な滅亡への道だからです)

 

●広瀬隆:福島原発巨大事故 今何が必要か - YouTube 2011510日衆議院第2議員会館)

 http://www.youtube.com/watch?v=FV-xS7Co-GM

 

●ひっくり返しましょうぞ!のうた♪ - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=hHPQzFaGYFg

 

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 別添PDFファイル,及び下記URLは,昨今世間を騒がしている食品偽装表示(ホテル,百貨店,レストラン)やマルハニチロ子会社のアクリフーズ製造の冷凍食品への農薬マラチオン混入事件に関連するものです。以下,簡単にご紹介いたします。

 

 <別添PDFファイル:一部添付できませんでした>

(1)冷凍食品に気をつけろ(『週刊文春 2014116日号』)

(2)食材虚偽対策,甘く(東京 2014.1.8

(3)景表法改正の中身と危うさ(『週刊ダイヤモンド 2014.1.11』)

 

1.冷凍食品に気をつけろ(『週刊文春 2014116日号』)

 マルハニチロの子会社アクリフーズの群馬工場で製造されたピザやコロッケなどの冷凍食品から,大量の農薬マラチオンが検出され,それを食べた全国でたくさんの人達がおう吐や下痢に見舞われ,大騒ぎになっています。しかし,この記事によれば,問題の冷凍食品が製造されたのは昨年(2013年)の104日~115日,早くも11月中旬以降「石油のようなにおいがする」という苦情が寄せられていたけれど,マルハニチロは1か月以上も公表しなかったというのです。また、農薬マラチオンの検出量は15,000PPMで,これは国が定めた残留農薬基準値の150万倍というとてつもない数字です(その後260万倍のものも検出という新聞報道あり)。これをアクリフーズ社長は「子供が一度に60個食べなければ影響はない」などと強調していたというのです。実際は1/8涸を食べても健康被害が出る可能性があります。きわめて悪質な対応と言わざるを得ません。

 

 このアクリフーズという会社は元雪印乳業の子会社です。あの2000年の雪印乳業事件で,こうした安全軽視・儲け主義優先は絶対にしないと誓ったはずなのに,また,10年の月日を経て同じことを繰り返しているようです。二度目はない(今度やったら会社がなくなる),とあれだけ言われていたにもかかわらずです。

 

 しかし,この記事はそれだけではありません。実は,冷凍食品全般に潜む危険性について書かれています。今回問題となった農薬マラチオンは,実は小麦や大豆などの輸入穀類に対して防かび剤として使われ,特に米国産の小麦には多く使われているそうです。いわゆるポスト・ハーベスト農薬です。このポスト・ハーベスト農薬は,国内では禁止されているにもかかわらず,輸入食品については禁止をしていない「ダブル・スタンダード」の規制の下で輸入されています。また,中国産の冷凍食品からは,大腸菌,有機リン系殺虫剤,抗菌剤などが検出されているし,そもそも不衛生極まりない環境下で製造された冷凍食品が輸入されてる場合もあるようです。輸入ものの冷凍食品も要注意のようです。

 

 こうしたことは、いわゆる国際市場原理主義による極端な自由貿易優先主義が、私たちの日頃口にする食品の安全を破壊している典型事例の一つであって、他にも多くの「食の安全」を脅かす愚か極まる貿易政策が推し進められています。TPPはそれを極限まで「(企業のための)自由化」をしてしまおうという「食の安全破壊」協定なのです。

 

2.食材虚偽対策,甘く(東京 2014.1.8

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014010802000139.html

 

 アレルギー表示見送り,あいまいな違法事例集,消費者庁も都道府県も体制貧弱な食品表示の監視体制,などなど,これだけ毎年のように食品表示偽装・虚偽表示が発覚・表面化し、不正・不当な表示が横行しているのが明らかなのに,行政はいつまでたってもきちんと対応しようとしませんし,食品表示制度も不十分なままに放置されています。

 

 アレルギーのみならず,食品添加物,遺伝子組換え食品,原料原産地表示,放射性物質汚染,残留農薬などなど,我々の食べるものについては,きちんとした表示制度がないと,消費者・国民は選ぶことができないのです。しかし政府は,その軸足を食品産業界や食品企業の利益の方に置いていて,表示の仕組み・制度・モニター・安全性適正性管理などを抜本的に改めるよう強く求める人達を横に押しのけるようにして、まともな対応・対策をとろうとはいたしておりません。

 

 おかげで,日本の加工食品・外食・輸入食品は,すさまじい状態に陥りつつあります。この私たちが日常食べる物の「家畜のエサ以下」「残飯以下」の扱いを,もういい加減にしないと,健康被害はますます増大するばかりです。みなさま,もっと自分達の食べる食品に関心を高めましょう,そして大事なことは,おかしいなと思うものの情報を活発に交換し,それらを一切買わないことです。そうすれば,市場から、そうしたものは,そうしたものを提供する食品企業や外食店とともに消えて行くでしょう。

 

 それにしても,この日本の行政の体たらくはいったい何なのでしょう。出鱈目な政治家を選ぶことは,そのまま出鱈目な行政に直結しているように思われます。

 

3.景表法改正の中身と危うさ(『週刊ダイヤモンド 2014.1.11』)

 今回,ただ高い価格を維持するためにだけ「過剰演出」をしていたインチキが明らかになって,すっかり信用をなくしてしまったホテル,百貨店,レストランですが,実は,こうした外食や対面販売の総菜などの商品は,食品表示のルールを決めてある食品衛生法,JAS法,食品表示法などの対象外であり,従ってまた,農林水産省や厚生労働省などの役所は,その監視さえもしていないということをご存じでしたでしょうか。

 

 問題の外食や対面販売・量り売り食品を司る法律は,食品だけでなく,さまざまな消費者向け商品を対象とする不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法・景表法)という法律があるだけです(他に不当競争防止法という法律もありますが,これは消費者のための法律ではなく,悪質業者が良質業者を害さないようにするための法律で,食品表示適正化のためのものではありません)。

 

 しかし,この景表法という法律は,その内容がまったくの「ふにゃふにゃ」法で,実際問題,悪質で不当な虚偽表示や過大広告のようなものを取り締まるためには全然役に立たないことがだんだんと分かってきました。それはまるで,担当する消費者庁の役人達が,言葉巧みに逃げ回れるよう,法律で「逃げ道,裏口,避け道」を掃き清めているようなそんな法律のようなのです。今回問題になった加工食品や外食だけなく,健康食品などでも同様です。根拠の乏しい悪質な過大表示や広告宣伝が「やりたい放題」で氾濫しています。

 

 今般,今回の食品表示偽装の氾濫・横行という事態を受けて,この景表法が強化・改正されることになるといいます。記事には改正の内容として次のように書かれています。

 

「次期通常国会で景表法も改正される予定だ。直罰である課徴金制度を設けるなどの厳罰化と、これまで国だけだった措置命令を都道府県など自治体が行えるようになることなどが改正の主な内容になりそうだ。さらに、メニューを含む食品表示に対し、消費者庁が選定した一般消費者のモニターが身の回りの事例を通報する制度の新設や、企業内での表示責任者の設置の義務づけ、現在JAS法違反の調査を行う食品Gメンを、外食・中食のメニュー表示にも活用する案なども検討される。」

 

 もっともらしいことが書かれていますが,おそらくこんなものはまともに機能しないでしょう。国に加えて自治体にも権限を与えるというのは,責任の所在をぼかして,問題のたらい回しをしやすくするための環境づくりであり,また,消費者のモニター制度も,異常や不正の通報を受ける役所側が出鱈目でいい加減であれば機能しませんし,食品(表示)Gメンに至っては,何の権限も与えられずにすべての責任を負わされる理不尽極まりない「食品表示不正監視監督(責任のGメンへの転嫁)制度」なのです。要するに「ちゃんとやってまっせ」の格好だけをつけるという,消費者・国民ちょろまかし行政の「お化粧直し」にすぎません。やる気のない行政に,こんなことをしても,事態は改善いたしません。

 

 もはや,加工食品も外食も輸入食品も,一切信用が置けないという究極の事態に陥っていますから,これを安心できる食品流通にしていくには,少々荒治療が必要でしょう。何よりも大事なことは,悪質な食品表示偽装をやった業者を許さず,みなし利益を全部吐き出させるとともに巨額の罰金(みなし利益の3倍以上)を徴収し,虚偽表示が経済的に無意味であることを思い知っていただくとともに,本来なすべき食品表示の監視や管理監督を怠った行政機関にも,同等の厳しい不作為への厳罰を与えることです(官僚は左遷し降格するのが最も効果的です)。そして,そうした悪質業者や無責任行政が出てこないようにするために,法律で有効な防止策を打っておくことです。

 

 さしあたり最も効果が高いのは,食品の安全や表示に対して厳しい姿勢をとっている消費者団体等に,この食品の表示の適正化の監視と不正の処理処分を「権限委託」し,怠慢な行政になり代わって「やっていただく」のがいいように思われます(委員会方式,臨時の有期チーム採用,権限付き委託業務などを特別立法で決めればいいのです)。そして、多くの消費者・国民に、その知識と意識を高めつつ、食の安全と表示の監視・モニターに参加していただけばいいのです。

 

 また,行政と産業界・企業・業界との腐れ縁を断ち切るために「情報公開制度」などの透明性を確保しておくことも大事でしょう。更にはまた,行政の不作為を監視する「食品行政オンブズマン制度」なども必要です。もちろん,食品産業界やその周辺団体などへの天下りの禁止などは「あたりまえのあたりまえ」です。要するに,臭いにおいはもとから断たなきゃダメ,腐った行政はもとから変えなきゃダメ,ということです。

早々 

 

2014年1月 7日 (火)

これが自民党の税制だ=大企業さまには「飲みねえ,食いねえ,寿司食いねえ」,私たち一般庶民には「つべこべ言わずに消費税払え」

前略,田中一郎です。

 

 下記URLは,昨今新聞報道されました自民党・安倍晋三政権の税制政策についての報道です。大企業の交際費(簡単にいえば,大企業の「お偉い方々」の飲み食い・キャバレー・フーゾク遊び代金)について非課税にする(50%まで),消費税の軽減税率導入は看板だけ出して先送りする,などを決めたことが報じられています。さすがは自民党です。大企業さまには「飲みねえ,食いねえ,寿司食いねえ」,私たち一般庶民には「つべこべ言わずに消費税払えよ」ということのようです。だって,自民党のゴロツキ・ゴキブリ政治家達は、大企業から政治献金なんかも貰っていて,有権者・国民を衆参両院の国政選挙で、たいへん努力して,だまくらかしたのだから,これくらいの「ご褒美」はあってもいいでしょう,という算段のようです。

 

 それにしても,いいねえ,大企業の「お偉い方々」は。税金を半分タダにしてもらって,会社の金で飲み食いして,キャバレーでふんぞり返ってて,それで税金タダ,費用も会社持ち,これも立派な「交際」だからね。でも、これって,(税金による)「(税金)援助交際」だわね。若い人達を,ろくすっぽ賃金も払わないで非正規で雇ってこき使って,それで「利益が出ました」なんて言って荒稼ぎしているのに,自分達の飲み食いの税金までまけてもらって、そんでもって,自分は優秀な経営者だと勘違いしてらっしゃる「お目出度い」方々,この大企業の「お偉い方々」は、いったい誰と(税金)「援助交際」するんでしょうね。

 

 大企業がもうかれば、その下には「しずく」が落ちる、私たち庶民は、その「しずく」でも拾い集めてろって、大学にいる(御用)経済学者センセイが「経済理論」で論じていらっしゃるそうな。御用学者曰く、法人税率を下げて国際競争をつけなければ、日本の企業は競争に生き残れないのだと。でもね、日本の企業は社会保障関係の社会保険料負担が外国に比べて低いと有名で、法人税と合算したら、大してかわりゃせんで。日本の企業が法人税下げないから国際競争力で負けるなんて、それは嘘八百で、実は交際費ばかり使って「交際」ばかりしている日本の大企業の「お偉い方々」が、単にノーナシなだけじゃないの? そりゃ、飲み食いしかノーがなければ、競争に負けるわな。私たち庶民には、そんなもん、カンケーネーよ。

 

 みなさま,安倍晋三さんと自民党のゴロツキ政治家の皆様は,いよいよ「血税流用・国のお金横取り作戦」を一握りの大企業とグルになって始めましたよ。裏で何してるか分かりませんね。「社会保障が大事だ,そのためには消費税の税率を上げますよ」なんちゃって,やってることは,法人税という大企業の税金をまけてやって(だって法人税払っている企業は利益出して儲かってるところだけで,儲かってるところはほとんど大企業だけよ,中小零細企業は法人税なんか払うどころでねえぞ),日本国中,再びムダそのものの公共土建事業だらけにして「国土強靭化」などとのたまわり(「強靭化」しているのは国土ではなくてゼネコンで,「狂人化」しているのは自民党の政治家諸君とそのちょうちん持ち達),私たち庶民からは消費税増税に加えて「復興所得税増税」までつくってお金をふんだくり(すいませんが,お金ないんですけどね),そんでもって,今度はその大企業さまに「飲みねえ,食いねえ,寿司食いねえ」なんだそうです。

 

 みなさま,政府・自民党・安倍晋三政権とベターとくっついて甘い汁吸ってる「マスごみ」達が,「財政危機と社会保障の持続可能性のためには,消費税という「痛み」を避けて通れない,政治家は有権者・国民に「痛み」を説いて納得させるだけの勇気と政治力を持たねばならない。有権者・国民に甘いことだけを言うような政治家ではだめである」,なあ~んちゃって,それで自民党・政府要人と一緒に「飲みねえ,食いねえ,寿司食いねえ」のおすそ分けにあずかっているようですよ。日本経済新聞社などは、飲み食いの店などは零細業者だから、大企業の(税金半分だけの)交際費で(税金)「援助交際」が増えれば景気が良くなるだの、消費が回復するだのと、もっともらしいことを書いとるぞ。それ、いったい「誰の消費や」ねん。大企業の「お偉い方々」の消費やないか。そんなもん、盛り上がっても、私ら庶民には、何のカンケ―もネエぞい。

 

 とにかく大新聞・大TV,みなみな腐ってんですから,そんな連中の言うことを「オームのものまね」して,「消費税はやむを得ない,必要悪だ」などとキバってると,そのうちひっくり返りますよ。

 

 みなさま,そろそろ,安倍晋三とその周りにいるゴロツキ政治家達を,ゴキブリ・ほいほいで,ほいほいと退治しませんか。自分の身の回りのちょっとしたことで,いらいらしてないで,この「大企業さま,飲みねえ,食いねえ,寿司食いねえ」の「巨悪」をやってる,あのろくでなし政治家どもを,少なくともテレビのニュースに出てこないように,新聞に載らないように,私たちと同じ「ただの庶民」にして差し上げましょうよ。だって,見たくもないでしょ? あんなの、あんな連中。

 

 みなさま,全ての選挙で,全ての投票で,全てアンケートで,全ての推薦や指名で、全てのことで、自民党,安倍晋三,それに自民党「補完」勢力と名の付くもの,それと「仲がいい」ような人達・組織・団体を,ぜーんぶ「片づけましょう」よ。自分が「ひっくり返らず」に,このゴロツキ・ゴキブリ体制を「ひっくり返しましょう」ぞ。みなさまのお気持ち次第で大掃除できます。

 

 かつて、馬鹿は死ななきゃ治らない、と言われた”森の石松”は「飲みねえ,食いねえ,寿司食いねえ、江戸ッ子だってねえ」とやってたそうだ。でも、石松さん、馬鹿だ馬鹿だと言われていたけど、いいとこあるよ。「弱きを助け、強きをくじく」、これを地で行ってたからね。しかし、自民党ならどうかな。自民党の税制なら、大企業さまには「飲みねえ,食いねえ,寿司食いねえ」,私たち一般庶民には「つべこべ言わずに消費税払えよ」,コレ,すんばらしいでしょ? そう思いません? 強きを助け、弱きをくじいてんだから。つまり、ドアホこそ、死ななきゃ治らないということですね。

 

●ひっくり返しましょうぞ!のうた♪ - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=hHPQzFaGYFg

 

●交際費50%まで非課税 大企業対象、景気下支え :日本経済新聞

 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0904H_Z01C13A2EE8000/

 

●交際費大企業も非課税に 支出額の50%まで - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/select/news/20131210k0000e020148000c.html

早々

 

2014年1月 5日 (日)

福島第1原発事故の損害賠償を何故きちんとしないのか(3):原子力損害賠償紛争審査会の「追加指針」は、まだまだ不十分である

前略,田中一郎です。

 

 昨年末、原子力ムラやその代理店政府の下請けとなって、「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」の損害賠償・補償について、被害者切り捨て・加害者救済に極端に偏った「指針」を出し続けていた原子力損害賠償紛争審査会が、ようやく重い腰を挙げて、追加指針を打ち出しました。原発事故被害者のみならず、多くの有識者や市民団体、あるいは全国の有権者・国民から、理不尽極まる、被害者切り捨てはやめろ、原発事故の賠償・補償をきちんとやれ、こんな指針では被害者は人生の再出発をできない、などなど、加害者・東京電力や事故責任者・国、それに原子力損害賠償紛争審査会を批判する声が相次ぎ、この「役立たず」の、「被害者踏みつけ」の、「屁理屈練り上げ」の、原子力損害賠償紛争審査会という組織・委員達も、ようやくこうした声に対応せざるを得なくなってきました。

 

 しかし、です。その内容を新聞報道で見てみると、その不十分さは依然として目にあまります。この原子力損害賠償紛争審査会の委員どもは、一体何なのか、貴様らには被害者の悲しみや苦しみがわからんのか、恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)の危険性が理解できないのか、何故、他の事件や事故と同様に、あるいはそれ以上の理不尽な事故・事件並みに、きちんと賠償や補償をさせようとはしないのか、しようとはしないのか、と言わざるを得ないようなひどい内容です。依然として、人権侵害ははなはだしく、お粗末・不合理・不正儀・悪の御用「指針」に留まっています。

 

 加害者東京電力の「事故責任」を免罪して巨額の税金投入により東京電力を救済する傍ら、「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」の被害者に対しては、まともな賠償も補償も再建支援も行わずに、「自己責任」を押し付ける、まさに金子勝慶應義塾大学教授の言うような出鱈目が、白昼堂々と大手を振って行われているのです。この国は、一体何なのだ、ということです。

 

 こんなことは、同時代に生きるものとして、同じ国の有権者・国民として、看過するわけにはいきません。私は、この理不尽・出鱈目・人権侵害を、今後も徹底して告発していきたいと考えております。以下、新聞報道の内容を簡単にご紹介し、今般の原子力損害賠償紛争審査会の「追加指針」のどこが問題なのかを箇条書きにしておきます。

 

 <新聞報道その他のネット情報>

(1)東京新聞「東電救済=被災民切り捨て+国民負担」 福島原発事故めぐる安倍政権の1年特報(TOKYO Web)

http://takumiuna.makusta.jp/e238132.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013122702000146.html

(この東京新聞記事が、今般の原子力損害賠償紛争審査会の「追加指針」をはじめ、安倍晋三自民党政権の新たな福島第1原発事故への取組方針全体の根本的な歪みを適切に報道しています。えらいぞ! 東京新聞、今年も期待しているからね)

 

(2)(金子勝慶應義塾大学教授)Twitter - masaru_kaneko 東京新聞「こちら特報部」は、「フクシマをめぐる安倍政権の1 ...

https://twitter.com/masaru_kaneko/status/416349516149706753

 

(3)朝日新聞デジタル:帰れない住民に1人700万円 原賠審、賠償の追加指針 - ニュース特集

http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201312260411.html

(この記事にある「一覧表」が、新たに打ち出された旧「避難指示区域」の方々への追加的な賠償・補償金額を分かりやすく提示しています)

 

 

 <原子力損害賠償支援機構法の「追加指針」の問題点>

(1)最大の問題は、「追加指針」で示した賠償・補償の金額増額の対象者が、福島県のごく限られた地域の人達だけ=言い換えれば、旧「警戒区域」や「計画的避難準備区域」あるいは「特定避難勧奨地点」に住んでおられた方々だけに限定されており、それ以外の、たとえば福島県中通り地方や、栃木・群馬・茨城・宮城・千葉・岩手・埼玉・東京などの都県に広がっている放射能汚染地帯、とりわけ1mSvを超えるホット・スポット地域の住民について、一顧だにしていないことです。放射能汚染は県境で止まるわけではありません。今回「追加指針」で対象となった福島県の地域と同じような状況下にある方々に対して、何の「追加対策」も出されてこないのは許されないことです。

 

(2)「追加指針」の対象となった方々も、「帰還困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」の3つで、金額に大きな差が出ています。同じ市町村に住み、同じように被害にあっているのに、この差は理不尽です。この区域分け自体が、賠償・補償金額を値切り、抑え込み、かつ住民を分断・対立させるために仕組まれた、タチの悪い「理屈」づけ・「仕掛け」に他なりません。まさに、ローマ帝国の人民抑圧統治の鉄則「分割し、統治せよ」を地で行く汚いやり方です。全ての被害者に、すべての損害をさっさと払え、が鉄則でなければなりません。であれば、少なくとも、同じ市町村に住んでおられた方々には同程度の金額=つまりは朝日新聞記事の表にある「帰還困難区域」の方々に支払われる金額が支払われて当然です。(被害を受けた財産に違いがあり、その分の補償金額に違いがあるのは、いたしかたないとしても)

 

(3)遅い、遅い、遅い、いつまで待たせてんだ、この野郎、です。賠償・補償の遅延に対しては、電力料金支払い遅延の場合に課せられる「遅延損害金」料率の10%を、3.11に遡って、約3年間の期間を、支払うべき金額に掛けて、増額すべきです。さっさと払え、をペナルティ付きで加害者・東京電力や事故責任者・国に対して強制すべきです。

 

(4)今般の賠償金額は、少し金額が大きくなりましたが、他方でこれは、「手切れ金」とか「切捨て金」とか言われています。しかし、そのようなことは許されません。賠償・補償金が支払われてのちも、一方では、仕事や家業の再建、学校のことやその他の生活の再建、そして故郷やコミュニティや人間関係までもを一挙にすべて奪われた心の痛み=いやせぬスピリチュアルなものへの、さまざまなレベルや方法での対応が、これからも続けられねばなりません。金を払ったのだから、それでいいだろうということにはならないのです。

 

(5)農林水産業や、その他の産業に対する賠償・補償が、依然として出鱈目です。原発事故で被害を受けた生産者・農家(林家を兼ねる)や漁業者の救済が、全くと言っていいほど進んでおりません。たいへんな後始末の負担が押し付けられ、そのためにかかった費用の一部しか補填されない理不尽な賠償・補償に押し込められ、農地や漁場や森林が放射能に汚染されたままに放置されて、農業や漁業や林業を涙ながらに放棄していかれる方が後を絶ちません。また、農業再建・漁業再建・林業再建も、生産者・農家や漁業者、及びその家族が、危険な恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)下におかれながらの農林水産業再開の形をとっており、不当な放射線被曝の押し付けと言わざるを得ないのです。その他の産業の被害者の方々についても、同様の事態を招いています。

 被害者は1千万人レベルで、巨大訴訟を起こすべきです。日弁連は、その巨大訴訟を組織すべきです。

 

(6)そして、最後にもう一つ、最重要なことを申し上げておきます。原子力ムラ・放射線ムラ代理店政府も自治体も御用学者達も、恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)の危険性を、福島県民をはじめ、「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」の被害者のみなさまにきちんと説明をしておりません。無責任で出鱈目な「放射能問題はもう終わった」「放射線被曝はそんなに心配しなくていい」式の「安全安心キャンペーン」「フクシマ・エートス」行為と「放射能や放射線被曝への懸念・心配の声の押しつぶし」を集団的に「わー」という形でやり続けています。

 

 だから、少しまとまった金額の賠償・補償金が出ても、そのお金で、いわゆる「危険な汚染地域」と思われるような場所に、再び住宅を新築して移り住むという、当方で見ていて信じがたいようなことが、今、福島県内で起き始めています。これは不幸なことです。そして、移り住む当事者からの立場で考えると、恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)の危険性を知らないのみならず、他の場所へ行っても、つまり福島県という住み慣れた故郷を離れても、仕事や学校のことなどが心配で、経済的に、社会的に、先行きやっていけるような気がしない、という、追い詰められた状況があるのだろうと推測されます。だからこそ、被害者の方々には、賠償・補償だけでなく、人生再建のための万全の措置がなされなければなりませんし(そのための「子ども・被災者支援法」だったはずです)、避難・疎開・移住後も、きちんとしたケアがなされなければならないのです。

 

 恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)の危険性を、被害者の方々にきちんと説明せよ、これは欠かせない必須の原発事故後の対応です。

 

(7)このままでは、日本は世界に「大恥」をさらす「人権踏みにじり大国」に堕ちていきます。この問題は、被害者の方々だけの問題ではありません。みなさま、どうぞ、同時代に生きるものとして、同じ国の有権者・国民として、人間の最低限の倫理・モラルとして、被害者の方々への支援と、この人権無視の原子力ムラ・放射線ムラ代理店政府・安倍晋三自民党政権、及びその手下・ちょうちん持ち達に、怒りのこぶしをおあげください。

 

 脱原発=脱被曝は、被害者の完全救済と三位一体です。被害者を救わねば、我々もまた、救われないのです。

早々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」から

●原発事故の賠償を何故きちんとしないのか(その1) (原子力損害賠償紛争審査会の新たな方針でも賠償金額が全然足りない) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-cb8c.html

 

●原発事故の賠償を何故きちんとしないのか(その2)(原発事故の損害賠償を踏み倒す東京電力の態度は許されない) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-3355.html

 

●主なレポートのバック・ナンバー(2013126日現在) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/2013126-f3be.html

 

2014年1月 1日 (水)

内部被曝のメカニズム(2):ICRPによる内部被曝線量の計算手順 (長山淳哉著 『胎児と乳児の内部被ばく: 国際放射線防護委員会のカラクリ』より)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 

みなさま、新年が明けました。

今年もよろしくお願い申し上げます。

 

さて、今回は「内部被曝のメカニズム」の第2回目、「ICRPによる内部被曝線量の計算手順」を、前回同様、長山淳哉著 『胎児と乳児の内部被ばく:国際放射線防護委員会のカラクリ』からご紹介いたします。みなさまには、このメールをご覧いただきましたことを契機に、長山淳哉氏の下記著作のご一読をお勧めいたします。

 

●胎児と乳児の内部被ばく 国際放射線防護委員会のカラクリ-長山淳哉/著 本・コミック : オンライン書店e-hon http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032937538&Action_id=121&Sza_id=C0

 

●放射線規制値のウソ 真実へのアプローチと身を守る法-長山淳哉/著 本・コミック : オンライン書店e-hon

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032659868&Action_id=121&Sza_id=C0

 

 

 さて、本論の前に、前回の「生物学的半減期」のことで、言い忘れていたことがありますので、下記に付記しておきます。

 

 <「生物学的半減期」を持ちだして放射能汚染地域の人々を安心させようとする説明は一種の「詐欺行為」です>

 

(1)「生物学的半減期」=つまり、いかなる生物も、いかなる放射性核種も、体内に入った当該放射性物質が半分に減って行く「期間」というものがある、くらいの意味ですが、これは、放射性物質がたった1回だけ体内に入り、それで内部被曝をしてしまった場合にのみ言えることにすぎないということを強く意識しておく必要があります。言い換えますと、「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」により東日本一帯に広がった放射能汚染地域においては、日常的に人間やあらゆる生息生物の住環境に様々な種類の放射性物質がばら撒かれ、それによって人間を含むあらゆる生物は、常に大なり小なり放射線による外部被爆に焼かれ、更に、危険な内部被曝に恒常的に晒されるということです。人間を含むあらゆる生物は、毎日欠かさず呼吸をし、飲食をしていますから、それを通じて、刻一刻と放射性物質は体内に入り込んできます。何が、どういう形で、どれくらい入り込んでくるのか、きちんと知らなければならないにもかかわらず、政府も自治体も、放射能汚染の測定をきちんとしないで、測定する体制も整備しないで、いい加減なままにしながら「安全・安心」のニセモノ宣伝を繰り返しています。

 

(2)住環境に放射性物質が多く存在している場合には、ある日いったん体内に入った放射性物質が、仮に「生物学的半減期」で翌日以降に体外に排出されたとしても、その翌日以降には、新たに放射性物質が呼吸や飲食などを通じて体内に入ってきます。ですから、全体内に蓄積している放射性物質の量は、出ていく放射性物質と入ってくる放射性物質の量の差し引きで、増えるとも減るとも言えませんし、むしろ、恒常的に身の回りにいろいろな放射性物質が散乱している場合には、入ってくる方が多いと推測する方が無難であると言えるでしょう。そうすると、放射性物質は、時間がたつにつれて減って行くどころか、じわじわと増えていくということになりかねません。

 

(3)更に恐ろしいことには、環境にばら撒かれている放射性物質は放射性セシウムだけではありません。骨に蓄積しやすい放射性ストロンチウムや、肝臓や生殖器や脳や肺に蓄積しやすいプルトニウムなどの場合には、いったん体内に入ったが最後、ほぼ死ぬまで対外に排出されてしまうことはないのです(一部排出されるとしても)。それから、よく、国際放射線防護委員会(ICRP)や原子力ムラ・放射線ムラの御用学者達が見せてくれる「右肩上がりの曲線で、横軸が時間、縦軸が体内蓄積される放射性セシウムの量」のグラフで、一定期間が過ぎると「増えもせず、減りもしない、定常状態=水平線」となっているのを目にしますが、あんなものは、「一定量の放射性セシウムを毎日摂取し続けた場合」という、およそ一般の人の場合ではありえない、机上の空論的モデルケースを描いているものにすぎません。

 

実際には、それ以上の量の放射性物質が体内に蓄積されることもあれば、それ以下の場合もあるのです。そして、それもまた、放射性セシウムだけの場合であって、恐怖の放射性ストロンチウム、プルトニウムの場合には、その体内での挙動と健康被害の関係など、まともに説明されたこともないという、どうしようもない状況下にあります。要するに、危険だから隠しているのです、話さないようにしているのです。

 

(4)そして、もう一つ大事なことは、放射線被曝とその健康への影響は、体内の放射性物質の量が決め手ではありません。決め手は「累積の被曝線量」です。人間を含む生物が死亡するまで、累積でどれだけ被ばくするか、これが健康被害の度合いを決めます。だから、「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」のように、事故直後に大量被ばくしている可能性のある人は、その後は、極力無用の放射線被曝をすることを避け、被ばくする量の累積値が上がらないよう、万全の対応をしなければなりません、一度被ばくをしてしまうと、それは「履歴」として残り、その人のその後の、晩年の健康障害の可能性を高めてしまうのです。「放射線被曝履歴」は一生消えることはありません。このことも、政府や自治体や御用学者などは、汚染地域の国民・住民にきちんと説明をしておりません。

 

(5)そんな中で「生物学的半減期」という概念は、その科学的・実証的根拠もあやふやなままに、しきりに、一定期間がたてば、放射能はどこかへ消えて行ってなくなってくれる、どんな人でも体の外に自然に出て行ってくれる、だから時間がたったら大丈夫なのだ、という、きわめて危険で軽率で安易な誤った判断を汚染地域の国民・住民に持たせるべく、御用アカデミズムの権威と、不勉強のマスごみを使って大宣伝されているのです。

 

 気をつけよう、暗い夜道と「生物学的半減期」。だまされません「生物学的半減期」!!! 放射能汚染地域で恒常的な低線量内部被曝に晒される住民にとって「生物学的半減期」など、ほとんど関係ありません。

 

 

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 <ICRPによる内部被曝線量の計算手順>

 こういう話は、普段はあまり見たり聞いたりされない話です。原子力ムラ・放射線ムラの御用学者達が、ホンモノの科学者・技術者であったならば、こんなことを我々が知ることも、勉強することも必要のないことで、我々は、ただ、その結論だけを利用させてもらえば十分です。しかし、嘘八百とハッタリと不都合隠ぺいと屁理屈の固まりの似非学者のやることは、全く信用できませんので、おのずと自分の目と耳で確かめる他ないのです。この詐欺師たちのおかげで、我々の貴重な時間が、余計なことに浪費されてしまうわけです。

 

 さて、前回同様、上記でご紹介した著書より、大事なところを抜き出してご紹介いたしましょう。放射性物質の量であるベクレルから、いったいどうやって被ばく線量であるシーベルトの値が導かれているのでしょう。そこに原子力ムラ・放射線ムラの日常的な慣習であるインチキ行為はないのかどうか、しかと見ていきましょう。

 

(1)P74

「図を一見してわかることは、すべてについてモデル化している、ということです。まず、人間の体です。これは標準人モデルというものを考えています。これは図Ⅱー4です。標準人モデルというのは、男性は身長が一七六センチメートル、体重は七三キログラムです。女性は身長一六三センチメートル、体重六0キログラムとなっています。日本人の平均よりはかなり大きな体格です。この人体モデルへの放射線の取り込み、つまり、体内への侵入を三つのモデルについて考えています」

 

「一つは呼吸による呼吸気道モデル、次が腸からの吸収による胃腸管モデル、そして最後が傷口からの皮膚ー傷モデルです」

 

「呼吸気道モデルにしても、胃腸管モデルにしても、それらのモデルの中味は近年のものほど、複雑化し、より精巧にしています。しかし、いくら精巧なモデルを作り、高度な数式を用いたところで、実際にはそれに見合うだけの十分なデータがありません。すべては仮定と平均の話です。ですから、ある種の遊ぴ、あるいは絵空事以上のものではありません」

 

 ⇒(田中一郎)やはり、そうでしたか。いつも申し上げておりますが、科学とは「経験科学」であり、それは不断の「実験」「観察」などによる「実績数値」や「経験的事実」によって検証されて初めて「科学」と言えるのです。つまり、科学=経験科学は、その本質的な性質は帰納的であります。特定の思考の産物であるモデルを金科玉条とし、それを演繹的に展開してみせて、その結果を権力で押し付けるような原子力似非科学・放射線被曝似非科学などは、ある意味で現代のアホダラ教の一種と考えていいものです。私がかつて見た、ベクレル・シーベルト換算係数には「モンテカルロ法」という、博打うち達が使っていたと言われる「予測法」が使われているとのことでした(下記参照)。まさに長山淳哉氏がご指摘の通り[ある種の遊び」か「絵空事」にすぎません。

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●ICRP国内メンバーによる内部被曝論はいかなるものか いちろうちゃんのブログ http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-2747.html

 

(2)P77

「(前略)それは組織荷重係数を決めるときの各糠器の放射線への感受性です。この感受性も、各臓器の生理学的特性や化学的組成にもとづいて、ただ機械的に計算されているだけです。個人差の入り込む余地はまったくありません。ですから、このようにして算出された実効線量係数に、実際、どれほどの現実味があるかといえば、ほとんど何もないといっても過言一ではありません。しかし、現実には、放射線の影響やリスクは、この係数をもとにして考えられています。生身の人間の私どもとしては、とても許容できる話ではありません」

 

 ⇒(田中一郎)やっぱりそうでしたか、そうではないかと思っていたのです。

 

(3)P80

「一年間のセシウム137の摂取量がわかれば、そのベクレル数をこの実効線量係数にかけることにより、一生涯の全身被ばく量が計算できるということです。しかし、これは、これまでにもお話ししているように、一人ひとりの個別の被ばく量ではありません。ICRPが考えた平均的な標準人モデルに対する被ばく量です。ですから、個々人への影響やリスクを評価するのに使ってはいけません。一つの目安としての値でしかないのです」

 

 ⇒(田中一郎)前々から申し上げているように、こういうことも含めて、放射線被曝の研究の極度の遅れから、放射線被曝の人間の健康への影響を評価し、その対策を考えるにあたっては、いわゆる「安全係数」を掛けることにより「安全の方向へ向けてのバッファ」を確保しておく必要があるように思われます。飲食の安全性の場合の安全バッファは1/100、100倍が使われています。、しかし、放射能や放射線被曝の場合に、原子力ムラ・放射線ムラの御用学者達は、逆に、我田引水的な、楽観的な方向への「危険性の間延び」を屁理屈でねじ入れ、ただでさえ危険な放射能や恒常的な低線量内部被曝を、より危険な方向にバッファを用意するという、とんでもない出鱈目を平気で押し通しているのです。

 

 たとえば、年間1mSvは、時間単位では0.22マイクロシーベルト/時だとか言われておりますが、単純に0.22mSv/時×1年間=1.927ミリシーベルトとなります。1mSvどころではありません。これは、一般に人は1日で家の中にいるのが2/3だとか、その家の中では、外に比べて放射線の量は4割くらいに減少しているだとか、そんなこと、個別個別で違うだろう、というようなことを、さも一般的であるかのごとく前提にして、安全バッファを設けるどころか、危険へ向けてステップさせているから、かようなシーベルトの数値の違いが出てくるのです。1mSvを時間あたりに換算する場合には、単純に、1mSv÷24時間÷365日で計算すればいいだけです。

 

 放射線被曝は、より軽く、より低く、より安全に評価し、ろくでもない原子力の「ご利益」は、その深刻なマイナスや危険性を棚上げして、より大きく、より重厚に、より堅固に評価する、これが忍法「原子力ムラ・放射線ムラのちょろまかしの術」です。

 

 今日はこれくらいにいたします。

早々

 

内部被曝のメカニズム(1):生物学的半減期 (長山淳哉著 『胎児と乳児の内部被ばく: 国際放射線防護委員会のカラクリ』より)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした。代替として、一部、説明表を添付します)「nagayama_betuhyou.pdf」をダウンロード


 今回から数回に分けて、長山淳哉元九州大学大学院医学研究院准教授の新著『胎児と乳児の内部被ばく:国際放射線防護委員会のカラクリ』(緑風出版)をご紹介したいと思います。長山淳哉氏の著書につきましては、前著『放射線規制値のウソ:真実へのアプローチと身を守る法』から、私が一昨年に拙文「(増補版)シーベルトへの疑問」を書くにあたり、多くのことを参考にさせていただきました。今回の新著は、それに続く、内部被曝理解のための必読の著書です。みなさまには、このメールをご覧いただきましたことを契機に、ご一読をお勧めいたします。

 

●胎児と乳児の内部被ばく 国際放射線防護委員会のカラクリ-長山淳哉/著 本・コミック : オンライン書店e-hon

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032937538&Action_id=121&Sza_id=C0

 

●放射線規制値のウソ 真実へのアプローチと身を守る法-長山淳哉/著 本・コミック : オンライン書店e-hon

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032659868&Action_id=121&Sza_id=C0

 

●(増補版)シーベルトへの疑問 いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-d2f2.html

 

 

 今回は、長山淳哉氏の著書のP56~P74に記載されている「生物学的半減期」に関することを簡単にご紹介いたします。まず、最初に、P56に記載されている同署の下記記述にご注目いただきたいと思います。

 

(以下は、一部引用です)

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 「遺伝子不安定性やバイスタンダー効果は、放射線によってDNAが直接に損傷されなくても、遺伝的変化や障害が生ずる、ということを示しています。このことは二十世紀までの放射線影響学の分野において、長い間、揺らぐことのないセントラルドグマであったDNA標的説では説明できない現象です。このような視点から、これまでの放射線による人間への影響とリスク評価は根本的にまちがっている、といえます。そして、そのことがまったく考慮されていない現行の放射線規制値とか食品からの摂取基準などというものもすべて、改正されねばなりません」

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 これは常々、私から申し上げていた放射線内部被曝による細胞生理や生命秩序の破壊=エピジェネティクス・メカニズムの破壊のことです。原子力ムラ・放射線ムラの似非科学が、内部被曝の実態解明のための科学的究明や実証研究を怠り、あるいは政治的に妨害し、まるで素人だましの「低線量内部被ばく安全論」や「DNA(だけ)損傷論」を繰り返しているうちに、分子生物学や細胞生理学の発展から取り残されてしまったことを意味しています。まるで1960年頃の生物学を未だに振り回して、内部被曝はDNAを損傷するが、それが修復されたり再生されたりすれば、それ以外には、たいして危険性はないかのごとき嘘八百が、まことしやかに語られてきました。

 

 しかし、内部被曝の実態は、特に恒常的な低線量内部被曝の実態は、DNA=遺伝子のみならず、遺伝子を発現させたり、停止させたりしている細胞内の「複雑系」であるエピジェネティクス的機能を、放射線の猛烈なエネルギーでメチャクチャにしてしまうということであり、それはとりもなおさず、ただ単にDNA=遺伝子だけに注目していればいい、というものではないということなのです。原子力ムラ・放射線ムラのインチキ似非科学にだまされてはなりません。

 

 では以下に、著書に沿って、簡単にその内容をご紹介いたします。第1回の今回は、「第二章 実効線量計数のカラクリ」に書かれている「生物学的半減期」についてです。「実効線量計数」とは、内部被曝評価において、ベクレル値をシーベルト値に換算する換算係数のことです。

 

 

1.まずP59の「表Ⅱー1:放射線に関連する用語の単位とその意味」は、一種の復習のようなもので、前著で説明されていた「シーベルト体系」という放射線被曝の体系の概念説明になっています。再度、別添PDFファイルで、その内容をご確認ください。

 

 長山淳哉氏には失礼ですが、私は同氏の組織荷重係数の説明が舌足らずになっているように思います。「組織や臓器の放射線への感受性を相対的に表わした係数で、合計が1.00」と説明されているのですが、何故、合計が1.00なのかが説明されていません。結論だけを申し上げれば、この組織荷重係数は、内部被曝も外部被爆と同様に考えて、被ばくを全身で受ける、というような認識をしながら評価しているためだと思われます。だから、体の全臓器・部位の被ばく線量を足し合わせると、組織荷重係数を掛ける前と同じ数字になる、という、そういう概念設計になっているのです。まさに原爆で全身被曝をした場合の被曝評価の概念体系です。

 

 しかし、それは内部被曝の実態とはまるで違います。局所的・集中的・継続的に被ばくする内部被曝を評価するのに、全部足したら1.00などという組織荷重係数は使うことはできません。これでは、被ばくを全身に「散らす」「分散させる」ことになってしまいます。

 

 それから、この節での重要な記述を、以下に引用しておきます。生物学的半減期に関する長山淳哉氏の結論がズバリと書かれています。

 

(以下は、一部引用です)

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「実効線量係数はひとえに、生物的半減期により決まるといっても、過言ではありません。それほどに、生物的半減期は重要なのです。そこで、第二章では生物的半減期の個人差、つまり、個人個人でのバラツキに焦点をあてます」

 

「個人差、バラツキがどうして問題かといいますと、すでにお話ししたように、実効線量係数が、これらのバラツキの平均値で決められているからです。人間一人ひとりのリスクは、平均値では決められません。とても放射線に強い人もいれば、とても弱い人もいます。私たちは、とても弱い人、影響をうけやすい人を基準にして、リスクを考えなくてはいけません。平均値で考えてはいけないのです」

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2.次にP73、いきなり結論で恐縮ですが、長山淳哉氏の説明が続いた後、同氏は、「表Ⅱー5:ICRPのデータから求めたオーバーオール生物的半減期」と「表Ⅱー6:実測のオーバーオール生物的半減期」を比較しながら、国際放射線防護委員会(ICRP)が如何に乱暴な生物学的半減期の数値を出しているかを説明しています。(別添PDFファイル)

 

(以下は、一部引用です)

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「まず、生後一年未満の赤ちゃんの場合、表Ⅱー5では一六日となっています。しかし、実際には表Ⅱー6に示されているように、11名という極めて少人数のデータでも、10日から33日で、16日よりも短かったり、二倍以上長かったりしています」

 

「五歳から一七歳については、表Ⅱー5では、では、二一日から八一日ですから、表Ⅱー6の二九日から八八日とほぼ同じ変動幅です。しかし、実測値のほうが、長いほうにズレています」

 

「大人については、ICRPでは九九日となります。しかし、九一名の実測値では、それよりもかなり短い四二日から、とても長い161日まで、広い範囲に分布しています」

 

「以上のように、10名から100名弱という少数の人々についてえられた実際の生物的半減期でも、ICRPが採用している生物的半減期とは、大きなちがいがあるのです。ましてや、何万人、何十万人になれば、はるかに大きな個人差があるはずです。すなわち、それだけ、放射性物質の影響のうけ方にちがいがあるということです」

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 私は、「生物学的半減期」なるものには、実証的・科学的根拠がほとんどないのではないか、と思っております(ひょっとすると、正規分布さえしていないかもしれません)。原子力ムラ・放射線ムラの連中が、チェルノブイリ原発事故後の多くの疫学的調査に対して、「調査数が少ない」などのナングセをつけて、放射線被曝による健康被害の深刻さを頭から否定しておりますが、私はそれをそのまま、この連中の「生物学的半減期」や、それを根拠に算定された「実効線量計数」に対して、投げつけてやりたいと思っております。

 

 原子力ムラ・放射線ムラの御用学者達の言う「生物学的半減期」や「実効線量計数」には、科学的・実証的根拠などありはしない。ちがう、あるのだ、というのなら、その科学的・実証的証拠を見せて見ろ、これが私が申し上げたいことです。

 

今回は以上です。

早々

 

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