遺伝子組換え(GM)食品の安全審査を巡る究極の出鱈目=特定のGM食品をGMなのにGMじゃないとウソを言って安全審査からはずし,更に、GMかどうかの判断も企業に委ねる!
前略,田中一郎です。
私はこの情報をある方から教えていただき驚きました。
遺伝子組換え食品の安全性審査について「究極の出鱈目」がなされようとしています。
遺伝子組換え(GM)食品のうち,下記の定義に従う2つのものを「同一種のDNAであり,自然界にも存在するものであるから,安全性に全くの懸念なし」などとして,安全性審査の対象から外し,更に,企業が開発し販売する,その(新)GM食品が,下記の定義に沿うものかどうかの判断までもを,その開発し販売する企業に委ねてしまおうという,とんでもないことが画策されているのです。
かような遺伝子組換え(GM)食品の安全性審査ルールが導入されれば,GM食品を開発・販売する企業は,いわば当局(厚生労働省・自治体)の事前の安全性審査や,その後の安全性チェックから自由となり,好き勝手放題をやり始めることでしょう。企業の判断について第三者の客観的な証明・検証がなされるわけではなく,また、どのような(新)GM食品の何を「厚生労働省が定めた定義に沿う(ので勝手にやります)」と判断したのかの届け出もないので、本来は(新)GM食品で安全性審査が必要であったものを企業が「必要なし」としたものが何なのかさえ,誰にもわからないままに食品流通に乗って来ることになります。つまり消費者・国民は,知らない間に安全性の審査もチェックもされていないGM食品を買って食べてしまうことになるのです。これぞ究極の「遺伝子組換え食品に関する安全性審査の手抜き」ではありませんか。
まず,下記の(厚生労働省諮問機関)「薬事・食品衛生審議会」のサイトにある資料をご覧ください。
*食品衛生分科会新開発食品調査部会遺伝子組換え食品等調査会審議会資料
|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000024607.html
この中で,上記に関連する重要な資料は次の3つです。
(1)資料2 「セルフクローニング」・「ナチユラルオカレンス」の取扱いについて(案)(PDF:73KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000024761.pdf
(2)資料2 《別添》(PDF:102KB)
「遺伝子組換え微生物による食品添加物について明らかに遺伝子組換え添加物に該当しないとして事業者判断とするものの判断基準(案)」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000024762.pdf
(3)参考資料5 遺伝子組換え植物の掛け合わせについての安全性評価の考え方(PDF:42KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000024782.pdf
今回,この審議会で検討されている(新)GM食品は,「ナチュラル・オカレンス」と「セルフ・クローンニング」と呼ばれている,明確に「遺伝子組換え」の食品です。当然ながら,これを食品として流通させるというのであれば,厳格な安全性の審査が必要なことは言うまでもありません。今までこの世に存在しなかった「食品」(?)なのですから当然のことです。しかし,今回持ち出されてきた厚生労働省の対応(案)は,この(新)GM食品の安全性審査を「省略」して,企業にゆだねてしまおう・厚生労働省は安全性審査から原則降りてしまおう,というわけです。
その「ナチュラル・オカレンス」と「セルフ・クローンニング」の「定義」ですが,上記の厚生労働省文書(1)には次のように書かれています(3枚目)。また,その定義に従うGM食品添加物についての新たなルール(案)も書かれています。
・・・・・・・・・・・・・・(以下,厚生労働省HPより引用)
「<セルフクローニング・ナチユラルオカレンスとは>
ここでは、これまでの知見を踏まえ、セルフク口ーニング・ナチュラルオカレンスとは、以下のものを言うこととする。
●「セルフクローニング」とは、組換えDNA技術によって最終的に宿主に導入されたDNAが、当該宿主と分類学上同ーの種に属する微生物のDNAのみであるもの
●「ナチュラルオカレンス」とは、組換え休と同等の遺伝子構成を持つ生細胞が自然界に存在するもの」
(田中一郎付記:そして,この2つのタイプの遺伝子組換え(GM)食品については,次のようにする(改悪後)というのです)
「1. 「セルフクローニング」・「ナチユラルオカレンスJの位置づけについて
厚労省告示「組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査の手続に関する告示」等において、「セルフクローニング」や「ナチュラルオカレンス」に該当する微生物によって得られた添加物については遺伝子組換え添加物に含まれないことを明示する。」
「2.「セルフクローニング」「ナチユラルオカレンス」であることの判断の方法について
「セルフク口一二ング」「ナチュラルオカレンス」の範囲を、網羅的に規定することは、諸外国にも類例がなく困難であるが、該当性に関する検討の蓄積を踏まえ、一定の基準を設けて、「セルフク口ーニング」「ナチユラルオカレンス」に明らかに該当する場合については、その旨を事業者が自ら判断できることとする。」
・・・・・・・・・・・・・・(以上,引用終わり)
これは驚くべきことです。まず,1.で,明らかに遺伝子組換え(GM)食品(具体的には食品添加物)である「ナチュラル・オカレンス」と「セルフ・クローンニング」のGM食品を「遺伝子組換え添加物に含まれないことを明示する」というのです。まるでインチキそのものです。
更に,新たに開発されてくる(新)GM食品(具体的には食品添加物)については,それが「ナチュラル・オカレンス」や「セルフ・クローンニング」に該当するか否かを,その開発・販売する企業に委ね「その旨を事業者が自ら判断できることとする」というのです。いわゆる「利益相反行為」どころの話ではありません。
そして,この「ナチュラル・オカレンス」や「セルフ・クローンニング」に該当するか否かの判断基準を,上記の厚生労働省文書(2)「遺伝子組換え微生物による食品添加物について明らかに遺伝子組換え添加物に該当しないとして事業者判断とするものの判断基準(案)」で今回示したのです。
厚生労働省が,こうしたトンデモ・インチキを,「薬事・食品衛生審議会」という歴史的に悪名高い御用審議会に諮ってまで強引にやろうとするのには,それなりの理由があります。それは,輸入食品を中心に未認可の遺伝子組換え(GM)食品添加物がわんさと使われ,あるいは未認可のGM食品添加物が海外から大量に輸入され,それが日本の食品産業界(主として加工食品)に溢れかえっているからです。
食品添加物ですから,それだけを大量に食べる人はいないでしょうが,しかし,過去に起きた昭和電工トリプトファン事件などから鑑みれば,その潜在的な危険性は大きいと言わざるをえません。厚生労働省や「薬事・食品衛生審議会」の御用学者・御用人間達は,こうしたことを重々承知の上で,今ある輸入食品・輸入食品添加物の出鱈目状態を法的に追認しようとしているわけです(これでは,まるで「薬事・食品衛生審議会」ならぬ「悪事・食品不衛生審議会」ではないでしょうか)。
何故なら,未認可のGM食品添加物を,それそのものだけでなく,それを使った加工食品までもを(輸入食品を含む),網羅的に悉皆的に全部調べ上げるというのは,相当に労力や費用のいる仕事だからであり,それはまた,国内外の(食の安全を二の次にしている)巨大食品産業・企業の利害に反することでもあるからです。当然,国際的な問題にもなります。
しかし,この案が通れば,既存の未認可GM食品添加物(と,それを使った食品=そのほとんどが輸入食品添加物及び内外の加工食品)は,そのまま全部自動承認されることになるでしょう。まさに出鱈目の極致ですが,厚生労働省らしい「悪事」と言えなくもありません。そして,おそらくは,これが近々妥結となるであろうTPPに対するわが国の(厚生労働省の)「備え」「準備」ということでもあるのだろうと思います。TPPが「食の安全」を破壊する,という自明の理は,まずはGM食品添加物からスタートとなるのです。まさにTPPの「添加物」です。
*ウィキペディア:トリプトファン事件
既に未認可のGM食品添加物が日本国内で流通してしまっていることは,少し前に表面化しています。厚生労働省は,これに対してもきちんとした対応をとることなく,その大半について回収指示も出さないまま,もう一つの御用委員会である食品安全委員会に,その安全性追認を大急ぎでさせております。遺伝子組換え食品に関する出鱈目は今に始まったことではないのです。
*遺伝子組み換え微生物を使った添加物の流通停止と回収を!関係省庁に申し入れ|プレスリリース|生活クラブ連合会
http://www.seikatsuclub.coop/coop/press/20111220t.html
ここで,上記でご紹介した厚生労働省の文書(案)の中身の出鱈目ぶりを若干ご紹介しておきます。
(1)資料2 「セルフクローニング」・「ナチユラルオカレンス」の取扱いについて(案)(PDF:73KB)
(この文書の主な内容は上記でご紹介し,コメントいたしましたので,残りの部分についてのみコメントします)
・・・・・・・・・・・・・・(以下,厚生労働省HPより引用)
「○「セルフク口ーニング」・「ナチュラルオカレンス」に該当する微生物を利用して製造された食品・添加物については、食品安全委員会の安全性評価基準(参考資料1)において安全性評価の対象には含まれておらず、実際にも、食品安全委員会で個別事例ごとに安全性評価は必要ない」と判断されている。」
「○ 現在、これら安全性評価を必要としない「セルフクローニング」・「ナチユラルオカレンス」に該当する微生物を利用して製造された食品・添加物についても、全例、食品安全委員会に食品健康影響評価を要請するが、安全性の評価はされず、当該事例に該当するか否かが判断されている。」
・・・・・・・・・・・・・・(以上,引用終わり)
(田中一郎コメント)
消費者・国民を代表して「食の安全」を徹底して守らなければならない役回りの食品安全委員会が,GM食品添加物の安全性審査において,既にかような「手抜き」=食品産業のための規制緩和,をしていることが,そもそもの大問題でしょう。「全例、食品安全委員会に食品健康影響評価を要請するが、安全性の評価はされず、当該事例に該当するか否かが判断されている」などは,安全性審査そのものを放棄した行為であり,食品衛生法違反そのものではありませんか。
BSEの一件といい,こんにゃく食品ののど詰め問題といい,飲食の残留放射能規制値の一件といい,残留農薬問題といい,その他の多くの事例といい,もはやこの食品安全委員会は「存在悪」となってしまった反消費者・国民的「御用審議会」であり,早々にメンバーを全部入れ替えて消費者委員会の下に置くか,廃止するのが適当です。この委員会に「食の安全」の確保を期待することは,全くの「お門違い」という事態に陥っています。(マスコミにもしっかりしてもらわないといけません。「食の安全」に関してロクな記事を書いていないから,こうなってしまうのでしょう,早く目を覚ましていただきたいものです)
(2)資料2 《別添》(PDF:102KB)
「遺伝子組換え微生物による食品添加物について明らかに遺伝子組換え添加物に該当しないとして事業者判断とするものの判断基準(案)」
(この資料の3枚目の説明図が,今回の話の概要を分かりやすく図示しています。是非,ご覧ください)
・・・・・・・・・・・・・・(以下,厚生労働省HPより引用)
「3.食品添加物の生産に用いる微生物について、その遺伝子組成を有する微生物が自然界に存在すると認められる科学的な根拠があること。具体的には、次の(1)又は(2)のいず、れかに該当することが、①から③のいずれかにより確認されること。
(1)最終的に得られた微生物における挿入DNAの供与体と宿主が同ーの種に属する場合
(2)現時点において別種と分類されている微生物を供与体と宿主の間であっても、学術論文等において自然界において両者の間で遺伝子交換が起きていていることが明らかになっており、最終的に得られた微生物における挿入DNAの供与体と宿主がこの両種に属する場合。具体的には、これまで食品安全委員会が「組換え体と同等の遺伝子構成を持つ生細胞が自然界に存在する場合」に該当するとした宿主及び供与体が属する種の組合せの場合をいう。」
・・・・・・・・・・・・・・(以上,引用終わり)
(田中一郎コメント)
「最終的に得られた微生物における挿入DNAの供与体と宿主が同ーの種に属する場合」であろうがなかろうが,DNA(遺伝子)を人間がいじくって操作し,順序を入れ替えたり切り貼りしたりしたのでしょうから,遺伝子組換え食品であり,遺伝子操作食品であることには違いありません。安全性審査をしないということの理由にはなりません。こんなものが食品として安全だなどとはとても言えません。
「学術論文等において自然界において両者の間で遺伝子交換が起きていていることが明らかになっており」などと書かれていることに対しては,「あなたは阿呆か」と言いたくなります。少し前の新聞を見てみたらどうでしょうか。大学の先生方が自身の発表する学術論文に事実と相違する嘘八百を書いたり改竄したりして,製薬メーカーその他の便宜を図っていたことが発覚しているではありませんか。学術論文に書いてあるから,それは正しい? あなた新聞読んでるの?
それに「自然界にあるものだから」とか「最終的に得られた微生物における挿入DNAの供与体と宿主がこの両種に属する場合」についても,自然界にあるから,同種だから,全て安全,などとは言えないでしょう。遺伝子は操作され,組換えられているのです。これを食品として食べる場合に,同種だから安全です,どうぞどうぞ,と言われて,はい,安心しましたと言って食べるのですか? そんなに「自然界」「自然界」というのなら,その「自然界」のものを使えばいいでしょう。
・・・・・・・・・・・・・・(以下,厚生労働省HPより引用)
「①査読のある論文に公表されている,②学会のポジションペーパー等、複数の専門家により根拠のあるものとして紙面にまとめられている,③関連する国の審議会、検討会等において、複数の専門家によりコンセンサスが得られている」
・・・・・・・・・・・・・・(以上,引用終わり)
(田中一郎コメント)
これもバカバカしいを通り越して,かようなインチキなど許せますか,のレベルです。査読付論文掲載や複数の専門家のコンセンサスでOKなら,御用学者を数名ばかり買収して「そうだ,そうだ」と言わせれば済む話になります。こんなものが基準になるのなら,このGM食品添加物を開発・販売する企業はさぞかしラクチンに違いありません。
なお,上記文章に続いて「5.発現プラスミドの形で目的遺伝子を導入する場合においては・・・・・」の部分も,基本的に上記の「3.食品添加物の生産に用いる微生物について・・・・・・・」と同様のことが言えます(省略)。
それから,こんないい加減な安全審査もしないGM食品添加物に対して,政府は「特許」を与えている可能性が高いと思われます。安全性審査においては,「自然界に存在するありふれたものだから,安全性審査は必要ない」といい,特許については「他に存在しない発明品」と主張するのです。ご都合主義の「二正面作戦」の最たるものです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最後に申し上げることとして,我々消費者・国民が厚生労働省に対応させるべきこととしては,まず,この案の全面撤回,次に,既存の流通している食品添加物(ほぼ100%輸入品)や,その食品添加物を使った加工食品(国産・輸入両方)の悉皆的・網羅的調査と,未認可食品添加物の追放,そして,GM食品添加物の安全性審査の適正化,最後に,「ナチュラル・オカレンス」や「セルフ・クローンニング」によるGM食品(食品添加物を含む)の徹底した食品表示です。
これまで「食の安全」のために先頭に立ってきた消費者団体や有識者の方々の積極的な取り組みに期待いたします。出来る限り多くの消費者団体・市民団体・有識者等により,この隠蔽・歪曲の「(未認可)隠れGM食品添加物」(及びその不正・悪事の恒久化)の食品表示上の扱いも含めて,何らかの毅然とした批判表明が強く望まれていると思われます。
また,我々消費者・国民の「食の安全」は,TPPを代表格とする市場原理主義と,それに頭がイカレた政治家や政府・霞が関の官僚達,及びその僕(しもべ)となっている御用学者・御用人間らによって,風前のともしび状態にされています。明日は日本で「第二次トリプトファン事件」が勃発しないとも限らないのです。
みなさま,遺伝子組換え(GM)食品・GM食品添加物・GM技術を我々消費者・国民の食卓から追放いたしましょう。
早々
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