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2013年9月15日 (日)

「特定秘密の保護に関する法律案」を白紙撤回せよ(これは民主主義や国民主権を破壊する現代の「治安維持法」だ)

前略,田中一郎です。

下記は,「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に関する意見です。ご参考までに。

 

(参考)「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見募集について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060130903&Mode=0

 

(下記に関係する新聞記事を再度添付しておきます)

● 秘密保全法案の「闇」(2013817日付東京新聞)

 http://blog.livedoor.jp/shootque/archives/51908163.html

 

● 刑事司法改革 盗聴の制限 大甘に(2013829日付東京新聞)

 http://toracyan53.blog60.fc2.com/blog-entry-5363.html

 

●秘密保護法案の危うさ あの国家秘密法と同じ!?(東京新聞:こちら特報部) 播磨

 http://www.asyura2.com/13/senkyo153/msg/771.html

 

(以下は,田中一郎の個人的な意見です)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今般パブコメに付された「特定秘密の保護に関する法律案」に反対する。かような時代錯誤で反民主主義的な法案を策定しているヒマがあったら,現在,不十分なままに放置され,その精神が骨抜きにされてしまっている「情報公開法」を,もっと国民のために機能する法律に書き変える取組を強化せよ。政府のやることを合法的に露骨に隠してしまえ,とする今回の「秘密保護法」など,許されるものではない。有権者・国民が持つ,政府や行政のやることを具体的に「知る権利」=参政権の一種,の権利侵害以外の何物でもない。日本国憲法違反である。

 

1.政府が行うことは,すべて原則「公開」されなければならない。それが,安全保障であろうが,治安問題であろうが,外交であろうが,基本は「ガラス張り」でなければならない。そうしなければ,政府が行うことを多くの有権者・国民がチェックし,その善悪・よしあしを検証することができなくなる。政府が「秘密保護」の大義名分の陰に隠れて,ろくなことをしないことは,これまでの戦後の歴史を顧みれば明らかであって,政府がなすことはすべて正しい,政府は間違うことはない,ことを前提にしたような「秘密保護法」などは認められるはずもない,民主主義政治の破壊そのものだ。「秘密保護」とは,「秘密とは何か」を指定する者たちによる,その権限「乱用」と表裏一体であり,権限を持つものによる反対論者の排除のために使われることも自明である。「知らしむべからず,寄らしむべし」,民主主義を否定する政治=有権者・国民を統治し,差配する歪んだ思想の現れに他ならない。

 

2.仮に,一時的に「交渉中」などを理由に,有権者・国民に詳細を知らせないことがあるとしても,その「一時的」の期間は極力短くすべきであるし,その是非については,政府から独立した組織によって,検証され是非が正される必要がある。そして,公開されたあかつきには,多くの有権者・国民の批判や検証に付されるべきである。

 しかるに,この法案では,「秘密保護」の期間を,ほぼ永久的に長期化できるような内容になっている。この法案を提出した現政権にある政治家達や霞が関の官僚達は,自分達が永久にその政治・行政を牛耳ることができる特権階層か何かと勘違いをしているのではないか。日本国憲法が定めるように,政治はすべて有権者・国民のためになされるのであり,それが担保されるためには,政治家や官僚達が,具体的に何をしているか,何をしたか,何をしようとしているか,が明らかにされ,それが多くの批判や検証にさらされなければ,「有権者・国民のため」は「絵にかいた餅」となってしまうだろう。特定の政治家や官僚達だけに,国の秘密と称することを独占させるわけにはいかない。それは反国民的政治や行政の温床となり,また,ろくでもないことの隠蔽の巣になることは明らかである。

(例えば危険極まりない原発・核燃料施設の実態を隠蔽してきたのは政府だったではないか,更にはまた,売国奴協定などと言われているTPPの交渉を秘密にしてしまい(締結後も4年間秘密),有権者・国民にその内容を知らせぬままに事を決めようとしているのも現政府である)

 

3.そもそも「秘密」の範囲指定が抽象的で,あいまいで,いくらでも政府の権限者の恣意によって拡張が可能であり,場合によっては,政府・政権にとって都合の悪いものは,すべて秘密にすることができるような,そんな「歯止め」の利かない,どうしようもない悪法案である。

 

4.既に日本には,政府や行政に関する「秘密保護」の法的な規定は存在している。むしろ過剰なほどの規定が存在し,「情報公開法」「情報公開原則」に抵触する程度にまで,政府や行政の情報公開度合いは低い。何をいまさら,更に「秘密保護」が必要なのか。むしろ必要なのは,その逆,つまり,冒頭でも述べたように,政府や行政の「情報公開」の徹底だ。

 

5.この「秘密保全法」に違反することに対する罰則規定が異常である。懲役10年など,もはや人権侵害・政治参加弾圧そのもので,およそ民主主義国家がなすべきことではない。政治は,有権者・国民を排除して,特定の特権者でやればよいとする考え方だ。

 加えて,この法案では,その「特定秘密」なるものの取得の仕方までをも罰則付きで規定する他,その取得行為の未遂・共謀・教唆なども処罰の対象にしているというから,これはもう有権者・国民の政治活動や社会活動に対する「脅威」「恐怖」そのものとなってしまう。罰則に値する行為の定義,処罰する人の範囲の規定などが,あまりに漠然としていること,広範囲なことと併せて考えれば,これは戦前の悪名高き「治安維持法」を再現させるものと言っていいのではないか。間違いなく,権力者たちの恣意が働くに違いない。

 罰則強化の規定など,全く不要である。現状の各種法律の規定さえ,その規定を限定する方向で,つまり情報公開を徹底させ,政府などの秘密主義を矯正する方向で再検討すべきことだ。

 

5.更に憂慮すべきことは,上記のきつすぎる罰則規定が,おそらく政治や行政における国民の参加を萎縮させ,一種の「暗黒政治」ないしは「抑圧的」な雰囲気をつくりだすであろうことは十分に推測できる。その結果,政治権力・政権は,有権者・国民からの権力チェックをまのがれて,ややもすれば独善的に暴走し,国の進路を誤ってしまう可能性が高まるだろう。うっとうしい限りである。まさに権力の「威圧」によって,有権者・国民の知る権利を奪い,異議申し立てができぬような状態を創り上げること,ここにこの法律の最大の目的があるようだ。

 

6.特定機密を扱える人間を「適正評価」する,というのも重大な人権侵害である。ある政府の権力を握った人間達が,行政の一般職員や一般民間人を,この人の素生や思想や言動はOK,こっちはダメ,などと「色分け」することなど,およそ許されることではない。思いあがるのもいい加減にしていただきたい。これは,「秘密保護」を口実とした思想選別・人格選別であり,時の権力に都合のいい人間を重宝せんとする,いかにも歪んだ,汚らしい発想が見え隠れしている。まさに権力の乱用だ。

この「人格選別」の結果は,およそ「秘密保護」取扱に留まることなく,行政職員を中心に,有権者・国民が支配権力者たちによって「色分けされていく」という,恐るべき社会情勢をつくりだしてしまうだろう。なすべきことはあべこべ,であって,支配権力や政治家・高級官僚たちこそを,有権者・国民が「色分け」し,選別しなければならないのである。

 

7.今回の「秘密保全法案」でもう一つ重要なことは,日本版国家安全保障会議(NSC)の創設や集団的自衛権の行使と一体的に進められていることだ。また,この法案は,日米相互防衛援助協定(MDA)に加えて,「2007年に米国と締結した軍事情報包括保護協定(GSOMIA)により、米国並みに厳罰を科す秘密保持体制をつくるよう米国に要請されたのがルーツ」とされている。

 簡単に言えば,この法律は,米国の配下にあって,米国に隷属しながら,日本という国が「(米国のために)戦争ができる国」を目指そうというものに他ならない。こうした対米隷属の本音が他方において隠されているという,もう一つの重大な欠陥があることも看過できないことである。

 

8.上記以外にも,たとえば政府や行政のよからぬ行為を裁判に訴えようとした場合に,「秘密保護」の壁に突き当たって証拠提示ができないとか,少し前に発覚した自衛隊による自衛隊批判者の密かな調査などを禁止できなくなるとか,この法律は,日本の民主主義の政治や,適正な行政の実現に,大きな障害物となって現れてくるだろう。まさに,日本という国の形を破壊する天下の悪法である。それを今回,わずかなパブコメ期間を設けて,アリバイ的に有権者・国民の意見を聞いた形をとり,強行突破で法制定に邁進しようとしているのである。

 修正の余地などない,全面白紙撤回せよ。

以 上

 

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