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2013年12月25日 (水)

除染という「やるやる詐欺」

前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)


 別添PDFファイルは,昨今の「除染」に関するマスコミ報道を若干集めたものです。少し前に朝日新聞が,福島県で実施されているずさんな除染作業の実態をスクープし,大きな社会的反響を引き起しましたが,その後も事態の改善はあまり見られている様子はなく,各記事が示すように,除染の現場は依然としていい加減で,ずさんで,出鱈目のようです。

 担当責任官庁は,除染の進捗状況や除染の実施状態の全体管理も含めて環境省で,あの石原伸晃が担当大臣ですが,この男は,この除染事業のひどさを少しでも改善・改革せんとする真摯な姿勢に欠けていて,「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」で被害を受けた福島県や周辺の都県の住民を小馬鹿にしながら,自分達の政治的地位や権限・利権の維持・増進に汲々としている,どうしようもない政治家です。

 本来,原発事故で重篤に放射能で汚染されてしまった後の対策として除染を行う場合には,チェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国の経験を十分に踏まえ,たとえば次のような手順で行うべきものでした。しかし,今の日本の現状は,これとは真逆の,ほんとうに目を覆いたくなるような,どうしようもない出鱈目状態が続いています。二次災害を防ぐためにも,また,再びの原発過酷事故対策のためにも,あるいは被害者の方々の完全救済のためにも,一刻も早く,事態の改善が図られなければなりません。


 <本来の除染のあり方>
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(1)年間被曝線量が5.2ミリシーベルト以上の放射線管理区域指定基準を超える空間線量区域は,すべて「強制移住区域」とし,被害者住民に対して万全の賠償・補償・再建支援・事後フォローを行いながら,原則全員の避難・疎開・移住を行うことが必要である。この地域の全ての産業は停止させられなければならない。

(2)年間1~5.2ミリシーベルトの地域では,避難・疎開・移住を選択するか,そのまま定住するかを住民の選択にゆだね,住民がどちらを選択しても,その住民が苦しむことのないように,加害者・東京電力や事故責任者・国は万全の対応・対策を行わねばならない。

 一方では,避難・疎開・移住を選択した住民に対しては,上記(1)と同じ対応を行い,他方で,そのまま定住を選択した住民に対しては,徹底した除染を行った上で,定住してもらう。環境汚染のレベル(ベクレル単位)や空間線量(シーベルト)などは,当然,事故前とほぼ同水準になるまで,徹底した,きめ細かな除染がなされなければならない。(低線量域での除染を効果あるものにするためには,児玉龍彦東京大学教授の話によれば,徹底したきめ細かな汚染状況調査と,ピンポイントで,汚れているところだけをきちんと取り除く,これまたきめ細かな除染作業が必要不可欠である)

(3)そして,除染するにしても,まず,一時的に避難・疎開である。特に,胎児・子ども・妊婦・若者は,1ミリシーベルトを超えるような汚染地域に残してはいけない。一刻も早く避難・疎開をして,移住するにしても,帰還するにしても,無用の放射線被曝を徹底して避ける必要がある。(特に恒常的な低線量内部被曝は危険=呼吸+飲食+傷口)

(4)1ミリシーベルト以下の地域の被害者住民も,「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」以前の状態になるまで,加害者・東京電力や事故責任者・国に除染をしてもらう権利を有している。更に,被害者によっては放射線感受性が高く,低線量であっても危険な人もいるので,ケースバイケースで,この地域の人々に対する丁寧な対応が必要だ。

(5)除染は,そもそも低線量地域=放射能汚染がそれほどでもない地域のホット・スポットから,徹底して行っていくべきである。事故原発の周辺地域や,広域に線量が高い地域は,除染は当分の間見送り,住民の避難・疎開・移住と,新しい土地での生活や仕事の再建と,新しい人間関係や地域コミュニティの形成に注力すべきである。

(6)森林の除染はできないし,海洋の除染もできない。河川・湖沼の除染については,規模が小さい場合には可能なこともあり得るが,たいていは不可能である。こうしたところを,(表面的な)住民の意向という形式的な理由で,だらだらと,巨額の税金をつかって除染するということは,文字通り「除染事業者」=原発関連ゼネコンや原子力ムラ外郭団体などを潤すだけの「新原子力利権事業」を広げて行くことになる。

 地域住民は,その利権事業者に日雇い的に雇用され,いい加減な労務管理の下で,除染作業で大量に被曝させられ,除染は「移染」と言われるように,放射性物質を右から左に動かすだけの作業に終始し,従って,放射能や線量もたいして下がらず,しばらくすると近隣の山林・森林から放射能を含む風が吹き下ろしてきて再び汚染状態に戻り,そしてまた,同じことを繰り返す,ということになっていくのである。

(7)汚染地域の住民に対しては,厳しい現実をきちんと説明し,除染は効果があまりないこと,巨額の税金を除染に使うのではなく,(一時的を含む)避難・疎開・移住に使う方がはるかに合理的で健全であること,放射能は放置しておいても,少しずつ減少していくこと,恒常的な低線量内部被曝の環境は胎児・子どもを含む若い世代に対しては極めて危険であること,被害者の損害や苦悩は全て加害者・東京電力や事故責任者・国が賠償・補償しなければならないこと,人間は住む場所が変わっても,たくましく生きていけるだけの能力や力を持っていることなどなど,放射線被曝回避と,被害者の命と健康を最重要に置いた,適切で親切なガイダンスが,最も重要かつ望まれることである。

(8)放射性セシウムだけでなく,福島第1原発が環境放出した様々な放射性核種を調査しながら,原発から遠くて低線量のところから,少しずつ,少しずつ,まるで匍匐(ほふく)前進をするように,しぶとい・しつこい放射性物質と闘いながら,その放射性物質をつかまえては厳重に閉じ込めることによって,除染を進めて行く,そういう粘り強い対策が必要である。放射能は時がたつにつれて崩壊が進んで,だんだん少なくなる。それを利用しつつ,人間が居住できる区域を徐々に広げて行く,そういう超長期のスタンスで除染に取組まなければいけない。

(9)除染は,まず,放射能ゴミや廃棄物を出さないようなやり方で行うことが肝要。そのための「除染技術」を高めなくてはならない。現状のように,理不尽にも避難・疎開・移住さえできないで経済的に汚染地域に縛り付けられている住民が,いわば除染について知識も経験もない「ドシロウト」のままで,放射線防護も労務管理もいい加減な状態下で,適切なガイダンスを受けずに,高濃度地域の除染活動に従事するというのは,最もやってはいけない除染作業のパターンである。

10)次に,除染の結果集められた放射能は,場合によっては児玉龍彦東京大学教授が言うように,最新鋭の焼却施設により,放射性物質を環境にまき散らさない形で減容化することも必要だろう。そしてそれらを含む,濃縮・集中された放射能は,再度繰り返すが,厳重・厳格な設備により環境から隔離・閉じ込められなければならない。ここをきちんとしなければ,除染活動の意味は全く皆無であるどころか,汚染を結果的に拡散させてしまうという意味で逆効果である。

11)除染地域を決める際に,もう一つ念頭に置かなければいけない大事なことは,福島第1原発の事故後の状況である。福島第1原発の事故は収束しておらず,事故直後よりも,現場の事情が一層深刻になる形で,事故が進展してしまっている。この状態で再び大地震や大津波が福島第1原発を襲えば,あるいは別の大きなトラブルが発生すれば,第二次被害は必至の状況だ。ならば,福島第1原発から相当の距離を置いた地域でなければ,定住して除染などという対策はあり得ない話になる。

12)別添PDFファイルの河北新報記事のように,国際原子力マフィアの国際原子力機関(IAEA)が,わざわざ福島へ何度もやってきては,1ミリシーベルトにこだわるな,20ミリシーベルトで十分だ,トリチウムは取り除けないから,水で薄めて海へぶん投げろ,などと大声で騒いでいる。やかましい,さっさと帰れ。およそ原子力を推進する組織が,放射線被曝や除染のことに口を出すな。典型的な利益相反行為だ。

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 しかし,除染の現場の実態は,福島県をはじめ被害地域の実態は,上記のようなことでは決してなく,巨額の税金が投入されながら,地域住民は継続的にひどい放射線被曝にさらされながら本当のことが伝えられず,命と健康が危機にさらされ続け,そして環境の放射能は,それが自然減衰する以上には,対して減りもしない,つまり,除染の効果は出てこない,という状態があちこちで生まれているのである。

 除染作業のあり方のみならず,除染の戦略や放射線防護,あるいは住民の避難・疎開・移住対策も含めて,何から何まで,あらゆることが出鱈目である。このままだと,近い将来,さらにやっかいなことが起きてくる可能性は十分に高い(大量の健康被害の発生など)。

 何をしているのか,安倍晋三・自民党政権の政治家達よ
 何をしているのか,原子力「寄生」委員会・「寄生」庁よ
 そして,何をしているのか,無責任の寄生虫=原子力ムラの住民どもよ

 お前らの怠慢とお馬鹿な対応,あるいは非人間的な政策により,福島第1原発はより危険になり,福島県をはじめ多くの被害地域の汚染はなくならず,多くの人々が意図せずして被曝させられ,そして,賠償・補償を切り捨てられようとしている。もういい加減にしろ。


 <別添PDFファイル>
(1)除染土,公園に放置,福島県,ずさん管理(毎日 2013.12.16
http://mainichi.jp/select/news/20131216k0000m040105000c.html
(また,福島県庁だ。ほんとにこの県庁の役人ども,いったい何のために仕事をしているのか)

(2)汚染水,田畑にぶちまける「手抜き」マニュアル入手(今西憲之 『週刊朝日
2013.12.20
』)
http://dot.asahi.com/wa/2013121100001.html
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131211-00000003-sasahi-soci
http://blog.livedoor.jp/home_make-toaru/archives/7450008.html
(記事によれば,TV朝日の報道ステーションでも123日に放送したそうだ)

(3)国の除染,3年延長(毎日 2013.12.23
http://mainichi.jp/select/news/20131223k0000m040035000c.html
(除染とは,一種の「やるやる詐欺」のことである)

(4)福島第一周辺除染目標,揺れる「1ミリ」(上)(河北 2013.12.13
  福島第一周辺除染目標,揺れる「1ミリ」(下)(河北 2013.12.14他)
 (上)http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20131213_01.htm
 (下)http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20131214_01.htm


 なお,国際原子力機関(IAEA)のふざけたたわごとに対しては,1224日付で掲載された『日刊アグリ・リサーチ』のコラム記事をご紹介しておこう。およそ業界誌がこのような記事を掲載することは珍しい。勇気ある報道だと評価していいのではないか。


「二〇ミリシーベルト安全論」

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福島県内の避難指定解除準備区域の避難解除が来春に迫り、帰還にあたって放射線量の基準が問題になっているのを受けて、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、「(積算放射線量は)年間二〇ミリシーベルト以下
までを許容した方が良いというのが、世界の一般的な考えだ」と述べた。さらに規制委が設置した「帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム」は、「年間二〇ミリシーベルト以下の地域になることが確実であることを避難指定解除の要件の一つ」とすることを決めた(11月11日)

放射線防護に関する日本の法令は、国際放射線防護委員会の勧告に基づき、年間一ミリシーベルトを公衆の被曝限度と定めている。ただし原発労働者の場合は例外として、労働安全衛生法で被曝線量の上限が五年間で一〇〇ミリシーベルトと規定されているが、「公衆」であるはずの福島県民だけが、なぜ原発労働者の年間平均被曝線量を適用されなければならないのか。日本国憲法の「法の下の平等」に著しく反するといわざるをえない

福島第一原発事故後の二〇一一年四月、文科省が校庭の利用基準を年間二〇ミリシーベルトに設定し、当時内閣官房参与であった小佐古敏荘氏が「到底受け入れがたい」と涙の記者会見をし、参与を辞任したことがあった(結局翌月、文科省は一ミリシーベルト基準に方針転換)。規制委の「二〇ミリシーベルト安全論」はそれの再来といえるが、背景としては除染が遅々として進んでいない現実がある。しかも今回は単なる焼き直しではなく、除染、東電への賠償請求、健康診断など一ミリシーベルトを基準にこの間取り組まれてきたことの根底を覆しかねない問題性を孕んでいる

「福島第一で作業員をやっていたからわかる。ここは除染しても事故前の原発内よりずっと線量が高い。本来なら俺の自宅は管理区域に指定され、防護服やマスクをつけて過ごさなければいけないレベルなんだ。いくら国が大丈夫と言っても、そんなところに家族を連れ戻せないよ」(国の直轄除染地のうち唯一作業が完了したと発表された田村市都路地区の住民の言葉、『世界』臨時増刊号、姜誠氏「除染迷走」より)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


早々

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