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2013年12月28日 (土)

東京大学の児玉龍彦先生,もっと恒常的な放射線被曝環境の危険性と避難・疎開・移住の重要性を日本中にしっかりと伝えて下さい

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 <別添PDFファイル>

(1)無謀な巨大保管計画をやめ放射性廃棄物の濃縮管理を(児玉龍彦 『エコノミスト 2013 12 24』)

 http://inagist.com/all/412592030821265408/

 

(2)避難住民帰還へ被ばく調査、個人に線量計、落とし穴(東京 2013.12.23

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2013122302000174.html


(以下、一部引用)

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 東京電力福島第1原発事故は、日本史上最大の環境汚染事故である。時間がたつにつれて、当初の楽観的な見方は影を顰め、原発事故のもたらした放射線汚染の深刻な現実が、福島県の空気を重くしている。2年半たった現在5400平方キロ以上の地域で強制的な避難が続き、10万人以上が避難生活を強いられている。

 

 環境省の発表では、今から初年たっても年20ミリシーベルト以上の線量になる避難区域は、福島県双葉町、大熊町から浪江町へかけて広く残っていく。生きているうちに復帰できない地域の存在に住民は気付き始めている。

 

 学校から始まった除染作業は、民家の除染が本格化しつつある。ただ、土をはじめとした放射性の汚染量は膨大であり、放射性廃棄物の量は2000万立方メートルを超えていくのではと推定される。この廃棄物の行き先がないため、除染も進まない。

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 この児玉龍彦東京大学教授の論文は、ネット上で「必見」と紹介されるだけあって、4ページにわたる論文の随所に貴重なコメントや提言などがちりばめられている。若干ご紹介申し上げると以下の通りである。

 

(1)問題は、一定の放射線量の低下が得られた後である。同じ楢葉町での除染効果で、最初から線量の低かったところの最多測定点数は0.7マイクロシーベルト/時から、0.4マイクロシーベルト/時と低下したものの、低減割合はあまりぱっとしない(1)

 

(2)低い線量のところでは放射性物質をピンポイントで正確に除くことが求められる。今のマニュアルの大ざっぱなやり方でなく、プラスチックシンチレーションファイバーなどでの精緻な測定に基づく、精密な除染を布わないと効果が出ない。しかし、環境省は今のところ、こうした精緻測定は認めていない。

 

(3)今の社会の健康にかかわる科学技術の問題では、選択の幅がある問題については、当事者の決定を基本とすることが常識とされている。(中略)驚かされるのは原子力規制委にこうした「当事者主権」といった考え方が全くないことである。生活を決める要素は、健康に決定的な影響が知られる強制避難地区以外では住民が決めるべきものである。

 

(4)しかし、帰還を考える楢葉町などでの議論を最も困難にしているのは、帰還できるようになったら賠償は打ち切りという政府関係者の提唱である。だが、このような経済皇視、当事者無視の発言はかえって地元の復興、帰還を困難にする。

 

(5)福島の住民の希望を取り戻すのには、さらに必須の問題がある。福島の住民にとっての大きな不安は、内部被ばくである。放射性物質が多量に降下した地域でのこれからには、水、士、森をきれいにする環境回復、すなわち除染にまず全力で取り組み、その将来のよくなる見通しの上で、生活の議論が行われるべきである。

 

(6)焼却炉というと、空気中に放射性セシウムが放出されることを懸念される方も多いが、既にカドミウムなどの金属汚染の除去で、方法は確立している。郡山での下水汚泥での実証試験でも有効性が-証明されている。セシウム回収型の焼却施設は飯舘村で住民の承認を得て建設が開始され、実証作業に入ろうとしている。

 

(7)さらに多量に蓄積しつつある放射性ゴミの処理にも必須である。(中略)雨水も管理できず、監視システムもない仮置き場での長期保管は、福島第1原発の汚染水問題と同じ過ちを繰り返す。

 

(8)さらに、深刻なのは中間貯蔵施設の議論である。環境省は1,000万立mの保管場を検討しているが、ゲリラ豪雨や台風がきたら管理するのは至難の業である。放射性廃棄物処理は、滅容と、濃縮管理が基本である。(中略)。現実的に管理の非常に難しい1,000万立方mの山積み中間貯蔵施設の建設は、2次環境破壊を生みかねない、次世代への拙劣な付け回しである

 

(9)福島の環境問復も長い時間と膨大なコストがかかる。起こってしまった汚染事故には「覚悟」と「決意」をもって取り組むことが必要である。福島の子供が胸をはって育っていける環境を作り上げるのは全ての日本国民の責務である。

 

 書かれていることは,確かに除染に関しては,政府や福島県や御用学者などの発言や説明に比べれば,大いに説得力があるだろう。放射能汚染ゴミの処理処分についてもしかりである。しかし,私には,児玉龍彦氏のこの論文にも,そして他所での発言等にも「しっくり」来ないことが多い。それは何故なのか?

 

 それは,おそらく、同氏の主張が,除染ということに大きく偏っていて,同じ無用の放射線被曝回避でも,避難・疎開・移住の重要性をあまり言わないからである。どうも意図的に,避難・疎開・移住のこと,言い換えれば,恒常的な低線量内部被曝の危険性を広く国民に伝えることを避けて通っているような印象を受ける。私の誤解であってくれればこれほど幸いなことはないが,どうもそうではないように思えるのだ。(上記の論文で申し上げれば、たとえば(5)などは明らかに舌足らずで、「除染するにしても、まず(一時的にでも)避難・疎開である」ことに言及する必要があるはずだ)

 

 まず,一昨日のメール「除染という「やるやる詐欺」」でも申し上げたように,放射線防護の基本は避難・疎開・移住である。仮に除染をするにしても,まず,放射能のあるところからは住民の避難・疎開・移住が必要だ。この点が児玉龍彦氏の議論には認識が薄い(認識しているとすれば、言及が薄い)。放射線被曝は危険だと言いながらも,だから,まず「逃げて下さい」「放射能のあるところにいてはいけません」「放射線は避けるのが基本です」とは言わない,そういう感じを強く受ける。

 

 しかし,本来あるべきことはそうではない。まず,1ミリシーベルトを超える地域の人達は,仮に除染後に帰還して居住し続けるとしても,まず避難・疎開である。放射線感受性の高い妊婦や子どもはなおさらである。

 

 また,除染は,汚染が低い地域から,除染後に森林などから放射能が風で飛ばされてきて再汚染するようなことがなさそうな所から,徐々に徐々に,徹底してやっていく,ということでなければならない。汚染が低いところでは,児玉龍彦氏が言うように,きめ細かく汚染状況を調べ上げ,丁寧な除染作業を繰り返して放射能を完全除去する,そうしないと線量は下がらないのである。

 

 そして,福島第1原発周辺を含む広範囲に広がる放射線管理区域指定基準以上の汚染地域については,原則,全員が避難・疎開・移住である。除染は,様々な放射性物質の物理学的半減期をにらみつつ充分な自然減少を待って,長期的に腰を据えて取り組むべきことであって,現在の政府のように,金や脅しやなだめすかしや嘘八百で住民をねじふせ,だまくらかして汚染地域に帰還させるための除染であってはならないのだ。

 

 児玉龍彦氏には,現実に起きていることに自身の考え方や発言をおもねるのではなく,原発・核燃料施設事故後の被害者住民対策の基本が本来はどうであらねばならないのかを,放射線被曝防護の観点を前面に打ち出して,かつ国際原子力機関(IAEA)や国際放射線防護委員会(ICRP)らの原子力マフィアに対抗して(言い換えれば,被ばく歪曲化・軽視の潮流やフクシマ・エートスのような動きをけん制しつつ),明確にしていただきたいと思うのである。

 

 除染の結果出てくる大量の放射能汚染ゴミについては,児玉龍彦氏の言う通りなのだろう(焼却炉については大いに懸念があるが,そこは児玉龍彦氏を信頼して,放射性物質を環境に(ほとんど)放出しない新型の焼却炉が開発されているということを信じたい。少なくとも、現状のようにビニールの袋に入れられたまま、事実上無管理状態で放置されているよりは「よりまし」であるに違いないし、巨額の税金を使って、いい加減な産業廃棄物処理場のような中間貯蔵施設ができるよりは「よりまし」であるに違いない)。焼却炉の安全性をきちんと証明し、ご説明願いたいと思う)。

 

 しかし,それでも,除染のやり方をもっと精緻化・高度化して,そもそも汚染物があまり出ないような,専門的できちっとしたやり方でやらないと,処理処分すべき無用の汚染ゴミが大量に出てしまうのではないか。

 

 除染事業の出鱈目については,マスコミ報道が何度も繰り返されているが,あのような除染のやり方を放置していては,いくら汚染ゴミの焼却の仕方を変えたところで,事態の改善は望めないのではないか。児玉龍彦氏には,中間貯蔵施設の在り方の提言と併せて,出鱈目を極めている除染事業の今日のあり方についても,2011年の国会証言のように石原伸晃以下,環境省や国会議員に向かって「いったい何をしているのか」と,再び怒鳴りつけてほしいのだ。

こころぐこっこk

 東京大学という「頭狂」(東京)人間達の巣窟の中にあって,児玉龍彦氏は,いわば我らが「希望の星」である。早野龍五や坪倉正治のようなニセモノ学者ではないと,我々脱原発・脱被曝の立場の人間からは信じたい,信じさせてほしい。ならば同氏には,福島第1原発事故がもう既に終わったものだとし,放射能汚染についても,その大半が解消され,放射線被曝の懸念も「帰還困難区域」や「居住制限区域」といったごく一部の汚染エリアを除けば,何の心配もいらないかの如く「でっち上げられていく」この今の日本の社会情勢に対して,全身全霊で立ち向かっていただけないものだろうか。福島県をはじめ,東日本に広がるホット・スポット地域の妊婦や子どもたちを一刻も早く避難させ,青年を含む被害者の方々を,万全の健康管理・放射線被曝防護と,賠償・補償・再建支援できちんとサポートする,言い換えれば、居住し続けるのか避難・疎開・移住するのかは当事者が決め、いずれの選択であっても、加害者・東京電力や事故責任者・国は万全のサポートや賠償・補償を行うという、この当たり前のことを実現させる社会運動を,その先頭に立って背負っていただけないものだろうか。

 

 東京大学の児玉龍彦先生,もっと恒常的な放射線被曝環境の危険性と避難・疎開・移住の重要性を日本中に伝えて下さい。どうか,よろしくお願いいたします。(別添PDFファイルの東京新聞は、原子力「寄生」委員会の田中俊一が言いだし、政府が強引に推し進め始めた「個人線量管理」のあやうさ、不可能性、ゴマカシ・インチキなどを、具体的に実証的に伝えている非常に重要な記事です。ご参考までに)

 

(参考1)医師の見た福島 ―― 急務! 被曝からの避難 - JanJanBlog

 http://www.janjanblog.com/archives/106100

 

(参考2)児玉龍彦氏「あらためて内部被ばくを考える~未来のためにただしい知識を~」20130418 - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=OGYtrEuqXSk

 

(参考3)松本モデル

 http://www.kakehashi.or.jp/?p=9612

早々

 

 

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