第13回「福島県民健康管理調査検討委員会」記者会見=はぐらかしと居直りの記者会見
前略,田中一郎です。
下記は,「アワプラ」さんが録画して下さった「第13回福島県民健康管理調査検討委員会」終了後の記者会見の模様です(VTR)。今回,子ども甲状腺ガン検査において,悪性ガンとほぼ推定される子どもの数が58人(+1名は「疑いあり」でしたが手術後(甲状腺切除後)に良性と判明)となり,原発事故による放射線被曝の影響の深刻度が一層大きくなっていることが明らかとなりました。しかし,この検討委員会は,今回の記者会見においても,依然として原発事故や放射線被曝の健康への影響を認めようとしない「極度にかたくなで,いびつな説明」に終始していました。
以下,私が問題だと思う検討委員会側の説明内容や説明態度を簡単に列記しておきます。この「福島県民健康管理調査検討委員会」は,メンバーがチェンジして後も(前前回第11回以降),福島県民に対して,その説明責任を果たそうとはしておりません。甲状腺ガン検査について言えば,検査の仕方そのもののずさんさや体制の脆弱性(福島県立医大),検査の頻度,検査結果の本人への還元の仕方(情報公開制度の利用),検査対象者の拡大(18歳以上),甲状腺ガンのみならず血液検査,心電図検査,尿検査などの同時実施=「ワンストップ検査」化,検査結果の保存ルールや検査・治療の費用負担の問題(セカンド・オピニオンを含む)などなど,これまで多くの県民や有識者から提起されている要望をきちんと受けとめて,県民・被害者の立場に立って「検討」「改善」をしようという姿勢はほとんど感じられませんでした。
また,福島県以外の放射能汚染地域で被曝された被害者の方々や,被曝を今でもさせられ続けている被害者の方々に対しては,政府はまったく何の健康管理対策も実施しようとはしておりません。せめて子どもたちの甲状腺検査だけでも実施してほしいという願いさえもが踏みにじられています。放射能の汚染の度合いは,福島県境で区分されているわけではなく,東日本一帯に広域に広がっており,場所によっては福島県以上に汚染度のひどいところもあるのが実態です。しかし,この2年8か月の間,被害者の方々や有識者らが何を政府に要請しても,全く動こうとはしないのです。それはまるで,「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」による放射能汚染をなかったことにし,それがために,放射線被曝で健康障害が出た人達を,早い段階から徹底して「もみ消し」しようという,原子力ムラ・放射線ムラ代理店政府の断固たる意図が透けて見えています。
この国では,「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」以降,許し難い様々なことが,原子力や放射線被曝の関係する世界で繰り返されています。我々有権者・国民には,こうしたことを許さず,この事態を一刻も早く解消して,原発事故と放射能・被曝の被害者の方々を救済してさしあげる「使命」というか,同時代に生きるものとしての,同じ国に生きるものとしての「責任」があるのではないでしょうか。みんなで大きな声をあげましょう。
*(VTR)福島県検査で甲状腺がん58人~最年少は8歳
OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1674
(記者会見は,一番下の録画画面です)
*福島県ホームページ - 組織別 - 県民健康管理調査検討委員会
<記者会見での質問をはぐらかすな!!,真摯にきちんと答えろ!!>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
VTRを見ていただければ分かりますが,この「福島県民健康管理調査検討委員会」の委員達の記者会見での説明は,簡単にいえば「はぐらかし」であり,「時間かせぎ」(形だけの質疑応答)にすぎないお粗末な内容です。前前回以降,検討委員会のメンバーが交代しているにもかかわらず,根本的な検討委員会の性質は変わっていない様子がうかがえます。唯一点「小児甲状腺ガンも,健康障害も,現段階も将来も,絶対に福島第1原発事故や放射線被曝とは関係がない」ということだけは強調したい,というのが,この検討委員会のモットーのようです。
下記に列記したような,問題の核心を突く重要な質問が記者やジャーナリスト,あるいは記者会見参加市民から出されているにもかかわらず,大事なところは,ボヤーと答えたり,まともに答えなかったりで,肝心なことが無回答のまま時間だけが過ぎて行く記者会見になっています。他方,くだらないことについては,上に「クソ」をつけてもいいくらいに「ご丁寧」です。
また,(1)この記者会見の司会をしている(福島県庁の役人と思わしき)人間が,時間がない,質問を○○に限定せよ,などと,質問する記者・市民に牽制をかけたり,充分な答えが出ていないのに,次の質問の方どうぞ,などと,質疑応答を途中で遮る間接的な破壊行為を繰り返していること,(2)質問する記者の中に,同検討委員会や福島県庁の「ちょうちん持ち」のようなのがいて,質問の体裁をとりながら,検討委員会への応援演説をしている馬鹿ものもいること。前回も申し上げたかもしれませんが,記者会見に来ている記者達の質問が生ぬるく(上記のように中には鋭い質問もある),記者会見全体が緊張感に欠けており,こんな記者たちなら,さぞかし検討委員会の委員達は楽だろうな,と思う場面が散見されます,(3)事務局と思わしき福島県庁,及び福島県立医大の役人達の態度が悪いこと,
の3点は,特記しておきたいと思います。福島県庁の役人達(含む福島県立医大の教員・職員)は,これまでも多くの背信行為を県民に対して行ってきましたが,この「福島県民健康管理調査検討委員会」の推移を見守る限りでは,それに対する反省は微塵も感じないどころか,益々,原子力ムラ・放射線ムラの「代理店行為」をエスカレートさせていきそうな気配です。福島県民は,早く目を覚まして,この県庁を何とかしないと,ますますひどいことになるでしょう。
(今回も,第8回検討委員会以降,第9回,第10回,第11回,第12回の過去の5つの委員会の提出資料にたくさんの間違いが発見され,それらが修正されました。しかし,それに対して,検討委員会委員達にも,事務局の福島県立医大の教員・職員にも,福島県庁にも,深く反省している様子はうかがえませんでした。関係する組織や人間達は,根本のところから腐っている可能性があります)
<はぐらかされた質問群>
どのように「はぐらかされているか」は,VTRをご覧ください。
(1)甲状腺ガン検査結果の本人への還元について,未だに情報公開制度を使って,面倒な手続きを経ないと検査結果が入手できない事態の(抜本的)改善はできないのか,
(2)検査結果や所見などの記載書類の保存期間はどれくらいなのか,どこにどのように定めているのか
(3)小児甲状腺ガンは進行速度が速いという見方があるが,どう考えるか(言い換えれば,鈴木真一福島県立医科大学教授が言う「小児甲状腺ガンは進行が遅い」という根拠はいずこにあるのか)
(鈴木は他方では,日本には,小児甲状腺ガンの過去の詳細なデータはない,と何度も明言している。データがないのなら,進行の速度など分かるはずもない。ご都合主義の二枚舌=二正面作戦ではないのか)
(4)子ども甲状腺ガンの検査の結果,58名もの悪性ガンが出ているのに,これをスクリーニングの結果だというのは無理があるのではないか。疫学専門家でも,明らかに小児甲状腺ガンの多発であるという人もいる。
(東京新聞記事によれば,スクリーニングの結果,将来甲状腺ガンと分かる予定の人が早く見つかったと解釈すると,甲状腺ガンの「有病期間(病気である間の期間)」は人間の寿命を超えてしまう,と報じられている:発病率×有病期間=有病率)
(5)多くのことについて,はっきりしたことは申し上げられない,現段階では分からない,などと言いつつ,小児甲状腺ガン発症についてだけは「福島第1原発事故や放射線被曝の影響ではない」と断言しているのはおかしいではないか。
(星北斗検討委座長の言い回しは「現段階では,放射線被曝影響であると言えるだけの証拠が発見できない」というもので,鈴木真一福島県立医科大学教授らの言い方とは少しニュアンスが違う。しかし,それなら,予防原則で,何らかの対策なり対処なりが真剣に考えられてしかるべきである。何故なら,チェルノブイリ原発事故直後の旧ソ連でも,国際原子力機関(IAEA)ら国際原子力マフィアが,今回の「福島県民健康管理調査検討委員会」と同じようなことを声高に主張し,結局,子ども甲状腺ガンの多発を認めたのは1996年=1986年チェルノブイリ原発事故の10年後だったことを顧みれば,同じ過ちを繰り返さない「前広な」対策というものがあるはずである。とにかく,人の命と健康に関わることなのだから,「はっきりするまで」悠長には待っていられないのだ)
(6)血液検査や尿検査など,子ども甲状腺ガン検査に加えて,追加的な詳細検査を行う対象(いわゆる「健康診査」の対象)を広げるようにしたらどうかという主旨らしき質問(質問の仕方が悪いので,何をどういう意図で聞きたいのかがはっきりしない)(「健康診査」については,下記の福島県HPにある該当箇所を参照)
*福島県ホームページ - 組織別 - 県民健康管理課トップ
(7)発見されている小児甲状腺ガンが,福島第1原発事故や放射線被曝とは無関係だと,検討委員会は繰り返しているけれど,それでは逆に「関係がある場合」とはどのような時なのか,具体的にその基準を示せ。定義せよ。
(8)原子力「寄生」委員会が今般持ち出してきた「年間被曝限度数量=20ミリシーベルト」や個人線量計による放射線被曝管理をどう見ているのか
(9)発見された58例の小児甲状腺ガンで,リンパ節への転移があったものはどれくらいあるのか
(⇒ 鈴木真一福島県立医科大学教授は「リンパ節転移があったとしても何の影響もない。それが甲状腺ガンというものだ」と言い放った。私のようなシロウトでも,これは「暴言」であることが推測できる)
(10)検討委員会は,チェルノブイリ原発事故の経験や教訓をどう生かそうとしているのか
<最後に>
記者会見の中で,「「県民健康管理調査」を受検できる場所をもっと増やし,身近なかかりつけの医院でも検査が受けられるように,今後,体制を整えて行きたい。(対応が)遅いというご批判はあろうかと思いますが」とする星北斗検討委員会座長の発言を受けた福島県庁の役人と思しき事務局男は,次のように大声で「居直った」。
「(そんなことは)当面はできない!!」
私は,福島県庁の役人の,こんな発言は絶対に許せない。(座長が言うように)まず,事故後2年8か月もたっても,まともな放射線被曝と健康状態の検査体制や診断体制が未だに整っていないことを,福島県庁は,まず県民に土下座をして謝罪してから物事を始めたらどうか。そもそもがSPEEDIの情報を政府と一体となって県民に対して隠蔽し,安定ヨウ素剤の服用をも妨害し,あるいは指示せず,子どもたちの初期被曝の調査や尿検査の実施についても,多くの人達から急げと言われていながらも,邪魔をしたり先送りしたりしてきた福島県庁が,ここにきて,何を言っているのか,ということではないか。福島県庁の役人達よ,もういい加減にしろ。
早々
(参考)「いちろうちゃんのブログ」より
*放射線被ばくの単位「シーベルト」はどのようにインチキなのか?
いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-55ba.html
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