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2013年7月16日 (火)

木質燃料が危ない(森林と木材の放射能汚染)

 下記は昨年秋(201211月頃)に書いた国産木質燃料の放射能汚染に関するレポートですが,事態は今に至るもほとんど改善されている様子がないので,若干の加筆修正を行った上で,再度みなさまにご覧いただくことにいたしました。前半の「1.」は薪・木炭,後半の「2.」は木質ペレットについてです。

 

1.薪・木炭・木質ペレットは危険なので,お使いにならないようご注意ください(その1:薪・木炭)

 このほど農林水産省(林野庁)は,「林野庁-木質ペレット及びストーブ燃焼灰の放射性セシウム濃度の調査結果及び木質ペレットの当面の指標値の設定について」(2012112日)という通知文書を発表し,木質ペレットの放射性セシウム汚染に対して「指標値」(=一定の使用可能限度の「目安」数値)を示しました。しかし,その通知文書の内容を詳細に見ますと,木質燃料の放射能汚染に対する軽率で無責任で危険な対応と思わしき記載が多く見られ,このままでは東日本を中心に国産の木質燃料の使用による意図しない呼吸内部被曝や,木質系の放射能汚染ゴミの拡散等を招いてしまう危険性が高いと思われます。以下,国産木質燃料の放射能汚染管理の状況を点検すべく,木質ペレットに関することだけでなく,少し前に発表されている薪及び木炭(但し調理加熱用に限る)に関する同様の汚染「指標値」(=「目安」)の通知文書に遡り,その内容の軽率さや無責任さ,あるいは危険性を指摘したいと思います。

 

<関連通知:林野庁HPから>

(1)(201211 2日)「林野庁-木質ペレット及びストーブ燃焼灰の放射性セシウム濃度の調査結果及び木質ペレットの当面の指標値の設定について」

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/riyou/121102.html

 

(2)(2012 119日)「林野庁-調理加熱用の薪及び木炭の安全確保について」

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/shintan7.html

 

(3)(201111 2日)「林野庁-調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値の設定について」

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/111102.html

 

(4)(20111222日)「林野庁-調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値設定に関するQ&Aについて」(いわゆる「Q&A」)

http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/shintan4.html

 

(5)(20111118日)「林野庁-調理加熱用の薪及び木炭の放射性セシウム測定のための検査方法について」

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/111118.html

 

 いずれの通知文書も,テクニカルな話である「検査方法」の記述を除けば,Q&Aを含めて平易な内容なので,直接お読みになることをお勧めします。なお,前半の「1.」では,上記の(2)~(5)を問題にします。ただ,今般発表された(1)の木質ペレットに関する通知は,それより少し前に通知された(2)~(5)よりも,一段とその内容がひどくなっており(放射能汚染をほとんど無視した軽率極まりない被曝判断等),農林水産省・林野庁の現下における放射能汚染管理の方針や姿勢を象徴的に表しているものと思われます。その点については「2.」で厳しく批判いたします。

 

 また,上記で私は「木質燃料の使用は東日本産を中心に危険である」と書いていますが,他方では,福島第1原発事故に伴う放射性物質の環境への拡散はかなりの広範囲に広がっていて,各地の森林をも汚染していると思われることや,東日本一帯の汚染地域から産出された木質燃料は,全国各地へと,ほとんど何のチェックも受けずに,きちんとした表示もなされずに流通しているようですから,今後,行政及び業界・業者が放射能汚染対策をキチンとして,危険な汚染物が出回ることがないことが確認されるまでの間は,全国各地どこでも,国産の木質燃料(薪・木炭・木質ペレット等)の使用は差し控えた方がよさそうです。従ってまた,木質燃料を燃やしている場所(炭火焼肉・焼きとり,キャンプファイアー,焚火,暖炉やストーブやボイラーなど)には近づかない方が賢明ですし(呼吸被曝の可能性大),特に学校や保育園・幼稚園,あるいは老人施設などでは,万全の注意が必要ではないかと思われます。(以下,「ですます」調から「である」調に切り替えます)

 

1-1.調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値の設定

 上記(3)が,この問題に関する大黒柱の通知文書である。当面の指標値等について,通知には下記の通り書かれている。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下,引用)

<主な内容>

調理加熱に使用されている薪や木炭については、燃焼に伴う放射性物質の移動や食品への影響を判断するための科学的知見が乏しいことから、調査を実施していたところです。今般、この調査において、薪及び木炭から食品への移動についてはわずかでしたが、焼却灰には一定レベルの放射性物質が残留するとの知見が得られたため、調理加熱用の薪及び木炭の今後の取扱いについて、当面の指標値を定めました。なお、この指標値の設定については、本日、都道府県及び関係団体へ通知しました。

 

<当面の指標値(放射性セシウムの濃度の最大値)>

1)薪   40ベクレル/kg(乾重量)

2)木炭 280ベクレル/kg(乾重量)

 

<関係者に対する指導>

 生産者及び流通関係者に対し、指標値を超えている薪及び木炭の流通を行わないよう指導を行うこと等について、都道府県及び関係団体に要請します。具体的な指導内容は添付資料をご参照ください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以上,引用終わり)

 

 ここでの問題は

① この指標値はあくまで「指標値」であって,違反した場合の罰則もなければ,法的な強制規制でもない,単なる「目安」にすぎず,指標値を大きく上回るものが販売されても,それを停止させることも,業者を罰することもできない。

 

② 更に,都道府県と関係団体に通知はなされるが,通知の後,政府(農林水産省・林野庁)は「あなた達(業界)で勝手にやってくれ」という姿勢なので,どこまでこの「指標値」が守られるのかは定かでない。通知が現場に周知徹底されているかどうかや,通知内容が現場で守られているかどうかのモニタリング体制さえ取られていないので,単に通知をしただけ,に終わっている。つまり,この「指標値」に実効性がない。(いつもの「やってまっせ」のアリバイ行政)

 

③ この「指標値」の対象となる薪や木炭が「調理加熱用」に限られていることが問題である。上記(3)「Q&A」によれば,最も使用頻度が高いと思われる薪ストーブなどの小規模な家庭用暖房器具についてはこの指標値が準用されるが,大規模な工業用のボイラーで薪及び木炭を燃やす場合は対象としていないとされた(それについての「指標値」は存在しない)。

 

 また,沖縄のソバのアク抜きに使用されて大問題となった放射能汚染の木質灰の飲食関係への使用に関しても,使用禁止の通知も,注意喚起も,指標値もない状態が続いている。木炭なども場合によっては飲食用の補助資材として直接使われる場合もあるが,それも放置状態だ。薪や木炭の使用に係る総合的な指標値が必要であるし,流通過程での適切な表示や,消費者向けの注意喚起なども必要だろう。

 

④ 指標値は放射性セシウムについてだけであり,それ以外の放射性核種が無視されている。しかし,薪や木炭を産出する森林の放射能汚染は深刻で,放射性セシウムだけを調べればそれでいいということには絶対にならない。(放射性ストロンチウム,プルトニウム,ウラン,テルル,アンチモン,放射性ヨウ素129他)

 

1-2.指標値設定の考え方

 (4)のQ&Aには,指標値設定の考え方として次のように書かれている。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下,引用)

Q1:なぜ、調理加熱用の薪及び木炭に当面の指標値をつくったのですか。

A1: 東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、放射性物質が大気中に放出され、樹木に放射性セシウムが付着しました。これらの樹木を原料とする薪及び木炭は放射性セシウムを含有するので、調理加熱に使用すれば食品に放射性セシウムが移動する可能性があるのではないかと考え、食品の調理を念頭に実証実験を行いました。

 この結果、薪及び木炭の放射性セシウムの2%以下が食品に移ったのに対して、残りの多くが燃焼灰に留まりました。そこで、飲食店及び一般家庭において薪及び木炭により調理加熱が行われた場合に生じる灰に着目し、実証実験により得られたデータや専門家の助言を踏まえて当面の指標値を設定しました。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以上,引用終わり)

 

 つまり,木質燃料に付着あるいは含まれている放射性物質について,燃焼に伴う食品への移行と,焼却灰への移行を考慮したが,煙となって拡散する分については全く考えていない,ということを意味している。これはあまりに乱暴であり,また危険である。

 

1-3.薪=40ベクレル/kg(乾重量),木炭=280ベクレル/kg(乾重量)はどうやって算定したか

 同じく(4)のQ&Aには,指標値設定の考え方として次のように書かれている。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下,引用)

Q2:なぜ、調理加熱用の薪として利用できる放射性セシウム濃度を40ベクレル/kg以下、木炭として利用できる放射性セシウム濃度を280ベクレル/kg以下としたのですか。

A2:実証実験により、薪1kgを燃焼させると灰5g、木炭1kgを燃焼させると灰30gが残り、薪及び木炭に含まれていた放射性セシウムの約9割がその灰に残るとのデータが得られました。これは、灰1kg当たりの放射性セシウムの濃度が薪1kgと比べて182倍、木炭1kgと比べて28倍となることを意味します。

 このため、薪及び木炭の燃焼により生じる灰が、セメント等で固化する等の対策を講じなくても一般廃棄物最終処分場での埋立処分が可能な放射性物質の濃度である8,000Bq/kg以下となるよう、薪の指標値を40Bq/kg8,000÷1824440)、木炭の指標値を280Bq/kg8,000÷28286280)としました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以上,引用終わり)

 

 放射性物質が煙となって拡散する分については全くの考慮外であると確認されること,指標値の裏付けとなった実証実験の詳細が公表されていない=わずかばかりのデータで「決めつけ」を行っている可能性があること,食品などの安全規制には常に用いられている「安全バッファ」が全くない状態で数値が導出されていること,そして何よりも,8,000ベクレル/kgもの放射能汚染ゴミを「捨てていいもの」としていること,などが根本的に間違っている。

 

 一般に,放射性物質に係る安全(規制)指標の算定の場合は,しきい値がないことが口実にされ,常に「安全バッファ」をすっ飛ばし(無視し),更に,我田引水的な奇妙な「仮定」をいくつも置いて,放射能汚染や被曝を軽い方へ軽い方へと解釈し,誘導する手法で評価され,物事が決められていることが大問題である。この薪や木炭の指標値についても「しかり」のようだ。

 

1-4.指標値の対象となる都道府県の範囲

 同じく(4)のQ&Aによると,対象都道府県は下記の17都県である。

 17都県とは,青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県及び静岡県,のこと

 

1-5.指標値を超えた薪及び木炭や,指標値以下の薪及び木炭を燃焼した際に生じる灰の処理

 それらは,①廃棄物として適切に処分(いわゆる8,000ベクレル/kg基準),②安全が確保される範囲内で調湿用等の他の用途に転用,③肥料・土壌改良資材・培土及び飼料などとして使用(但し,農林水産省の定める暫定許容値(400Bq/kg)(飼料は100Bq/kg他)を下回っている場合のみ),などとされている。

 

信じがたい話である。放射能の拡散を防ぐため,できるだけ密閉した場所に汚染物を厳重保管して環境を汚さないようにする,という発想はゼロで,8,000ベクレル/kg以下なら適当に捨ててしまえ,そもそも農林水産省の所管ではない(環境省所管)という姿勢がありありと透けて見えている。これは,他の放射能汚染ゴミ,汚染がれき,汚染汚泥などの処理とともに,農林水産汚染ゴミが日本を「放射能汚染列島」に変えて行く有力な汚染物質になることを意味している。

 

1-6.「Q7:指標値を超えた薪及び木炭と指標値を超えていない薪及び木炭とを結束や梱包して組み合わせて流通させてもいいですか?」

 同じく(4)のQ&Aによると,この「問い」に対する回答は下記となっている。

「A7:結束や梱包して組み合わせた薪及び木炭の放射性セシウムの濃度が指標値以下となる場合は、自都道府県内に限り流通させてもかまいません。この場合、指標値を超えているロットと超えていないロットのそれぞれの放射性セシウムの濃度や重量を管理し、例に示すように、組み合わせた薪及び木炭の放射性セシウムの濃度が必ず指標値以下となるようにしてください。

 また、組み合わせた薪及び木炭から分析用試料2検体を調整し、放射性セシウムの測定を行い、指標値を超えていないことを確認してください。」

 

 これも信じがたい話で,まさに薪及び木炭における「放射能汚染ロンダリング」そのものだ。汚染されたものとされていないものとを混ぜ合わせて,濃度規制をくぐりぬけるようなことは許されるわけがない。発生地の都道府県内に限り流通させてもよい,などというのは,ご都合主義以外の何物でもないではないか。

 

1-7.(2)(2012 119日)「林野庁-調理加熱用の薪及び木炭の安全確保について」の通知について

 上記の通知類の日付をご覧いただけばわかるように,昨年201111月に,薪や木炭の放射能汚染に係る「指標値」と,その関連通知が出されたのも関わらず,その後も事態の改善があまり見られないまま,翌年1月早々には「こうした中、一部地域の薪を燃焼させた際の灰から高濃度の放射性セシウムが検出される事例が発生しているところです。」ということになり,慌てて出したのがこの通知である。

 

 高濃度の汚染灰の発覚をマスコミが報道したために,農林水産省(林野庁)としては,改めて薪や木炭の放射能汚染対策の実効性を高めることを余儀なくされた次第である。上記で申し上げた問題点の②,すなわち「・・・・通知の後,政府(農林水産省・林野庁)は「あなた達(業界)で勝手にやってくれ」という姿勢なので,どこまでこの「指標値」が守られるのかは定かでない。通知が現場に周知徹底されているかどうかや,通知内容が現場で守られているかどうかのモニタリング体制さえ取られていないので,単に通知をしただけ,に終わっている。つまり,この「指標値」に実効性がない。・・・・」が,そのまま表面化してしまった。

 

 もちろん,その後も,この通知を出して「それっきり」で,事態が更に改善に向かっているとはとても感じられない。薪や木炭などの国産木質燃料は,依然として放射能に汚染されたままの状態で流通しており危険である。

 

 ところで,この通知には「福島県内の一般家庭における薪ストーブの使用に関する放射性核種分析結果」という興味深いレポートが添付されている。環境省が外部の調査機関に委託して分析させたものらしい(詳細不明:こういう点も情報公開の面から問題あり)。それを見ると,薪やその焼却灰の放射能汚染値のみならず,排煙の汚染値も掲載されている。これは見ておかれた方がいい。

 

(該当箇所を抜き書き)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下,引用)

排煙

11月にストーブで薪を燃やし、煙突からの排ダストサンプラーによりろ紙に捕集し,核種分析を実施した。

16サンプルの測定結果を表3に示す。

・ろ紙の下流側の活性炭カートリッジ、4サンプルの測定結果を表4に示す。

・排煙による被曝の影響は表5に示すとおりであり、煙が煙突から出た途端に希釈・拡散されるため、ほとんど無視できる。

 

表3 .ろ紙の核種分析結果

ろ紙サンプルNO.3  放射性セシウム134が「2.146E-05」(ベクレル/cm3

            放射性セシウム137が「3.055E-05」(ベクレル/cm3

 

表4 .活性炭カートリッジの核種分析結果

ろ紙サンプルNO。1  放射性セシウム134が「1.201E-06」(ベクレル/cm3

            放射性セシウム137が「1.690E-06」(ベクレル/cm3

 

上記で「E-05」とは,10のマイナス5乗=×0.00001ということ,つまり「2.146E-05」は,0.00002146ということを意味している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以上,引用終わり)

 

 ずいぶんと小さい値だから,やれやれ,と思われるかもしれない。がしかし,単位が「ベクレル/cm3」であることに留意されたい。この「cm3」は,排煙の体積のことだが(つまり排煙1cm3に含まれる放射性セシウムの量),通常,呼吸被曝などを考慮する際には「cm3」ではなく「m3」とすべきである。そうすると,立方センチを立方メートルに換算するため,100cm×100cm×100cm=1,000,000=100万倍(10の6乗)しなければならないので,上記の値は,それぞれ上から

 

21.46ベクレル(セ134),30.55ベクレル(セ137),合計で52ベクレル

 1.20ベクレル(セ134), 1.69ベクレル(セ137) 合計で 3ベクレル

 

ということになる。

 排ダストサンプラーのろ紙や,ろ紙の下流側の活性炭カートリッジで,すべての排煙の放射能が吸い取れるわけではないが,その大半は捕獲できたとして,上記で見れば,およそ単位体積当たりで 55ベクレル/m3 程度の放射能汚染排煙が発生していることになる。

 

 この数値で見て,放射能汚染の薪を燃やした際の排煙にはほとんど放射性物質が含まれていないので,気にする必要などまったくない,などとは「全く言えない」ことがわかる。本来であれば「m3」単位で計算して表示すべきものを,まるで素人騙し・国民騙しをするかのごとく,数値が小さく見える「cm3」単位で表示するなど,姑息極まりない態度である。許し難いものを感じる。

 

 そして,例によって例のごとく,この半ばチョロマカシの数値を,今度は疑問だらけの「シーベルト」という放射線被曝量単位に換算して,年間0.0105mSvなので,全然心配しないでよろしい,などと説明している。「シーベルト」という評価単位は,別送の私のレポート「(増補版)シーベルトへの疑問」に書いたように,「数値が小さく出るように仕組まれている」と考えた方がいい。

 

 「シーベルトの値が小さいからといって,信用して安心することは極めて危険です。シーベルトは原子力村のインチキの可能性があります」,これは私の毎週金曜日の抗議行動の際の「辻立ち演説」のセリフの一部である。

 

 上記に書かれているような「排煙による被曝の影響は表5に示すとおりであり、煙が煙突から出た途端に希釈・拡散されるため、ほとんど無視できる。」などということは,全くありえない,ということを申し上げておきたい。「希釈・拡散される」ということは,危険な放射能が辺り一帯にばら撒かれるということを意味し,危険極まりないことなのだ。

 

(ちなみに,この分析結果等の添付文書は環境省が作成し,環境省が所管しているもの:こんなところの外局に,原子力に「寄生」する「原子力「寄生」委員会・「寄生」庁」があるのだから,役に立ちそうにないのは,およそ想像がつく。それから,繰り返しになるが,上記はあくまで放射性セシウムのみの話であり,他の放射性物質=特に呼吸被曝の際に危険と思われるプルトニウム他の放射性核種は不問とされたまま,「安全」だけがむなしく強調されていることも付記しておきたい)

 

1-8.(薪・木炭について)最後に

 薪や木炭,あるいは木質ペレットを産出する森林は,もっと丁寧に,かつ継続的に放射能による汚染状況が調査されなくてはならない。いわゆるきめ細かで正確な「森林の汚染マップ:湖沼・河川を含む」が必要なのだ。福島第1原発事故後1年8カ月の間に,文部科学省が航空機からの測定と推定に基づいて,大雑把な汚染マップを作成しているが,全く不十分だと思われる(また,原子力推進の総本山である文部科学省が,環境の放射能汚染を測定すること自体が明確な「利益相反行為」であり,汚染状況のゴマカシ・隠蔽をはじめ,様々な弊害をもたらす可能性が高いと言える。止めさせるべきでしょう)。

 

 そして,その汚染マップをもとに,少なくとも放射線管理区域指定基準である5.2mSvを超える汚染森林・山林は,立入禁止の「閉山」とし,林業・林産事業(木材伐採搬出)や,キノコ・山菜採取などの特用林産業などを含め,そこでの全ての産業活動を中止し,それによって損害を受ける方々にきちんとした賠償・補償・再建支援を行うべきである(森林・山林の所有者を含む)。福島県を中心に,東日本の森林・山林は,かなりの程度まで放射能に汚染されており,そうした森林・山林で無原則に林業活動を行ったり,林産物を軽率・安易に利用したりすることは,無用の放射線被曝や環境汚染の拡大をもたらす愚かな行為であることを,しかと認識すべきである。

 そして,そうすることが,林業や林産業に携わる地域の人々の恒常的な放射線被曝を防ぐ最も適切な方法でもある。 


2.薪・木炭・木質ペレットは危険なので,お使いにならないようご注意ください(その2:木質ペレット)

 上記「1.」に続いて,ここでは,国産木質燃料の放射能汚染対策に関する農林水産省・林野庁の軽率で無責任で危険な方針・姿勢を,「木質ペレット及びそのストーブ焼却灰」に関する今般の通知で具体的に見てみることにする。

 

<関連通知:林野庁HPから>

(1)(201211 2日)「林野庁-木質ペレット及びストーブ燃焼灰の放射性セシウム濃度の調査結果及び木質ペレットの当面の指標値の設定について」

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/riyou/121102.html

 

(別添資料2)木質ペレットの当面の指標値の設定、検査方法等についてのQ&A

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/riyou/pdf/121102-04.pdf

 

 上記「1.」でも申し上げたが,今般発表された上記(1)の木質ペレットに関する通知は,それより少し前に通知された(2)~(5)の通知類よりも,一段とその内容がひどくなっており(放射能汚染をほとんど気にしない軽率極まりない被曝判断等),農林水産省・林野庁の現下における放射能汚染管理の方針や姿勢を象徴的に表しているものと思われる。

 

 さて,上記(1)の木質ペレットに関する通知には,概ね下記のことが,その内容として含まれている。

 

(以下,林野庁HPより)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下,引用)

1.主旨

 林野庁は、昨年12月以降、木質ペレット及びストーブ燃焼灰の放射性セシウム濃度の調査を実施しました。全国各地で採取した木質ペレット41検体の放射性セシウム濃度は、検出下限濃度(2Bq/kg)未満~78Bq/kgとなりました。ストーブ燃焼灰(31検体)の放射性セシウム濃度は、2009,800Bq/kgとなりました。

 調査の結果に基づき、木質ペレットのストーブ燃焼灰が一般廃棄物として処理可能な放射性物質濃度8,000Bq/kgを超えないようにするため、木質ペレットの当面の指標値を設定し、検査方法とともに関係者に通知しました。

 

2.検体(調査対象となった木質ペレット41検体の概要)

(ア)全国各地で製造された木質ペレット41検体

・ホワイトペレット(樹皮を除いた木材が原料):21検体

・全木ペレット(樹皮を含んだ木材が原料):16検体

・バークペレット(樹皮が原料):4検体

 

(イ)上記のうち、岩手県、宮城県、福島県、山形県、群馬県、栃木県、埼玉県、千葉県で製造された木質ペレット計31検体(ホワイトペレット16検体、全木ペレット11検体、バークペレット4検体)をペレットストーブで燃焼して発生した灰

 

3.「木質ペレット」に係る指標値の設定および通知

 本調査の結果を用いて、ストーブ燃焼灰が一般廃棄物として処理可能な放射性物質濃度8,000Bq/kgを超えないようにするため、木質ペレットの当面の指標値を以下のとおり定め、関係者に通知しました(別添1)。

 

・ホワイトペレット、全木ペレット:40Bq/kg

・バークペレット:300Bq/kg

 

 木質ペレットの放射性セシウム濃度が当面の指標値を超えた場合、製造業者等はストーブ燃焼灰の放射性セシウム濃度も併せて測定。燃焼灰が8,000Bq/kg以下と確認される場合を除き、販売、流通等の停止を関係者に要請。

 これに関連し、木質ペレットに含有する放射性セシウムの当面の指標値への適合性を判断するための検査が的確かつ適正に進められるよう、別添のとおり「木質ペレット及びストーブ燃焼灰の放射性セシウム測定のための検査方法」を定めました(別添1)。

 

4.添付資料

(1)(別添1)木質ペレットの当面の指標値の設定及び「木質ペレット及びストーブ燃焼灰の放射性セシウム測定のための検査方法」の制定について

(2)(別添2)木質ペレットの当面の指標値の設定、検査方法等についてのQ&A

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以上,引用終わり)

 

(以下,筆者のコメント)

2-1.今回通知の問題点

(1)指標値を出すのが遅すぎることに加え,検査した木質ペレットの検体の数が少なすぎる

 指標値を出すのが遅すぎる。薪や木炭に関する指標値が出たのが昨年の11月で,それから1年も経過している。いったい農林水産省(林野庁)は何をしていたのだろうか。また,今回の通知出状にあたり,全部で41検体しか検査されていない。肝心の森林汚染地帯である上記7県で製造されたものは,わずかに31検体に留まっている。対象検体数が少なすぎて「木質ペレット」の汚染状況を代表しているとは言い難い。

 

(2)バーク(木の皮)ペレットの検体があまりに少ない

 バークは素材丸太を製材した際に必ず出てくる廃棄物で「木の皮」のこと。これが今回の福島第1原発事故の影響で放射能に汚染し,処分できなくなって製材工場等に山積みになっている。従来は,家畜の敷料や肥料用などとして使われていたが,これができなくなてしまった。

 

 森林を汚染した放射性物質,特に放射性セシウムなどは,樹木の表皮に固着している場合が多く,バークを原料とする製品は放射能に汚染されている度合が,他の木材製品等に比べて大きいことが予想される。つまり,バークを用いた「木質ペレット」を含む木材製品については要警戒であるということだが,上記のとおり,検査されたバークペレットはわずかに4検体,全木ペレット(バークを含む)でも16検体にすぎなかった。まるで汚染物のバークをわざと外しているかに見える。

 

(3)福島県以外の汚染地域の森林や産出木材はどうなっているのか

そもそも,福島県を含む上記7県(岩手県、宮城県、福島県、山形県、群馬県、栃木県、埼玉県、千葉県)の森林は,かなりの程度にまで汚染されており,中には極めて高い高濃度を示す森林もある。にもかかわらず,福島県浜通りの「警戒区域」を除くと,他の地域では,禁止らしい禁止もなく,入山制限や林産業制限もないままに,これまでと同じように「木質ペレット」や木質燃料が生産されていることに強い抵抗を感じる。

 

 これでは,生産される林産物の放射能汚染で消費者・国民が危険にさらされるだけでなく,この地域の汚染森林で作業をする林業労働者や生産者・農家が恒常的な放射線被曝に曝され,今後,健康被害が出てくる可能性が高く,取り返しのつかない事態になりかねない。

 

(4)情報公開不十分:「1検体(9,800Bq/kg)」はどこで生産されたものなのか?

「全国各地で採取した木質ペレット41検体の放射性セシウム濃度は、検出下限濃度(2Bq/kg)未満~78Bq/kgとなりました。上記のペレットのうち31検体をペレットストーブで燃焼させた際に発生した燃焼灰の放射性セシウム濃度は、2009,800Bq/kgとなりました。8,000Bq/kgを超える燃焼灰は1検体(9,800Bq/kg)でした」とあるが,

 このうち「1検体(9,800Bq/kg)でした」は,どこで生産されたものなのだろうか。今回も情報公開が不十分である。検査結果については,固有名詞を明らかにする必要はないが,消費者・国民が知っておくべき事項が,統計的記載で,可能な限り詳細・具体的に公開されるべきである。

 

(5)下記の諸点については,「1.」の「薪・木炭」に関すること同様である。

① この指標値はあくまで「指標値」であって,違反した場合の罰則もなければ,法的な強制規制でもない,単なる「目安」にすぎない。

 

② 都道府県と関係団体に通知はなされるが,通知の後,国(農林水産省・林野庁)は「あなた達(業界)で勝手にやってくれ」という姿勢。この「指標値」に実効性がない。(いつもの「やってまっせ」のアリバイ行政)

 

③ 放射性物質が煙となって拡散する分については全く考慮外である他,指標値の裏付けとなった実証実験の詳細が公表されていない,「安全バッファ」が全くない状態で,数値が導出されている。

 

④ 指標値は放射性セシウムについてだけであり,それ以外の放射性核種が無視されている。

 

(6)バークペレットの指標値が甘いのではないか

 以下の指標値のうち,バークペレットの指標値が甘いのではないか。バークはあちこちの製材工場で処分不可能のまま山積されており,これを使ったペレットに対して甘い指標値を設けることは,バークをペレット生産へと誘導することになりかねない。もともとバークは福島第1原発事故による放射性物質を吸着している可能性が高いことから,厳しい値(数ベクレル)以下のものを使用禁止として,厳重管理・密閉の措置をとるべきである。

 

<指標値>

・ホワイトペレット、全木ペレット: 40Bq/kg

・バークペレット        300Bq/kg

 

(7)指標値を超えた木質ペレット,及びその焼却灰の処理

 これも上記「1.」と同様に問題がある。すなわち,それらは,①廃棄物として適切に処分(いわゆる8,000ベクレル/kg基準),②安全が確保される範囲内で他の用途に転用(園芸用マルチング材、畜産用敷料等),③異なる検査ロットを混ぜて販売することをせずに、原料の種類や産地、配合比率等を変えるなどして、異なるロットとして再度検査を実施してください,などとされている。信じがたい話である。

 

放射能の拡散を防ぐため,できるだけ密閉した場所に汚染物を厳重保管して環境を汚さないようにする,という発想はゼロで,8,000ベクレル/kg以下なら適当に捨ててしまえ,そもそも農林水産省の所管ではない(環境省所管)という姿勢がありありと透けて見えている。

 

 加えて問題なのは上記③で,この記述はいったい何なのだろうか。検査して指標値を超えたら,それはもう販売できない汚染物として扱いなさい,というのではなく,「原料の種類や産地、配合比率等を変えるなどして、異なるロットとして再度検査を実施してください」などと「助言」している。グチャグチャいじくって,何とか検査をクリアさせて,販売してしまいなさい,と役所が指導しているわけである。こんなことは監督官庁の言うべきことなのか。「汚染木質ペレット・ロンダリング」とは,まさにこのことではないのか。

 

1-2.(別添資料2)「木質ペレットの当面の指標値の設定、検査方法等についてのQ&A」における「極めつけ」の2つの記述

 この通知の(別添2)にあるQ&Aには次のようなことが書かれていた。特に「3.その他」の「Q20-A20」の記述は,いったい何なのだろうか。これらの記述は,木質ペレットの放射能汚染を過小評価し,危険で軽率な対応へとユーザーを誘導するものであり,撤回されるべきではないかと思われる。それはまるで,農林水産省(林野庁)に,もう一人の枝野幸男(民主党)が存在しているかのごとくである。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下,引用)

Q19:仮に、8,000 Bq/kg に近い濃度の灰が発生した場合、健康への影響はあるのですか。

A19:家庭用ストーブで発生する燃焼灰の量は少ないため、仮に家庭でのペレットストーブの通常の利用で、8,000 Bq/kg 前後の燃焼灰が発生したとしても、その放射線影響は限られ、直ちに健康に影響が出ることはありません

 参考として申し上げると、家庭用ペレットストーブで仮に8,000 Bq/kg の燃焼灰が発生し続け、年間6ヶ月間にわたり掃除したり、その灰を室内に保管したりした場合の被ばく線量を計算したところ、約3μSvとなりました。この値は、一般公衆に対する通常時の被ばく限度1 mSv/年の1/300程度であり、生活において特段の配慮を必要とするものではありません。

 

Q20:仮に、8,000 Bq/kgの灰をあやまって吸い込んだり、食べたりした場合、大丈夫ですか。

A20:ペレットストーブを使用して発生した燃焼灰を仮に誤って体内に摂取した場合を想定しても放射線による影響は比較的低く、直ちに健康に影響がでることはありません。

 食品摂取による追加被ばくの規制値1 mSv/年を目安にすると、幼児が間違って8,000

Bq/kg の灰を約1.3 kg 吸い込んだり、約10 kg 食べたりした場合の被ばく線量が1mSv

となります(幼児1 2 歳、全量がCs-137 と仮定して計算)。したがって、仮に、ごく少量の灰を吸い込んだり、間違って食べたりした場合でも、放射線による健康影響を心配する必要はありません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下,引用終わり)

 

放射線被曝を過小評価してはいけない。木質燃料を燃やすことからくる呼吸被曝を含め,恒常的な低線量内部被曝の危険性は,何度申し上げても言い尽くせないものがあります。放射線被曝の評価単位である「シーベルト」は,内部被曝の実態を現わさない原子力ムラがでっちあげたインチキの可能性が高いと言えます。そして,私たちは,原子力ムラに牛耳られる政府・農林水産省・林野庁にだまされてはならないのです。

以 上

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