自民党の新農業政策(続報:耕種農業)(2) (付け加えます)「米だけは」政策から「米さえも」政策へ=主食を捨てるような国が国家安全保障(NSC)など笑止千万 (その2)
前略,田中一郎です。
主食用米の生産調整廃止に関して,申し上げておくべきと思われることがもう少しありますので,以下に箇条書きにいたします。
(1)米価が暴落した場合,農業の現場や実態を知らない机上の空論の市場原理主義学者達やマスごみの記者達は,生産コストが割高な零細稲作農家から価格競争に耐えられなくなって稲作から撤退・淘汰され,その農地が生産コスト上で優位にある大規模農家や農場に集約されるなどと,ごくごく「単純に」考えている様子がうかがえる。しかし,過去の日本の農村を振り返ってみても自明の通り,米価暴落で決定的なダメージを受けるのは,兼業収入で支えられている零細稲作農家ではなくて,主食用米の生産を経営の柱とする大規模生産者・農家・農場(専業農家)なのである。米価の暴落は,日本の大規模稲作農業を真っ先に没落させ,多くの「自家消費用稲作農家」を残存させることになるだろう。また,農地は集約されるどころか,耕作の担い手を失って,全国いたるところに耕作放棄された荒れた田んぼが今以上に散在することになるだろう。机上の空論は,机上の空論でしかないのだ。
(2)茶碗1杯のごはんの値段はわずか30円たらず(精米5kg=2,000円として,茶碗1杯=65gで,65×2,000÷5,000=26円),あの芸術品に近い日本の美味で栄養価に富んだすばらしいお米の値段が茶碗1杯26円なんて,まさに「奇跡の低価格」である。むしろ,こんな低価格は,生産者・農家の犠牲の上にあるにきまっているのだから(生産者・農家の手取り価格はもっともっと低いだろう),本来,もっと高い値段でなければならないのだ。それを,この米の値段が高いなどという馬鹿者は,およそ金勘定や商品選択の基本が理解できないトンチンカンか,米の値段をとにかく下げたい(貿易交渉で米が足手まといになるのを振り払いたい一心)人間達の「ためにする」議論にすぎない。こういう奴らは,牛や馬用のエサでも食っておればよい。それなら随分と安かろう。
(3)現在の日本には,米の「減反政策」なるものは存在しない。存在するのは「主食用米の転作奨励政策」であり,耕作放棄地解消政策である。「減反」とは,読んで字のごとく,米を作らない・米を作らせない政策のことで,1995年の新食糧法制定前の旧食管法時代には,そうした政策も見られたが,今ではそのような馬鹿な政策は農林水産省といえども実施していない。
長きにわたる,生産者・農家を愚弄するかのごとき政府・農林水産省・自民党の「米だけは」(何とかしましょう)政策により,主食用米の需給バランスが崩れて生産過剰に陥っている主食用米作りの農業を,それ以外の作物へ転作するための政策が行われている=自給率が極端に低く,かつ,消費者・国民にとっては基幹的な作物である麦・大豆・飼料作物などへの作付転換である。また,同じコメであっても,主食用ではなく,家畜の飼料用米や米粉その他の加工用原料米などへの用途指定された米づくりでも,昨今は「みなし転作」として,補助金の対象にされている。
これは,単に主食用米の需給の調整を行い,よって米価暴落を防ぐということだけではなく,過剰な主食用米に代えて,自給率が低迷する主幹的な作物作付へ切り替えることで,食料自給率の向上や,根強い国産農作物へのニーズにこたえるために展開されている,数少ない適切な農業政策である。生産過剰な米を更に作ることによっては,我が国の食料自給率を引き上げることもできなければ,農業の再生・復興もなすことはできない。「生産者・農家の自主的判断にゆだねて云々」などと,マスごみどもは勝手な「きれいごと」を記事に書いているが,政策的生産調整をやめて,米価を100万人以上の生産者・農家がいる市場の「自主的判断」にゆだねてしまえば,米価が暴落して,日本の中核的な稲作農業はたちまち崩壊してしまうことになるだろう。食料自給率の向上どころの話ではなくなってしまう。日本農業の息の根が止められてしまうかもしれないのだ。
(4)主食用米の転作政策そのものは適切な政策であるが,実は,これもうまくいっていない。理由はいろいろあるのだが,その主たる理由は次のようなことである。
● コメしかつくれないような地域にまで,その他作物への転作を押し付けている,例えば水はけの悪い地域への大豆転作の押しつけ(⇒
飼料用米などへの適地適作の作物への転換をはかればよいし,主食用米の生産調整と転作奨励を各地域地域で自主性を尊重しながら進めて行ける,新たな生産調整方式を考えるべきである=都道府県相互の間で,生産調整量と転作奨励金を「交換」するやり方など),
● 転作作物の選択に自由がない・いろいろと補助金受取のための条件や制約が付いて現実的ではない(⇒「産地資金」の形で,各地域で転作補助の体系や条件を決めてもらえばよい,国は不正利用や怠惰な利用の防止のための大枠と事後チェックを担えばよい),
● 転作作物を地域に定着させるための様々な施策が整合的にとられていない(耕地改良や生産基盤整備,農業機械や農業技術,種苗確保や品種改良など,転作作物が地域に根ざす農業となるような「総合的施策」が必要だが,この部分が農林水産省や自治体などの怠慢で,なかなかよくならない=役人どもは,その日暮らしの農業政策しかしない),
● 作った農作物を販売していくところが不十分・苦手(JAの怠慢・能力不足,零細生産者・農家への生産物販売政策支援がない,6次産業化政策などは,生産者・農家のためではなく,川下の食品産業が農業を食い物にするために実施されている感が強い=本末転倒),
● 転作がうまくいかない決定的な理由が,主食用米の生産に比較して,転作作物の生産の方が条件が悪い=収入や利益が少ない=補助金額が全く不十分で,生産者・農家が主食用米を奨励される作物に転換・転作しようという気にならない,
などである。要するに,日本の農業政策は,主食用米の稲作以外の農業生産の政策的な振興に失敗をしているということだ。まことに情けない,レベルの低い農業政策である。しかし,この「失敗農政=主食用米の転作の失敗」についての反省は,政府・農林水産省・自民党には全く足りない=その政策的欠陥の理解がほとんどできていないのが現状である。政策自体が悪いのではない,そのやり方・具体的施策がだめなのである。政策立案・実施当事者たちは,頭が悪すぎる=知恵がなさすぎるのではないか?
にもかかわらず,政府・自民党・農林水産省は,愚かにも,農業を知らない机上の空論学者を毎年のごとく政府の審議会に呼んできては,千年一日のごとく日本の農業と生産者・農家のバッシングをやり,肝心かなめの自分達の過去の政策の至らなさ・不十分さに対しては,現場・現実に即して分析も実態把握も生産者・農家の声を聞くことをしないままに,「自由競争だ」「補助金の廃止だ」「FTA/EPAだ」「戦う農業だ」「強い農業だ」などと騒ぎたてているのである。生産者・農家にとっては迷惑極まりないことに加え,自らの生業に対して頭から否定されているような気分にさせられ,不愉快極まりない状態が続いている。馬鹿もいい加減にしろ,ではないか。
結論は明らかだ。4つの優先農業政策(①アメリカ優先,②WTO・FTA・EPA優先,③財政再建優先,④政治家・官僚・食品関連産業の利権優先)を捨てて,現場を重視する「農業のための農業政策」を,本気で全力展開することである。そのための政治勢力を,政府や国会に多数送りだすことである。農林水産省を抜本的に改革することである。市場原理主義にイカレた頭を正気に戻すことである。日本にとって農業は,潜在的に21世紀を切り開くことのできる未来産業であり,様々な可能性を持った貴重な産業である。我々消費者・国民は,この日本農業をしっかりと守り,未来の世代へと引き継いでいく大きな責任と使命があることを忘れてはならない。
早々
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