微量の放射性セシウム体内蓄積による心臓疾患のメカニズム(主食のコメは10ベクレル/kg未満を死守せよ)
前略,田中一郎です。
下記は大山敏郎(おそらく医師か医学者)という人が書いた,人体内への微量の放射性セシウムの蓄積の危険性=放射性セシウム心筋症(心疾患による突然死の原因)のメカニズム等を解説するものです。この中で,大山氏は飲食による放射性セシウムの体内取り込みと,その体内蓄積を懸念し,主食のコメは10ベクレル/kg以下を死守すること,を提言しています(本音は,10ベクレルどころか,もっともっと少なく,とも書いています)。また,御用学者などから放射性セシウムの危険性を誤魔化すために持ち出されるカリウム40と放射性セシウムとの,人体内での違いなども論じられているようです。
原子力ムラ御用学者やその代理店政府の口車に乗り,厚生労働省が定める,いい加減で危険な飲食物への残留放射性セシウムの規制値さえ守っておれば(あるいはその規制値の1/2に自主規制すれば)「安全で安心だ」などと,軽率極まりないことをしていると,近い将来,とんでもない事態に陥ってしまう可能性があることを暗示していると言えるでしょう。とにかく,放射線被曝(特に恒常的な低線量内部被曝)を甘く見るなということです。ご一読されることをお勧めいたします。
ちなみに,科学者でもない私は,放射性セシウムとカリウム40の違いについては,後者(カリウム40)が分子のレベルに近いくらいの超微小=ミクロのミクロの大きさで,生物の体の中にまんべんなく全体的に広がって存在し(分布し),特定の部位や臓器に集中することも偏ることもなく,出たり入ったりを繰り返しているのに対し,放射性セシウムの方は,他の放射性物質とともに,ある程度の固まり(団子状態)になって体内をうろつき,一部は大山氏の言うようなイオン状態にまで微小化するものもあれば,そうではなく,団子のままで体内のどこかにとどまったりしているものもあったりと,その挙動がバラバラではないか,と想像しています。そして,放射性セシウムは,一定程度,特定臓器にその分布が偏る傾向もあるのではないかと思います(例:心臓,甲状腺)。
いずれにせよ,カリウム40の方は,放射線を出しているので,全く安全とは言えないまでも,その健康への影響は無視できるくらいに小さいものだと思われますが(だからこそ,大昔からカリウム40が存在していても,人類を含む生物は生存を続けてきた),放射性セシウムの方は,人体を含む生物体内での挙動や,その健康への影響,あるいは遺伝的障害度合いについて,経験科学的(実証科学的)に,ほとんど何も分かっていないのが現状です。従ってまた,自然放射能のカリウムを持ちだして放射性セシウムと単純比較をし,両者は同じだとか,量はカリウム40の方が多いからカリウムの方がより危険だとか,根拠の乏しい非科学的な屁理屈は相手にしないことだと思います。
この放射性セシウムとカリウム40の話に限らず,およそ原子力ムラが説明するところの内部被曝論は,DNAの損傷程度のことしか念頭にない,1960年頃のレベルの生物学的知識水準にあります。それから約50年,生物学,特に分子生物学や細胞生理学などはめまぐるしい進歩・発展を遂げており,原子力ムラが主導する放射線生物学や放射線被曝学は,そうした生物学の発展について行けない,素人だましの似非科学に転落していることも付記しておきます。
くれぐれも,新聞や雑誌などのもっともらしい,放射線被曝心配いらない似非理論に惑わされないように,注意いたしましょう。原子力ムラのこの放射線被曝研究の致命的な遅れは,彼らの頭が悪いからそうなったのではなく,原子力推進のためには放射線被曝の実態が明らかになっては困るので,終始一貫して,放射線被曝(特に内部被曝)の科学的・実証的研究を,政治の力で押しつぶし排除してきた結果です。その意味で,彼らは,頭が悪いのではなく,逆に頭が(短視眼的にですが)良かったということです(言い換えれば,悪知恵が良く働いたということです)。
*大山敏郎著(2012年1月4日)
早々
<追:おまけです>
*2013.10.13 No Nukes Day 国会正門前ファミリーエリア (脱原発)釣竿隊さんのスピーチ - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=4U2SRpe7WE0&feature=youtu.be
(短いVTRです)
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