特定秘密保護法に反対します
前略,田中一郎です。
<別添PDFファイル:添付できませんでした>
(1)秘密保護法案決定へ知る権利・取材の自由「配慮」努力規定どまり(2013年10月18日付東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013101702000244.html
(2)スパイぬれぎぬ 宮沢・レーン事件(2013年10月14日付東京新聞)
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11637001765.html
(3)特定秘密保護 この法案には反対だ(2013年10月21日付毎日新聞)
http://mainichi.jp/opinion/news/20131021k0000m070104000c.html
(4)防衛秘密 公開ゼロ省判断,廃棄3万件(2013年10月14日付毎日新聞)
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/3519d089b2febccc54b71ed249bf3ae3
別添PDFファイルの2つは,このほど安倍晋三・自民党政権が国会に提出しようとしている秘密保護法(案)に関する東京新聞記事です。ご承知の通り,この法案に慎重な姿勢を示していた公明党ですが,懸念された通りというか,案の定というか,政府・自民党に対して,抽象的な「取材の自由」や「知る権利」に対する「尊重」・「配慮」・「努力」の規定を盛り込ませただけで,あっさりと妥協をしてしまいました。
行政府が誰のチェックを受けることもなく,自己都合で勝手に決めた「特定秘密」を,国会議員がチェックすることも,アクセスすることもできない,事後的に独立した機関がその妥当性を検証することもできない,それどころか,場合によっては,特定秘密情報に接触した国会議員にまで罰則をかけるような法律です。これでは憲法が定める三権分立が守れるはずもありません。公明党は,よくもかような法律に妥協をして合意したものです(同党の母体である創価学会の創始者達は,戦前の治安維持法によって弾圧され牢獄の身となった歴史があります。にもかかわらず,同党の,この現代版治安維持法とも言うべき法律に対する警戒心のなさはいかがなものでしょうか。公明党は,目先の政治的駆け引きに没頭するあまり,政党としての,政治主体としての,本来の目標や理想を忘却してしまったのではないのでしょうか)。
しかし,東京新聞の記事にもある通り,こんな抽象規定を入れただけでは,この法律の危険な本質は何も変わりません。このままこの法案が国会に提出され,多数議席で押し切られて可決成立した場合,日本の民主主義は「政府のご都合による秘密まみれ」となり,根底から瓦解していくことになるでしょう。何故なら,民主主義とは,政府や時の支配権力による政治や政策等の(プロセスを含む)詳細について,広く情報公開の上に有権者・国民がその決定に参加し,様々な観点からの批判や検討や要望・要請などが加えられることによって成立が可能となる,きわめてナーバスで慎重でフレクシブルなシステムだからです。およそ秘密主義の上での民主主義などはありえません。
また,この法律は,単に情報を発信する側の政府役人や政治家らを「厳罰で縛る」(最高で懲役10年)のみならず,支配権力が「特定秘密情報」を取り扱う役人を,その各々の個人情報や思想・信条にまで立ち入って「人間の品定め」を行う(支配権力に都合のいい人間だけを抽出する)という「思想・信条並びに挙動調査」までもが予定され,更には,政府の情報にアクセスせんとする我々一般の有権者・国民をも「特定有害行為」として「秘密漏えいほう助」の罪に問い,徹底して時の支配権力=政府に都合の悪い情報から有権者・国民を遠ざけんとする悪法です。
安全保障や防衛がらみの情報を常日頃アメリカから入手しているため,そのアメリカから「こうしろ」=「厳罰付きの秘密保護法で情報を隠せ」と言われたからと言って,かくも無批判に,かくも拙速に無検討に,その多大なる害悪や弊害をも是正する措置もなく法律制定に走るとは,情けないにもほどがあるというものです。
別添PDFファイルの東京新聞記事「秘密保護法案決定へ知る権利・取材の自由「配慮」努力規定どまり(2013年10月18日付東京新聞)」には,公明党の修正を経てもなお,この法律の本質が如何に変わっていないかが適切に解説されています。是非,ご一読ください。
しかし,問題はこの記事に書かれていることだけではありません。いやむしろ,それ以上に重要なことは,私が上記で申し上げた「政府の情報にアクセスせんとする我々一般の有権者・国民をも「特定有害行為」として「秘密漏えいほう助」の罪に問い,徹底して時の支配権力=政府に都合の悪い情報を有権者・国民から遠ざけんとする悪法」という点です。
日本の大手マスコミは,読売を除けば,日本経済新聞まで含めて,今回の秘密保護法に反対をしていますが,その反対の根拠は,もっぱら取材活動への悪影響を理由にしているものが多いように見受けられます(「知る権利」の侵害も,このマスコミ取材の不自由化の延長上にあるような印象です)。しかし,この法律の根本問題は,単にマスコミやジャーナリストらの取材を妨げることだけにあるのではなく,我々一般の有権者・国民をも,特定秘密情報へのアクセスを厳罰をもって追い払う点にもあるのです。この点を決して軽視してはなりません。下記のネット上の記事をご覧ください。
*FmA [自由メディア]
http://www.freemedia.co.jp/Thema/t_5.html
(上から3つ目の記事です)
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「2013年2月13日 「Stop!秘密保全法共同行動」院内集会 [76:49]
現在、政府が制定をもくろんでいる秘密保全法は、「特別秘密」として秘匿することができる情報の分野が「国の安全」にとどまらず、「外交」さらには「公共の安全と秩序の維持」までと極めて広範にわたります。私たちの生活を左右するTPP問題、原発問題といった情報までもが国民の目から秘匿され、いっそうの悪政が強行されようとしています。
その上、重罰規定(最高刑懲役10年)が準備され、「漏洩」はもとより「特別秘密」へアクセスすることも処罰の対象とされます。「共謀」(情報取得の相談)「教唆」(そそのかし)「扇動」まで独立した犯罪とされ、報道機関の取材活動や一般市民の広範な活動が犯罪とされます。加えて、「適正評価制度」という制度を導入し、「特別秘匿」を取り扱うことになる当事者、さらにはその家族、親戚、恋人、友人など周辺の人々までプライバシーを丸裸にして管理しようとしています。
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(引用終わり)
「共謀」(情報取得の相談)
政府などが,どうも隠しごとをしている様子なので,どうしたら政府の担当省庁に情報を公開させられか,友人らと相談をしたら,「お前達は共謀だ」と言われて監獄へ送られる。
「教唆」(そそのかし)
政府の当該情報の担当省庁に知人が在籍しているので,その知人に「その情報を教えてもらえないものか」と声をかけたところ,それが警察に漏れて「そそのかし」たとばかりに,監獄へ送られる。
「扇動」(煽りたてる)
市民団体主催の集会やセミナーで,「○○に関する情報が政府によって秘密にされ,不適切な政治や行政がまかり通っているようなので,みんなで情報公開を働きかけましょう」と発言したところ,覆面私服刑事が突然立ち上がり,「扇動罪」と叫ばれて逮捕され,監獄へ送られる。
お分かりでしょうか?
まるで,戦前の天皇制軍国主義時代の特高警察(思想警察)が支配していた時代の「暗黒体制」そのものです。法律の運用は,警察や司法権力にゆだねられてしまいますから,あの「自白強要」や「証拠改ざん」を日常茶飯にしている様子がある警察や検察によって,この法律は「やりたい放題」の弾圧法として機能し始めることになるに違いありません(*)。時の支配権力や政府は,自分達の都合の悪い情報にアクセスしてくる有権者・国民を,「不逞の輩」(吉田茂元総理大臣)などと(陰に隠れて)馬鹿にし,この秘密保護法を盾にして徹底して排除することが可能となるでしょう。
(*)そもそも警察や検察で「自白強要」や「証拠改ざん」が常態化している異常を抜本的に反省し,悔い改めるべく発足した法務省主催の「捜査のあり方検討」審議会が,検討の結果出してきたのが,「盗聴法」の強化であり,「のぞき見法」(秘密検閲・情報無断収集の合法化」であったというのは,驚きを超えて,あきれるばかりです。こういう人達が警察や司法を牛耳っているのが今の日本です。どっちがスパイなのか,と言いたくなります。
しかも,アクセスしてくる有権者・国民を全員逮捕する必要はありません。時の支配権力が,自分達にとって最も「手ごわそうな」,言い換えれば,鋭く批判的な人士を数名逮捕して「見せしめ」にしておけば,その「萎縮効果」は十分に働き,情報にアクセスしてくる有権者・国民はほとんどいなくなり,また,情報を提供しようとする役人や政治家も,逮捕を恐れていなくなってしまうでしょう。
こうなれば,時の支配権力や政府を牛耳るものにとっては笑いが止まらなくなります。もう,どんな出鱈目や不正をやっても,それを「特定秘密」にするだけで徹底して隠し通し,シラを切り通し,嘘八百で言い逃れをし,それで何のとがめも問題も発生しなくなるのですから。
たとえば,原子力ムラの人間達が,今,やっていること,やってきたことを思い出して下さい。特定秘密保護法がない,今でさえ,あんな調子で,嘘八百・隠蔽・歪曲・出鱈目を,毎日のように繰り返して平然としているのです。多くの批判や注告・改善提言など,どこ吹く風の「馬耳東風」です。それが,今般のような秘密保護法ができたらどうなりますでしょうか? 考えただけでもぞっとします。
それからもう一つ,役所や企業の不正を内部告発する人達を保護するために「公益通報者保護制度」が設けられていますが,特定秘密保護法が制定されますと,この制度が形骸化しかねません。告発すべき「不正」がらみの情報が「特定秘密」とされかねないのです。この「公益通報者保護制度」は現状でさえ,内部告発者に対する保護が不十分だと言われています。それが特定秘密保護法により,ほぼ完ぺきにないがしろにされ,内部告発は事実上できなくなってしまいます。
繰り返します。「政府の情報にアクセスせんとする我々一般の有権者・国民をも「特定有害行為」として「秘密漏えいほう助」の罪に問い,徹底して時の支配権力=政府に都合の悪い情報を有権者・国民から遠ざけんとする悪法」こそが秘密保護法であり,その内容は,まさに「現代版治安維持法」に他なりません。
過去の「治安維持法」体制下での「情報統制」の一例は,別添PDFファイルの(2)の東京新聞記事「スパイぬれぎぬ 宮沢・レーン事件(2013年10月14日付東京新聞)」です。ご覧になっておかれるといいと思います。このまま法案が成立すれば,再び第二の「宮沢・レーン事件」が起きること必定です。そして,若くて優秀だった宮沢さんが,その後どうなったかも見ておいてください。
そして,今から25年ほど前に,同じく自民党から国会に提出された,似たような法案「スパイ防止法」では,最高刑が「懲役10年」ではなく「死刑」だったことを忘れてはなりません。この法律=特定秘密保護法は,まるで消費税が3%からはじまって,やがて30%となっていくように,懲役10年からはじまって,やがて「死刑」へとエスカレートしていく運命にあります。絶対に許してはならない法律なのです。
あなたは政府の情報にアクセスして,監獄にほうり込まれたいですか? いや近い将来,死刑になりたいですか?
早々
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一昨日のジャーナリストたちの秘密保護法反対の記者会見で、このジャーナリストたちは、もう延長になってもこの国会で成立してしまうだろうと言っていました。本当に愕然とし、そんなになるまで、わかっていて反対表明しなかったのだなあ。と思いました。本当に暗い気持ちです。
投稿: 遠藤順子 | 2013年11月13日 (水) 21時46分