原子力ムラとの癒着を断ち切れず,東京電力延命と柏崎刈羽原発再稼働を間接支援する「廃炉機構」新設案を提起した民主党を徹底批判しよう
前略,田中一郎です。
昨日(2013.10.18)の全国紙朝刊各紙に,民主党が国や電力会社が出資して廃炉を専門的に担う認可法人「廃炉機構(仮称)」を新設する組織改革案をまとめたという記事が掲載されました。今から約2年半前の3.11「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」以降,政権の座にありながら,この「事件」への適切な対応も,被害者の被曝回避や被害からの救済も,事故後処理も,何もまともにできなかった(ロクなことをしなかった)「口先やるやる詐欺」の無能政党=民主党が,またぞろ,東京電力ならびに関係する政府機関その他の責任を棚上げにした,「東京電力救済優先スキーム」を考案して,党の方針としたようです。(下記,毎日新聞記事参照) あんたたちは,もう政治の場には出てこなくていいのよ,ほんとに,と申し上げたいですね。以下,簡単にコメント申し上げます。
*民主党「廃炉専門機構」新設案 国や電力会社が出資-
毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20131018k0000m010094000c.html
(上記から引用)
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民主党は17日、原発の廃炉を円滑に進めるため、国や電力会社が出資して廃炉を専門的に担う認可法人「廃炉機構(仮称)」を新設する組織改革案をまとめた。東京電力福島第1原発の廃炉作業に当たる東電に加え研究機関からも人材と技術を集め、国費を投入して国の責任を明確化する。細野豪志元原発事故担当相の私案をもとに党福島第1原発対策本部で検討していたもので、同日の会議で大筋で了承された。今後法案化し、臨時国会での提出を目指す。
廃炉機構は、東電や日本原子力発電などの電力会社や日本原子力研究開発機構(JAEA)などから人材を結集。廃炉や汚染水対策のノウハウを蓄積し、国内外の原発廃炉に対応する。福島第1原発1〜4号機の廃炉の費用は東電が負担し、各電力会社が原発廃炉のために積み立てている引当金を機構に移転する。国と東電の出資割合や廃炉部門分離後の東電の経営形態は引き続き検討する。
一方、福島第1原発の遮水壁設置の経緯を巡り、当時の馬淵澄夫首相補佐官と東電の主張が食い違っている問題について、大畠章宏幹事長は17日の記者会見で「両者の主張は平行線でしかない」と述べ、同本部が近く公表する調査結果に双方の主張を併記する見通しを示した。【光田宗義】
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(以上,引用終わり)
こんな「モラルハザード」(無責任)を「認可」する特殊法人ができてしまえば,加害者・東京電力は「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」の後始末という重責から解放され,一気に「らくちん」状態となり,再び傲慢な原子力ムラ路線を突進し始めることになるでしょう。おそらくは,自社の経営維持と収支の改善を最優先し,被害者に対する賠償・補償や除染などの対策,あるいは汚染水問題を後回し,あるいは棚上げにして,全社を挙げて柏崎刈羽原発の再稼働に突き進んで行くに違いありません。原子力ムラ委員会の原子力「寄生」委員会も,これを契機に「体制が変わった」と従来の慎重スタンスを翻し,再稼働審査パスへの道を大手を振って突き進むことになると思われます。
また,過酷事故後の電力会社に対する「処分」の方法として,かような政府による「無責任蔓延型の丸抱え方式」を採用することは,現状の電力会社における原発(安全)管理の「モラルハザード」を,益々より一層ひどくし,再びの過酷事故につながっていく許しがたい愚策であると言えるでしょう。
いわば,この福島第1原発だけを切りだして「廃炉機構」を新設するなどというプランは,東京電力と原子力ムラ・原子力産業救済のためのものでしかなく,全く話にならない「出鱈目追認」と「無責任の体系」としての原子力推進を復活させる「悪だくみ」以外の何物でもないのです。だからこそ,自民党の塩崎恭久政調会長代理らが,(自身の選挙区の愛媛県の危険極まりない伊方原発の再稼働を止めることもできぬままに),この民主党案と同様の東京電力・福島第1原発廃炉部門の分離独立と,政府による丸抱えを提唱しているのです。
*福島第1を東電から分社化、「機構」創設を提案-自民・塩崎氏 - Bloomberg
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MU8ECQ6TTDS001.html
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では,当事者能力を喪失している東京電力に,このまま放射能汚染水処理を含め,福島第1原発の事故後処理と廃炉を委ねておいていいのか,と言えば,決してそうではありません。この問題に対する「あるべき体制づくり」は,たとえば下記のようなものでなくてはならないと思われます。ポイントは,「事故責任の明確化」と「再発防止」,そして「脱原発」と「福島第1原発処理と廃炉作業の適正化」です。
(1)東京電力を法的整理にかけ,会社を分割しつつ,福島第1原発事故後処理に対する「挙国」的で責任と実効性のある取組体制を構築するとともに,来るべき適正な電力供給体制と脱原発のスキームを構築すること
(2)具体的には,まず,東京電力に会社更生法を適用し法的整理プロセスを開始する。つまり古い東京電力は解体する。東京電力の既存の株主や金融機関等の大口債権者には応分の負担(減資や債権放棄)をさせ,併せて東京電力幹部の経営責任・これまでの対応に対する刑事責任等を追及する(刑事告発等の法的な対応や処分を含む)。
(3)茂木敏充経済産業相や安倍晋三首相が「東京電力を法的に処理すると,一般担保付社債権が被害者の賠償請求債権よりも優先され,賠償・補償に支障が出るとか,除染や廃炉プロセスに支障が出る」などと説明していることは,全くの嘘八百である。東京電力を会社更生法適用としても,東京電力の現場機能はそのまま継続され,また,賠償・補償や除染などに係る費用の大半の原資は政府が負担しているので,事実上,変わるところはなく,また,一般担保付社債権も,分社化した東京電力の健全部門の負債とすることで,なんらトラブルなく償還をすることができ,被害者の賠償・補償に支障が出ることもありません。
むしろ現状のように,東京電力をゾンビ状態で活かしながら,借り換え時機到来の都度,金融機関の無担保債権を一般担保付私募債に切り替えていく方が,大口債権者に東京電力の現有資産を支配させるようなもので,被害者の賠償・補償を危うくするものと言えるでしょう。茂木敏充や安倍晋三の嘘八百は,そもそも大口の株主や大口の債権者である金融機関に損をさせないための「方便」,あるいは「時間かせぎ」(金融機関の無担保債権を有担保債権に変えるための時間かせぎ)と見ておいて間違いありません。
(4)次に,東京電力を,まず発送電部門と発電部門に分離します。更に,発電部門を,「スクラップ・撤退部門」である原発・核燃料施設部門と,それ以外の「健全発電部門」に分離します。そして,原発・核燃料施設部門には,福島第1原発のみならず,福島第2原発や柏崎刈羽原発と,むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設や核燃料サイクル関連の関連会社等を含めます。すべての原子力部門をスクラップし,そこから撤退させる必要があるのです。
(5)原発・核燃料施設に属する施設や関連会社については「全面撤退」=廃炉を,使用済み核燃料の処理処分も含めて,国策として遂行していきます。福島第1原発の廃炉だけを行うのではなく,東京電力という会社の原子力部門すべてを廃止していくのです。もちろん柏崎刈羽原発の再稼働申請などは撤回です。ここでの費用は,東京電力の廃炉積立金はもちろん,核燃料サイクル関連の兆円単位の積立金や,毎年政府が予算計上している原子力関連の予算(原発・核燃料施設地元対策費を含む)などが,この「廃炉」「撤退」に優先して使用されることになります。
(6)上記の「廃炉・撤退」部門の人材を貴重な国家的人材として位置づけ,担当する方々が,現場作業員まで含めてエンカレッジされる体制を創り上げます。当然ながら,正職員としての雇用や身分の保障,被曝回避のための体制づくりや医療体制等のアフターフォローなど,万全の人事管理体制で臨む必要があります。現状のような,原発・核燃料施設現場における暴力団がらみの多重下請け構造などは法律で禁止すべきです。
また,最高の英知が,この廃炉・スクラップ部門に結集できるような仕組みや,取組が変な方向にとん挫してしまわないための監視システムなどなど,これらの取組の適正化のための仕組みづくりが求められます。
(7)一方,健全部門の送配電部門や原子力関連以外の発電部門は,それぞれ分社化し,前者は「公社」として,今後,電力供給自由化の中核的な組織として,そのあり方を検討します,後者については,複数に分社化して,その自由化競争のあり方を「電力小売り」のあり方と併せて検討します,上記で申し上げた一般担保付社債は,この健全部門の負債として割り付け継承することで,デフォルトを回避し,償還がスムーズに行われるのです。
(8)また,健全部門の分社については,政府も応分の出資を行い,将来,電力会社として収益があげられる自律会社となった時にそれを売却して,一連の「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」に対する政府支出=国民負担の解消の原資とするのがいいと思われます。
(9)こうした「過去の清算」の上に立って,最重要の取組である「被害者に対する万全の賠償・補償と再建支援」,それに「除染」が国の責任として実施されなければなりません。常々申し上げているように,「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」の加害者は東京電力ですが,政府はその「事故責任者」「事件責任者」でもあるのです。政府が愚かにも認めてきたずさんな東京電力の原発管理が原因で「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」が起きているわけですから,少なくとも被害者に対しては,東京電力と政府が連帯して,その賠償・補償・再建支援の責任を背負うべきなのです。必要となった費用負担の分担は,被害者救済とは切り離して,東京電力と政府との間で決めていけばいいことです。東京電力だけを悪者にして,政府は費用負担を負わない=被害者救済に責任を負わない,ということは許されないのです。
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上記は,あるべき「東京電力解体」のスキームのごく概略をスケッチ的に書いたものにすぎません,実際には,もっと緻密な組織や制度の設計が必要でしょう。しかし,いずれにせよ,今般,民主党が打ち出してきた「東京電力救済優先のモラルハザード奨励スキーム」としての「廃炉機構」案とは,雲泥の差があることはご理解いただけるのではないかと思います。
政権の座にある時もひどかった「口先やるやる詐欺」集団=民主党ですが,政権を去ってからは更にひどくなっている,というのがもっぱらの有権者・国民の,このろくでもない政党への評価です,それが,今回の「廃炉機構」案にもにじみ出ているのだと思われます。未だ,原子力ムラからの影響を排除しえない,この政党の体質にはあきれるばかりです。
もはや,民主党は「やめて,染めて,薄めて消えて」(大阪下町じゃりんこ談話)の存在でしかありません。もし,現民主党に少しでも心ある政治家が残存しているのであれば,その政治家は,一刻も早く,ろくでもないことをしてきた同党幹部を追い払うか,それがかなわないのなら,脱党して新たな政党を作るか,2つの一つの決断をすべき時が来ていると思われます。決断力がない政治家や,責任を行動で示さない・示せない政治家など,早く我々有権者・国民の眼前より消えていただきたいものだと,強く思います。
ともあれ,東京電力を延命させての福島第1原発だけのための「廃炉機構」ないしは「廃炉専門組織」の新設など,百害あって一利なしです。
早々
<追>
上記でご紹介した記事の最後の部分の次の記述にある民主党内の動きも「笑止千万」です。そもそも事故直後に,放射能汚染水遮断の恒久対策を馬淵澄夫首相補佐官が打ち出していたにもかかわらず,それを原子力ムラにつらなる党内勢力がそれをつぶし,当時の経済産業相で現民主党党首=平成の泣きべそ男=海江田万里が,東京電力の(経営優先・汚染水処理後回し,1千億円の費用負担かんべんしてくれ)要請を受け入れて,その対策をやめてしまったことが,今日の深刻な汚染水事態の大きな原因の一つだと伝えられています。そんなことさえ「総括」できず,この期に及んで「両論併記」など,バカバカしいにもほどがあるというものです。「やめて,染めて,薄めて消えて」
「福島第1原発の遮水壁設置の経緯を巡り、当時の馬淵澄夫首相補佐官と東電の主張が食い違っている問題について、大畠章宏幹事長は17日の記者会見で「両者の主張は平行線でしかない」と述べ、同本部が近く公表する調査結果に双方の主張を併記する見通しを示した。」
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