(報告)福島原発告訴団 11・22検察審査会第2次申立&報告集会
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
別添PDFファイルは,先般,11月22日(金)に,日比谷図書館コンベンションホールにて開催されました,福島原発告訴団主催の「11・22検察審査会第2次申立&報告集会」の際の資料の一部です。当日は,福島県からバスで来られた原告団の方々をはじめ,一般の市民も含めて約200名の参加者があり,原告団弁護士の情勢説明にとどまらず,御巣鷹山日航機墜落事故遺族からのメッセージ,あるいはJR西日本福知山線事故遺族代表の方など,検察審査会を通じての強制裁判の「先輩」も招いての充実した市民集会となりました。以下,簡単に資料等のご紹介をいたします。
*福島原発告訴団 11・22検察審査会第2次申立&報告集会開催!
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2013/11/blog-post_7.html
<別添PDFファイル>
(1)(2013.11.22)検察審査会第2次申し立て記者会見&報告集会(次第)
(2)検察審査会申立の対象者を東京電力の原子力担当役員6名に限定した理由(河合弘之他弁護士 2013.10.22)
(3)これでも東京電力の罪は問えないのか
(海渡雄一 『科学 2013.11』)
(4)検察審査会と日航事故(日航機事故被災者家族の会 2013.11.22)
(5)JR西日本福知山線列車脱線事故
強制起訴裁判に関して(事故遺族:藤崎光子2013.11.22)
<当日の録画>
*「福島原発告訴団 11・22検察審査会第2次申立&報告集会」の検索結果 - Yahoo!検索(動画)
(どの講演者のお話も聞き逃せないですが,とりわけ河合弘之弁護士の講演にご注目ください。小泉純一郎元総理の脱原発発言に関する話も出てきます)
1.福島原発告訴団の告訴・告発と,それを巡る動きで,特にテイクノートしておくべきことは下記の通り。
(1)告訴団の告訴・告発を受けた検察は,この件については最初から全くやる気がなく,東京電力その他の関係団体に対して強制捜査(証拠押収)に踏み切ることもなく,最後の最後まで起訴しないための屁理屈探しに終始していた。無実の人を証拠をでっちあげてまで起訴する検察が,明らかに有罪と思わしき原子力ムラ・放射線ムラ一族を,はなから起訴しようとしない,この「職権乱用」は,法治国家では許されることではない。
(2)原告団は,菅直人元総理他の政治家は告訴・告発していない。菅直人らを告訴・告発したのは,ある右翼グループだとのこと。しかし,朝日新聞をはじめ,きちんと取材・報道をしないマスコミは,原告団の告訴・告発も,こうした右翼による行為も,十把一絡げでいっしょくたに報道してしまった。というよりも,むしろ原告団の告訴・告発の主旨を捻じ曲げるかの如く,菅直人元首相の告訴・告発に焦点を当てた政治的センセーショナルな報道を繰り返した。
(3)告訴団は福島地検にこの件を告訴・告発したにもかかわらず,検察側は,不起訴処分を決めて発表する数時間前に,所管を福島県の検察から東京の検察へ移管している。これは,検察審査会を福島で開催させないための姑息な「起訴妨害行為」に他ならない。
(4)告訴団弁護団は,法律に詳しくない一般の市民が委員になる検察審査会の事情を考慮し,検察審査会への申立てにおいては,告訴・告発する対象者を東京電力の原子力担当役員6名に限定し,その罪状も「業務上過失致死傷罪」「公害罪処罰法違反」「過失激発物破裂罪」の3つを「業務上過失致死傷罪」1つに絞りこんで,極力シンプルに,かつ分かりやすく検察審査会委員に説明する体制をとった。
(5)告訴団が東京電力福島第一原発・放射能汚染水海洋放出事件を告訴・告発
「去る9月3日、福島原発告訴団は、団長の武藤類子と副団長の石丸小四郎、佐藤和良の3名が、東京電力福島第一原発・放射能汚染水海洋放出事件に関して、東京電力の新旧経営幹部32名、及び法人としての東京電力株式会社を、「公害罪」の被疑事実で福島県警察に刑事告発しました。
この事件は、東京電力が、汚染水対策の必要性を十分に認識しながらそれを怠ったため、そして検察庁が前の告訴・告発を受けながら、厳正な捜査を行わなず、東京電力に罪の自覚を持たせることなく慢心を与えたために発生したと考えられます。今回の告発は、福島原発事故の対応に奔走し、共に放射能被害を受け、県民の痛みを最も近くで理解している福島県警の手に委ねる事としました。
次から次へと明らかになる事実に心が折れそうな日々ですが、くじけることなく、新たな行動を起こしたいと思います。汚染水放出事件の告発人となり、事故の責任を問い続けましょう!」
*福島原発告訴団 汚染水告発
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/p/blog-page_5.html
2.何故,福島第1原発事故の刑事責任が問われないのか
事故を起こした東京電力はもちろん,それを管理監督すべき立場にあった原子力安全保安院,経済産業省,原子力安全委員会,あるいは事故原発を製造した原子力産業や,定期点検等を請け負っていた企業群,そして,その周辺にたむろして甘い汁を吸っては,原子力御用言論をたゆまず発信し続けていた御用学者・御用人間達,こうした連中が,多くの有権者・市民・有識者の長きにわたる注告に対して馬耳東風のまま,いい加減でずさんな原発の管理を続けた挙句に,あれだけの大事故を引き起こしているにもかかわらず,その責任が誰に対しても全く問われないというのは明らかにおかしい。
また,事故後においても,原発の危険な状態を隠蔽し,ずさんな対応を続けて放射能汚染水の垂れ流し状態を招き,更には危険極まりない放射能の拡散状況までもを隠蔽して地域住民を深刻な被曝に曝し,更に,それによる放射線被曝の危険性についての情報も,嘘八百や根拠のない出鱈目で塗り固めてきた関係者らの責任は重いのである。しかし,これについても,検察は法的責任を不問に付すという。
日本は,こんな状態で,ほんとうに法治国家と言えるのだろうか。原発や原子力のことであれば,どんな出鱈目も,どんなずさんな管理も,どんな嘘八百も許されるというのだろうか。今回,福島原発告訴団の告訴・告発を不起訴処分で応えた検察に社会正義のかけらもない。そこにあるのは,支配権力に対する自己保身と事なかれ主義であり,不正義=悪への親和性であり,自らのなさけない取扱処分を合理化せんとする屁理屈だけである。しかし,社会正義のない検察など,存在する意味があるのだろうか。そもそも検察は,自分自身が支配権力のはしくれであることを忘却しているのではないか。
皆さま,引き続き福島原発告訴団へのご支援をよろしくお願い申し上げます。みんなの力で,大きな有権者・市民の声で,多くの被害者の怒りで,福島第1原発事故の刑事責任を追及していきましょう。ものごとには「けじめ」が必要です。とりわけ原発・原子力については「けじめ」が不可欠です。それはそのまま,被害を受けられた方々の生活や家業の再建の礎となっていくのです。
(参考)福島原発告訴団
9・13緊急抗議報告(不起訴処分は不当極まりない)
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2013/09/blog-post_9087.html
3.これでも東京電力の罪は問えないのか
(海渡雄一 『科学 2013.11』)
この海渡雄一弁護士の力作論文は,検察の不正義や不当性が完膚なきまでに論じられ批判されており,ほぼ100%パーフェクトに,論理的に検察側をねじ伏せております。理論武装のためにも,是非ご一読ください。以下に,私が強く印象を受けた個所を若干だけご紹介しておきます。
(1)P1235
「こんなことも知らないのかと検察官に質問したところ,次のような回答があった。1万年から10万年に一度のリスクに対応すべきだと言うことは理解している。ここのロジックは,1万年から10万年に一度だから対策しなくてもいいとはいっていない。『直ちに』と書いてある。いますぐに対策をとらなくてもいいでしょうという意味だ。直ちに対策せずに土木学会に検討させるという措置が過失とまでは言えないということだ。それでは何年以内にやる必要があったのかといえば,今すぐやらなきゃいけないという意味でなく,3年後ではだめで今やらないといけないという具体的な数字を出して言えるものではない。」
「この回答には,本当に驚いた。1万年に一度は過酷事故が起きるリスクを放置して,土木学会に検討を依頼して原発の運転を継続した被告訴人らの行為が,万が一にも原発事故を発生させてはならない電力会社の役員として,あるべき判断基準を逸脱していないというのである。1万年に一度といえば稀な現象と感ずるかもしれないが,原発の寿命は40~60年であり,国内に50基を超える原発が存在していることからすれば,1万炉年に一度の災害を是認してしまえば,寿命中仁重大事故が起きる確率は日本全体で4分の1となる。」
「地震学者の石橋克彦氏がよく言われることだが,地震防災では,いつか起きることは,明日起きるかもしれないと考えて対策をとらなければならない」のである。(中略)検察のこの論理の誤りだけは明確にしておかなければ,この不起訴処分の論理が次の原発重大事故を準備することとなってしまう。」
(2)P1238 欄外注17
「元東電技術者の木村俊雄氏は,1991年10月初日に福島第一原発で事故が発生したときのことを報告している。海水が漏洩し,ディーゼル発電機が膝上まで浸水し使用不可となったという。木村氏は上司に「このくらいの海水漏洩で非常用デイーゼル発電機が水没して使えなくなるとすると,万が一,津波が来た時には非常用デイーゼル発電機が全台使えなくなる。そうなると原子炉を冷やせなくなる。津波による過酷事故の解桁が本当は必要では」と進言した。しかし上司は「その通りだ。君の言う通りだ。しかし安全審査をやってる人聞の中では,これは実はタブーなんだ」といわれたという。この上司は東京電力の幹部となっているという。建屋に地下水や海水が浸入する危険は早くから指摘されていたことがわかる(2011年11月初日放送のTBS『報道特集』「元東電社員の告白」)。
(3)P1238 「2008年には,当時東京電力の役員であった被告訴人らは,福島第一原発に15mを超える津波が襲う危険を予見することが可能だった」
「2008年2月には,東京電力は,「1896年の明治三陸沖地震と同様の地震は,三陸沖北部から房総沖の海溝寄りの領域内のどこでも発生する可能性がある」とした長期評価の取扱いについて,有識者に意見を求めた。「有識者」(氏名不詳)は,「福島県沖海溝沿いで大地震が発生することは否定できないので,波原として考慮すべきである」との意見を提出した。」
「2008年5月下旬から,東京電力は,長期評価にもとづき,津波評価技術で設定されている波源モデルを流用して,明治三陸地震(1896年)並みのM8.3の地震が福島県沖で起きたとの想定で,襲来する津波の高さの試算を行った。この想定は伊方最高裁判決の求めていた安全性のレベルからみれば,当然想定しなければならないものであった。その結果,冷却水用の取水口付近O.P.+8.4mから10.2m,浸水高は,福島第一原発の南側の1号機から4号機でO.P.+15.7m,北側の5号機から6号機でO.P.+13.7m,との計算結果が得られた。」
「延宝房総沖地震(1677(延宝5)年)が福島県沖で起きた場合の津波の高さも試算された。その結果,福島第一原発の南側の1号機から4号機でO.P.+13.6mとの計算結果が得られた。この問題をめぐり,東電の勝俣恒久会長(当時)は,2012年5月14日,国会が設置した福島第一原発事故調査委員会で,保安院がまとめた文書が社内の伝達ミスで経営陣に伝わっていなかったと証言した。「(文書が上層部に)届いていれば,対応が図れたかもしれない」と述べている。」
早々
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