記事は小さく出ているけど,見逃してはいけない大事な情報(原発の「出鱈目てんこ盛り」)
前略,田中一郎です。
別添PDFファイル(添付できず)は,昨今の原発・放射能汚染関連の若干の新聞記事です。いずれも新聞紙面上の扱いは小さい記事ですが,よく読むと,見逃せない大事な情報が何気なく書かれています。あっちでも,こっちでも,原発・原子力は「出鱈目てんこ盛り」です。以下,簡単にご説明いたします。
<別添PDFファイル:添付できませんでした>
(1)ストロンチウム3200ベクレル タンク北側(朝日 2013.9.10他)
(2)海近くの井戸でセシウム検出 福島第1原発の汚染水(日経 2013.9.5)
(3)リスキーです,言い切るのは(東京 2013.9.15)
(4)7か所の下水汚泥,セメント利用可能(河北新報 2013.8.31)
(1)ストロンチウム3200ベクレル タンク北側(朝日 2013.9.10他)
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201309090567.html
この記事は,放射能汚染水が漏れたタンク付近の観測井戸から放射性ストロンチウムなどが,新たに3,200ベクレル/リットル検出され(数日前の650ベクレル/リットルに次いで2カ所目),漏れた汚染水が地下水に広がっていると伝える記事である。しかし,記事をもう少し読み続けると次のように書かれている。
「観測井戸から約130m海側には,東電が建屋に流入して汚染する前の地下水をくみ上げて海に流そうと計画している井戸がある」
こりゃ,もうだめだ。地下水は山側から海側へ,高いところから低いところへ流れて行くので,山側の方の地下水が汚染されていて,それで海側の地下水がきれいなわけがない。「地下水が汚染する前」,などということはもうあり得ず,福島第1原発敷地の地下水は原子炉核燃料由来の様々な放射能で汚染されてしまっている。そんなものをくみ出して,海にぶん投げられてはたまったものではない。今のところ,腰抜け・へっぴり腰で頼りにならない漁協系統・漁連も,海へのくみ上げ地下水の廃棄には反対している。しかし,さらに続けて読むと,
「東電は汚染の広がりの範囲を特定し,計画に影響がないかを調べる」
このもっともらしい記載内容が最も危ない。「汚染の広がりの範囲を特定」など,できはしない。汚染水が自由に蠢いている地下には,汚染水の行き来を制御する「関所」や「コントロール機械」があるわけではない。ある日,ここまで広がった汚染水は,次の日には,ずっとずっと広く広がっているかもしれない。こんな「特定」などしてみても無意味だが,しかし,東電や政府は「汚染はここまでしか広がっていないから,こっちから地下水をとった分は大丈夫だ,さあ,ぶん投げよう」と,いずれ言い出すに決まっている。そこに原子力「寄生」委員会という「インチキおじさん達」が現れて,屁理屈によるお墨付きを与えるという段取りになっている。現に田中俊一委員長は,いずれタンクの水を含め,汚染水は海へ捨てる,と息巻いているではないか。
(同じ朝日新聞紙面の右側には,安倍晋三総理がオリンピック招致のためにアルゼンチンで放言した嘘八百の骨子が列記されている(6項目)。これも保存しておいた方がいいだろう。これから安倍晋三の行くところ,この嘘八百への追及が待っていることを覚悟させてやろう)
*【五輪】安倍首相は強弁、「汚染水は問題ない」「港湾内で完全にブロック」、IOC委員質問に回答…実際は外洋漏洩の可能性、極めて高く★5 にゅーすまとめログ
http://matomelog.ldblog.jp/archives/32716757.html
(2)海近くの井戸でセシウム検出 福島第1原発の汚染水(日経 2013.9.5)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO59312780V00C13A9CR8000/
(上記から引用)
「敷地海側では汚染水が海に流出するのを防ぐため、護岸付近の地盤を水ガラスと呼ばれる薬剤で固めた遮水壁を造ったが、今回検出された井戸は壁より海寄り。遮水壁の内側(陸側)の井戸で2日に採取された水のセシウム濃度は93ベクレルで、海側の方が高い結果となった(1リットルあたり550ベクレルの放射性セシウムが検出)。」
つまり,凍土方式の「遮水壁」など,役に立たないということだ。放射能汚染源の凍土壁の内側の方が,その外側よりも汚染度が低い,なんて,何のための壁なのでしょうか? 既に明らかになっているように,凍土方式の遮水壁は,2011年の福島第1原発事故直後の5月・6月に,馬淵澄夫総理補佐官らが中心になって「遮水壁」建設を検討した時も一つの方法として選択肢にのぼったが,結論は「実現可能性は低い」だった。下記サイトをご参照あれ。
*原発汚染水深刻!幻の遮水壁計画・漁師の怒り/報道特集
赤かぶ
http://www.asyura2.com/13/genpatu33/msg/348.html
(3)リスキーです,言い切るのは(東京 2013.9.15)
東京新聞4面の,いつもの「東京電力テレビ会議システム」に記録され公開された事故対応のやりとりの記事である。記録された「やりとり」の日付は「2013年3月14日の午後1時17分~」で,3号機爆発の少し後のことである。記事がネット上に見当たらないので,肝心の部分を抜き書きしてみよう。
「本店社員:福島事務所から依頼が来てます。次の第三報のプレス文(報道発表文)に,福島県庁,県知事から,この文言を入れてもらいたいという話がありました。『天候が崩れる予想だが,北西の風が吹いており,観測された放射線量から健康に被害が出る心配はない』。入れたいのはやまやまですが,こういうことでいいのかお諮りしたい」
「本店社員:国の本部の体制下において,ここまで電力から言っていいのか気になります。ちょっとリスキーですよね。ここまで言い切るのは。こういう話は国から言ってもらいたいところ。⇒
(本店社員「ちょっと調整
します」)」
このとんでもないデマ=被ばくの健康影響は心配ない という文言を入れてくれ,と依頼をしたのは東京電力ではなくて,福島県庁である。ここまで言い切るのは,ちょっとリスキーだ,と言って躊躇しているのは,福島県庁ではなくて東京電力である。
また一つ,福島県庁の原発事故時の反県民的行為が発覚した。福島県庁が福島第1原発事故後にやったことと言えば,たとえば,SPEEDIの情報を国からもらっているのに,それを市町村に伝えない・公開しない,事故直後の子どもの甲状腺検査をしようとした弘前大学や(独)放射線医学総合研究所のチームの邪魔をしてやめさせる,「福島県民健康管理調査検討委員会」秘密会議を開いて口裏を合わせる・「福島県民健康管理調査」自体が出鱈目,安定ヨウ素剤を町民に飲ませようとした三春町を脅して妨害しようとする,農地の汚染状況調査や飲食の検査体制もおぼつかないうちから福島県産品の安全宣言,学校給食に放射能汚染物の地産地消を押し付け,避難する人のための住宅援助を打ち切る,山下(だました)俊一を福島の放射線被曝健康管理の中心人物としてつれて来た,国際原子力マフィアIAEAと協定,などなど,数え挙げればきりがないくらい,反県民的な放射線被曝軽視・無視・押し付けの犯罪的行政を行ってきた。
その福島県庁の罪状に,もう一つ,3号機爆発の段階から,県民を無用の放射線被曝から守ろうとしていなかったこと,東京電力でさえ躊躇してしまうような嘘八百を公表させろと,東京電力に迫っていたことがこれで分かった。私は福島県の方々に,こんな県庁,こんな県知事で,本当にいいのですか? とお聞きしたい。
(4)7か所の下水汚泥,セメント利用可能(河北新報 2013.8.31)
「2011年7月に完成した福島県二本松市の賃貸マンションの1階の室内で、1時間当たり最大 で1.24マイクロシーベルトと、付近の屋外より2倍近く高い放射線量が測定され、床のコンクリートから放射性のセシウムが検出されました。」というようなニュースが,衝撃を持って伝えられたのは記憶に新しい。しかし,それから早2年,もう忘れられてしまっているようだけれど,現下では恐ろしい事態が着々と進んでいる。
放射能に汚染された下水汚泥が,コンクリートの原料として使われているというのだ。この記事によれば,セメント会社は,放射性セシウムが100ベクレル/kg以下であれば,汚染汚泥であってもセメント原料として受け入れているという。冗談ではない話で,これは非常に危険である。
まず,100ベクレル/kgという汚染濃度は,下水汚泥の全部に対して,きめ細かくきちんと担保されるわけではなく,どうせ,わずかばかりのサンプル調査しかしないから,濃度には偏りがあって,場合によってはとんでもない汚染状態にあるかもしれない汚泥が,我々の居住空間を構築するコンクリートに使われる可能性がある。更には,100ベクレル/kgの放射性物質が放つ放射線も,安全なわけがない。何と言っても,ずっとそこに住んで,居続けて,被曝し続ける可能性があるのだから,ベクレル値が小さいから大丈夫,などということには絶対にならない。2011年当時は,少しでも放射能汚染がある汚泥や焼却灰は,セメント会社は受入れないと言っていたのが,いつのまにやら100ベクレル/kg以下ならOK,などということになってしまっている。
すでに申し上げているが,この汚泥と似たような状況にあるのが「木材」「木質建材」「木質燃料」だ。林野庁が打ち出した木材・木質燃料の放射性セシウム汚染の上限値(ベクレル/kg)は単なる目安にすぎず,守らなくても,放射能を計測しなくても,何の罰則もない。それに上限値自体も高く,日常の居住空間を構成する建材としても,日常的に使われる燃料としても,とても安全とは言えない大きな値である。もちろん放射性セシウム以外の放射性核種は眼中にない(建材用木材に上限値はなく,業界で自主基準を定めているだけ,薪=40ベクレル/kg,木炭=280ベクレル/kg,バークペレット=300ベクレル/kg他)。
コンクリートも木材も,その放射能汚染管理は腹が立つくらい,全くいい加減なもんです。これらは,8,000ベクレル/kg以下の放射能汚染物を「一般ゴミ」扱いしていいという,あの悪名高き環境省の放射能汚染ゴミ基準がベースになっているようです。しかし,このようにして非汚染地域にまでばら撒かれた放射能は,やがて我々自身に向かってブーメランのように戻ってきます。そして,その頃には,取り返しのつかないことになっているのです。
*新築マンションから放射線管理区域の2倍の高放射線量!放射能汚染セメント使用が判明!! 福島県二本松市 - Everyone says I love you !
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/25d8c4eaa7d2b5ea361631fe4da36ca0
*林野庁-東日本大震災について~調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値設定に関するご質問と回答について(更新)~
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/111222.html
*http://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/sinsai/mokuzai.html
林野庁-木材製品の取扱いに係る留意事項等(Q&A)について
早々
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