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2013年10月19日 (土)

福島第1原発 港湾外に直接つながる排水溝の水から2,300ベクレル/リットルのベータ核種検出=こういう記事に慣れっこになってはいけない

前略,田中一郎です。

 

昨日,20131018日付東京新聞朝刊の2面に「福島第一,排水溝で2300ベクレル検出,濃度上昇,台風影響か」という記事が掲載されました。

 

*東京新聞第1原発排水溝で濃度上昇 台風で放射性物質流入か社会(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013101701000877.html

 

 東京電力は17日、福島第1原発の港湾外の外洋に直接つながる排水溝の水から、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり最大2300ベクレルの濃度で検出されたと発表した。水は台風26号で大雨が降った16日に採取した。15日に採取した水に比べ濃度が急上昇した。

 ベータ線を出す放射性物質の半分を占めるストロンチウム90の法定基準は30ベクレル。排水溝を通じ外洋に流出したとみられるが、政府・東電は海水で希釈され環境への影響はないとしている。 東電は「原発事故で地表面に降下した放射性物質が雨水で排水溝に流入したことが原因とみられる」と説明。

 

*(同内容)濃度上昇最大2300ベクレル 台風で汚染土壌流入 第一原発の排水溝 (福島民報) - Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131018-00000016-fminpo-l07

 

 この記事は,きわめて重要な内容の記事で,検出されたベータ核種の値は放射性ストロンチウムの排出基準(*)である30ベクレル/リットルをはるかに超えています。放射性ストロンチウム以外にも,トリチウムなども含まれていたことが推測されます。そもそも放射性ストロンチウムについて,30ベクレルなどという排出の濃度基準が高すぎることにも留意する必要があります。そして,この記事から,オリンピック招致時やその後の国会等での安倍晋三首相の「近海の放射性物質の影響は、発電所の港湾内の0.3平方キロメートル内にブロックされている。全体として状況はコントロールされている」との発言が,嘘八百であることもはっきりしたわけです。

 

 東京新聞記事によれば,東京電力は「地上タンク群の堰から排出した雨水は濃度が低いため影響していない」としているとのことですが,いい加減なものです(下記のおしどりマコさんのサイトをご覧下さい)。東京電力のずさんな放射能汚染水の管理状態が,次々と海と環境の汚染をもたらしております。もう取り返しがつかなくなってしまいました。万死に値します。

 

 また,東京新聞記事によれば,「政府・東電は海水で希釈され環境への影響はないとしている」そうですが,影響がないわけがないだろう,この大馬鹿もの!! ですよ。

 

(*)放射性物質排出基準(例)

 放射性ストロンチウム 30ベクレル/リットル

 放射性セシウム134 60ベクレル/リットル

 放射性セシウム137 90ベクレル/リットル

 水になっているトリチウム 60,000ベクレル/リットル

 一般化合物になっているトリチウム 40,000ベクレル/リットル

 有機化合物になっているトリチウム 20,000ベクレル/リットル

 

<留意しておくべきこと:けしからん話です>

(1)トリチウムの排出基準が異常に大きいこと=危険極まりなし,(2)放射性ストロンチウムや放射性セシウムはそれに比べれば小さいですが,生体濃縮や食物連鎖などを考慮した場合,この3090ベクレル/リットルでも大きすぎます。(3)濃度規制があるだけで,総量規制がないので,薄めればいくらでも放射能を環境に放出していいような「尻抜け」規制となっており,この点をおしどりマコさんに追及された東京電力は「今の規制はそうなっている(だから何が悪いんだ)」と居直ったそうです,(4)規制値をはるかに超える放射性物質が福島第1原発から海へ流出を続けていること(ベータ核種だけではありません),

 

(5)依然として東京電力も政府も日本の学者どもも,福島第1原発からどのような放射性核種が流出しているか,その物理学的・化学的・生物学的特性や流出推定量などを一般国民に対して説明しようとはしておりません,(6)きわめつけは,上記のような放射能の排出基準は,青森県六ケ所村再処理工場に全く存在せず,事業者である日本原燃が「出したい放題・放出したいだけ出していい」ことになっています(原子力ムラ無法地帯としての青森県)。

 

 大事なことは,こうした記事や報道に対して「慣れっこ」になっていはいけないことです。これは「とんでもないこと」が起きているのであり,「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」が今も継続しているということであり,依然として加害者・東京電力や事故責任者・国が,事故の深刻な実態を一般国民や地域住民に対して隠し続けていることを意味しています。

 

 加害者・東京電力や事故責任者・国を今後も徹底して追求し,糾弾し続けなければなりません。そして,一刻も早く,福島第1原発からの放射能の放出を止め,近々起きるであろう大地震・大津波で福島第1原発が二次災害とならぬよう,万全の対処をしなくてはなりません。日本は東日本滅亡の可能性という「薄氷」の上を,気楽でアホウな安倍晋三首相とともに無邪気に歩いているという現状を深刻に考える必要があると思います。

 

 <下記も併せてご参考にして下さい>

*放射性物質トリチウムと青森県六ケ所村再処理工場( 東北地方が今度は北から原子力ムラによって「毒殺」されようとしている) 原発ゼロ・脱被曝 どうしたらできる?

 http://onndannka.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-5590.html

 

TEPCO「豪雨で希釈された溜まり水を測定し排水‼」(おしどりマコ) DAILY NOBORDER

 http://no-border.asia/archives/15033

 

 <追>(必見)おしどりマコさんの直近版です

*原発事故後3週間以内のWBC測定値が存在、35%が汚染(おしどりマコ) DAILY NOBORDER

 http://no-border.asia/archives/15531

早々

 

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