放射能汚染に対する食品安全行政の現状 : お粗末極まりない食品検査の実態と,豪華絢爛たる「安全キャンペーン」文句の,このコントラストを見よ
前略,田中一郎です。
まず,本日付(7/25)『日刊アグリ・リサーチ』の巻頭言から一部引用してみよう。
「震災後、卸売市場では福島県産というだけで他産品に比べて低価格での取引が常態化していた。内閣府がとりまとめている「地域経済に関する報告書(二〇一二年)」の中でも福島県産のももの相対価格は、二〇一一・二〇一二年とも総じて震災前より下回っていることが示されている。福島県は農林水産物のモニタリングや産地における検査体制の強化、検査結果の公表など情報を「見える化」させる活動に力を入れてきた。原発事故当時と二年後の現在では、放射性物質の検査体制と流通対策の整備という安全面のレベルが全く異なる。一方で、きちんと検査され安全性が確認された上で出荷されている農産物にもかかわらず、「消費者の中で最も多いのが1Bq/kgでも放射性物質が含まれる可能性があるものは全てイヤという『ゼロリスク型』層である」との指摘を福島大学・小山良太准教授の講演の中で聞いた。消費者の不安を完全に払拭するためには長い時間をかけて、農産物の「安心・安全」を粘り強く訴えていく以外には方法がないのかもしれない」
さて,もっともらしく書かれているこのコメント,その中では「1Bq/kgでも放射性物質が含まれる可能性があるものは全てイヤという『ゼロリスク型』層」などと,消費者を完璧に馬鹿にしたような言葉が,なんと福島大学の准教授の発言からの引用として使われている。大学の立派な学者先生から見れば,巷の放射能汚染リスクを懸念する消費者は,さぞかし愚か者のように見えるということなのだろう。それでは,福島県産など,福島第1原発事故による放射能汚染地域の農産品を回避している消費者は,ほんとうに愚かな馬鹿ものなのか,以下,少しだけ検証してみよう。(今回は水産物については省略して,もっぱら農林産物についてチェック・検証する:以下で検出されている放射能はすべて放射性セシウムで,他の放射能は無視されていること,水産物は農林産品に比べて輪をかけてひどいこと,を付記しておく)
1.厚生労働省HPに毎日掲載されている飲食品の放射能検査結果
厚生労働省は「食品の放射性物質検査について」と題して,ほぼ毎日,東日本を中心に各都道府県の食品検査の結果をとりまとめて一覧表のPDFファイルにまとめて公表をしている(下記URL)。この一覧表は消費者としては「必見」の表で,今現在,公的機関として,どの程度の放射能検査をしているかが概ねわかる。結論を先に申し上げて申し訳ないが,こんな程度のもので,汚染地域産の飲食品が安全だなどとは口が裂けても言えそうにない,のであるが,それは下記にこれから具体的に申し上げよう。
*厚生労働省 報道発表資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/
(この中に毎日のように掲載されている)
*(7/24)食品中の放射性物質の検査結果について(第690報)|報道発表資料|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000037dam.html
上記は「1 自治体から入手した放射性物質の検査結果」(福島県以外で検査したものが主,但し東京都など消費地が検査したものは福島県産を含む)と「2 緊急時モニタリング又は福島県の検査結果」に分けてPDFファイルが添付されているので,それぞれに目を通す必要がある。
<7/24検査結果の特記事項>
(1)この日は,水産物に100ベクレル/kg以上の規制値を超えるものが散見されたが,農林産物には規制値超はなし
(2)しかし,それで安心はできない。一覧表からいわゆる検出限界値を超えたもので目につくものを書き出すと
1.自治体から入手した放射性物質の検査結果
千葉県市川市 江戸川のウナギ(3匹) 皮つき筋肉部 39~42ベクレル/kg
東京都 牛乳(流通品:産地不明) 2.9ベクレル/kg
山梨県北杜市 キノコ(タマゴタケ,ヤマイグチ)15~19ベクレル/kg
2.緊急時モニタリング又は福島県の検査結果
福島県金山町 干しゼンマイ 19ベクレル/kg
福島市 ブルーベリージャム(流通品) 12ベクレル/kg
福島県本宮市 梅干し 49ベクレル/kg
福島県桑折町 しそ塩漬け 3.4ベクレル/kg
<厚生労働省HP:検査結果へのコメント>
(1)ウナギは江戸川だけでなく,茨城県や千葉県など,他の県でも放射性セシウムが検出されていて危険である。ウナギは汽水域に住む魚で,その汽水域が川を流れ下って来る放射性物質で猛烈に汚染され始めているのだから,ウナギが汚染されていて当然である。放射性セシウムだけでなく,放射性ストロンチウムなど,他の放射性核種の汚染も懸念されるが,検査されたためしはない。加えて,ウナギは産地偽装が横行するロクでもない流通を経由して消費者に届く水産物である。加工品(かば焼きなど)も同様だ。ウナギは絶滅危惧種にも挙げられている魚で,放射能汚染,産地偽装,絶滅危惧種の3つを考慮すれば,買わない・食べないを徹底した方がいいだろう。
(2)東京都が流通品をピックアップして検査した牛乳から2.9ベクレル/kgの放射性セシウムが検出されている。が,しかし,何故,産地が書かれていないのか。明らかに隠蔽である。流通品だから,産地もメーカーの名前もパックに書いてあるはずである。牛乳は,いわゆる汚染牛乳のロンダリングが業界を挙げて行われている。すなわち,牧場ごとに原乳を検査して,汚染していないものだけを集荷すればいいものを,汚染している・していないにかかわらず,全部ミルク・センターに集めておいて,そのミルクタンクごと(あるいはセンターごと)に検査して,規制値以下ならOKなどということを今でも続けている。汚染物を非汚染物で混ぜて規制値をくぐりぬけろ,というのが,木材製品なども含めて農林水産省の基本方針だからだ。いいんですか,こんなものを学校給食に使って子供に飲ませていて,ほんとうに大丈夫なんですか?
(3)山梨県の北杜市の天然キノコと思われるものから無視できない放射性セシウムが検出されている。私は天然キノコや山菜が,最も信頼のおける環境放射線モニターであると考えている(逆に,自治体や国などの行政が用意したモニター機器類や検査結果は最も信頼が置けないものである)。つまり,山梨県も少なくとも北杜市以東はすべて放射能汚染地帯であることを意味している。キノコが危ないのなら,木材や,その他の野生産品も危ない。
(4)福島市のブルーベリージャムもまた,上記の牛乳と同様,その原料ブルーベリーの産地が不明である。これも隠蔽だ。実はブルーベリーを含む「ベリー類」(○○ベリーと言われる食品)は,キノコと同様,放射性セシウムをため込みやすいようで,今でも欧州あたりから輸入されるベリー類のジャム等加工品からは,チェルノブイリ原発事故由来と思われる放射性セシウムが検出されている。福島県でもブルーベリーは生産されているようで,ならば,こうした検査結果が出たのであれば,大事を取って福島県のブルーベリー産地を徹底して調査・検査すればいいのに,そんなことはする気配もない。ブルーベリーを含むベリー類には,国産だろうが,海外産輸入品だろうが,近づかないに限る。
(5)福島県本宮市の梅干しの放射性セシウムはかなり高い。少しショックである。福島県産の梅や梅加工品などは避けた方がよい。何故,梅の残留放射性セシウムが高くなるのかはよくわからない。解説を見たことがない。また「干しもの」であることも放射性セシウムが残留する理由の一つの可能性もある。少し前,全く汚染していなかった大根を干して「干し大根」にしたら,大気中にただよう放射性セシウムで大根が数千ベクレルに汚染してしまったということが話題になった。はたしてこの梅干しはどうだったのか。福島県は,少しくらいこうしたことについて,説明したらどうか。
(6)福島県桑折町の「しそ塩漬け」の汚染値は小さいが,しかし,何故汚染値が出たのだろうか。シソが原因なのか。シソはよく調べてみたのか。値が小さかったからヤレヤレではダメだ。
(7)『日刊アグリ・リサーチ』の著者が高らかに謳い上げていた「福島県産のモモ」の検査結果は1粒たりとも見つからなかった。モモは福島県から,まだまったく出荷されていないのだろうか?
2.福島県のHPに毎日掲載されている飲食品の放射能検査結果
次に,福島県庁のHPに掲載されている検査結果のURLをご紹介する。
*ふくしま新発売
(画面の右横に「品目から検索」と「地図から検索」とに分けて,検査結果へのアクセスができるようになっている)
*福島県の品目別放射能残留検査結果検索サイト
http://www.new-fukushima.jp/monitoring/
(ここで「果実」を選択し,その中の「モモ」を選んで,採取日は初期状態の2013年5月~7月のままにして,「この条件で検索する」ボタンを押すと,全部で28件,施設モモ2件を加えて,トータルで30件の検査結果が表示されている)
<福島県HP:検査結果へのコメント>
(1)伊達市産と桑折町産にモモに4ベクレル/kg弱の放射性セシウムが検出された以外は検出限界値以下だった。よかった。
(2)しかし,福島県は山梨県に次いで,日本で二番目のモモの産地である。たった30個のモモを調べて,それで安全云々が言えるのだろうか。原子力ムラの大先生諸君は,よく「かような放射線被曝の疫学的調査結果では,検査件数が少ないため,統計学的に有意ではない」などとのたまうが,このモモの「疫学的」検査ではどうなのか。チェルノブイリ原発事故後のベラルーシやウクライナでは,数万件,数十万件の検査が実施されたが,それでも統計学的に云々などとほざいて,放射線被曝の危険性を微塵も認めようとはしない。一方,福島県のモモの検査件数は,たったの30件である。
ムムムムムム・・・・,ならぬ,モモモモモモ・・・・ではないか。
3.「安全キャンペーン」は全くのハッタリ・嘘八百の塊である。
「食べて応援」などしなくていい,汚染物は「買ってはいけない」。今やるべきことは,検査体制の抜本的拡充と,生産現場を含む飲食の汚染状況の徹底検査である。お粗末極まりない食品の放射能検査の現状と,豪華絢爛たる「安全キャンペーン」大言壮語の,このコントラストをよく見ていただきたい。世にマスごみや腐敗官僚あるいは御用学者達が垂れ流す「安全安心キャンペーン」と,消費者愚弄の「風評被害」虚偽言論,それに現実を見ない・調べないままのマスごみのキャンペーンを受け売りする「アホダラ説教」をはねのけ,徹底的に批判しよう。我々は,知らず知らずのうちに,放射能汚染ゴミとしてドラム缶に入れられて永久保存されるべきものを,「安全な飲食品」とだまされて食わされている。冗談ではないのだ。
(1)飲食の残留放射能検査体制がいつまでたっても全然だめ。検査機器類も要員も全然足りないままに放置して,自治体へ責任も含めて丸投げで,国は全くやる気がない。その自治体も,食品を食べる消費者の身の安全や健康のことなど二の次で,農林水産業や食品産業のことだけを念頭に,売れればいい,その後は野となれ山となれの姿勢で一貫している。食品の検査はおろか,産地偽装を防ぐような姿勢も全くと言っていいほどない。
(2)言い尽くされているが,放射性セシウム以外の放射性核種が無視されている。放射性ストロンチウムなどのベータ核種や,ウラン・プルトニウムなどのアルファ核種は全く検査されない。危険極まりなし。
(3)厚生労働省の定める飲食の残留放射能規制値の数字が大きすぎる。これは恒常的な低線量内部被曝の危険性の軽視の結果である。有害化学物質や重金属などの場合に見られる「安全バッファ」(1/100)も,「閾値がない」ことを口実にして設けられていない。一般食品の100ベクレル/kgの数字が大きすぎる。これは放射能汚染ゴミとして管理するかしないかの基準であって,飲食物にしていいかどうかの基準とはなりえない。
(4)上記の厚生労働省の日々の検査結果をご覧になればお分かりのように,検査のし方自体も大問題である。
a.検査件数が少なすぎる(検査体制が貧弱極まりないことの結果)。これではとても安全と言えたものではない。
b.にもかかわらず,特定品目に検査が偏り過ぎている(牛肉と特定の水産物,及び早く出荷制限を外したい品目)。ということは,一般の農産品は,実はほとんど検査されずに出荷され,食品流通に乗せられているということだ。
c.検出限界値が大きい検査が多数みられる(牛肉だと放射性セシウム全体で25ベクレル/kgなど)。
d.生産地での検査が大半で,東京都を除けば,道府県で流通品をピックアップする抜き打ち検査をしているところはほとんどない。
e.加工品がほとんど検査されていない。製造業者に丸投げの状態で,定期的なチェックもしない。
f.上記の牛乳やブルーベリージャムでみたように,食品産業や供給側にとって都合の悪い情報は,すぐに隠蔽されて消費者には分からないようにされる。
g.上記f.への対策も含め,飲食の検査に関して,第三者的な業務監査や適正化チェックが入らず,供給サイドだけの談合で食品検査が行われている。これはいわゆる「利益相反」丸出しだということだ。
h.規制値を超えて出荷制限がかかった汚染飲食品の後始末が不透明(どうなっているの?),きちんと処分されているかどうかが怪しく,闇業者を通じて,再び食品流通に戻されている懸念は払しょくできていない。また,汚染物は一般ゴミのように捨ててはいけないことも現場では周知徹底されていない様子(ポイ捨ての可能性)。
i.飲食物の周辺が無検査状態(例:ヌカ類,食器,医薬品や化粧品,木材関連,花き,肥料・飼料,皮革等)
(5)「風評被害」とは消費者を馬鹿にした言葉で,飲食の放射能汚染に生産者や供給業者が苦しめられている原因を,加害者・東京電力や事故責任者・国に見るのではなく,それを棚上げにしておいて,放射線被曝を回避しようとする消費者に振り向ける,どうしようもないインチキ宣伝である。「風評被害」を声高に叫ぶ者たちこそ,逆の意味で「風評被害」をもたらしていることを認識すべきである。何故なら,食品の規制基準も検査も表示も流通も信頼が置けない状況下では,消費者が放射能汚染物を避けるためには,産地や品目にこだわるなど,自分なりに創意工夫をせざるを得ないわけで,それを「馬鹿な消費者の過剰反応だ」として「風評被害」が生産者にもたらされている,と大宣伝する方こそ,嘘八百の「風評」を垂れ流し,一般消費者が「被害」を被っているのである。我々は「風評被害」を言う似非「安全安心キャンペーン」に「逆襲」しよう。お前たちこそ「風評被害」の元凶だと。
(6)現状での恒常的な低線量内部被曝の危険性の軽視は目に余る。日本はチェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国の悲惨な健康障害が,もっぱら飲食と呼吸の内部被曝によってもたらされているということを,どうして真摯に学ぼうとしないのか。しかも放射線被曝は,被ばくした世代にとどまることなく,何代もの子孫世代にまで遺伝的障害をもたらす可能性があることを,どうして危機的に受け止めようとしないのか。騙す方はもちろん極悪人だが,騙される方も悪いと言う他ない。
(7)『日刊アグリ・リサーチ』の巻頭言に出てくる福島大学の小山准教授の発言のうち,詳細な放射能汚染マップを作れ(特に,住宅地と農地)という主張は評価できる点である。福島第1原発事故後,早2年半近くになるが,未だに汚染マップさえつくられていないこの有り様はいったい何なのだろうか。もはやここまで「しない」というのは,放射能汚染の実態を隠したいという思惑が全てを支配しているからだ言わざるを得ないだろう。そんなことで,原発事故からの復興ができると思ったら大間違いである。
そして,汚染マップが出来上がって来るのをのんびり待っているのではなく,せめてチェルノブイリ事故後の基準を参照しながら,放射線管理区域指定基準超の区域は全員避難,1mSv以上なら,子どもと妊婦は避難・一般人は避難の権利,1mSv以下は,放射線・放射能に感受性の高い人だけでも避難,という風に,無用の放射線被曝をまず回避する対策を先行実施させ,一時的にでもいいから汚染地域から人々を「解放」することが肝要である。それを実施するだけの経済力は,この日本にはまだ残っている。要は「やる気」の問題であり,人権の問題である。
(8)5.2mSv(放射線管理区域指定基準)を超える全ての放射能汚染地域で,農林水産業・食品産業を含む全ての産業を停止せよ。そして,それによって被害を受ける方々への万全の賠償・補償・再建支援に全力を挙げよ。できもしない除染で,被害者を煙に巻くのはもうやめよ。何故なら,産業や企業活動よりも人間の命と健康の方が大切であり,また,汚染地域での産業活動は,おのずと原料や生産品や人々の移動を通じて,放射能汚染を全国に拡散することを意味し,また他方で,大量の放射能汚染ゴミを生み出してしまうからである。愚かなことはもうやめよ。
(9)「消費者の不安を完全に払拭するためには長い時間をかけて、農産物の「安心・安全」を粘り強く訴えていく」(日刊アグリ・リサーチ)などということは全くの逆効果である。ろくすっぽ検査もせずに,安全だ,安心だ,風評被害だ,などと騒がれても,ただ,うるさいだけである。やるべきことはその真逆,つまり,徹底して検査体制を強化すること(早く検査機器類を増やせ,要員を増やせ),そして,放射性セシウム以外の放射性核種を含めて,徹底的に飲食品を調べること,そして汚染の原因を突き止めることである。やるべきことをやらないでおいて,わあーわあー,と無内容な翼賛的な旗振りをしていても,事態は何ら改善しない。
4.もう少し厚生労働省HPの検査結果を見てみよう
(1)(7/23)食品中の放射性物質の検査結果について(第689報)|報道発表資料|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000377ie.html
<特記事項>
1.自治体から入手した放射性物質の検査結果
検査されたものの大半は牛肉であり,残りのほとんどは水産物である。農林産物を見つけるのに苦労する。
2.緊急時モニタリング又は福島県の検査結果
福島県南相馬市 キャベツ 6.7ベクレル/kg
福島県南相馬市 ピーマン 9.6ベクレル/kg
(2)(7/22)食品中の放射性物質の検査結果について(第688報)|報道発表資料|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000373f9.html
<特記事項>
1.自治体から入手した放射性物質の検査結果
群馬県渋川市 タケノコ(マダケ) 最高で170ベクレル/kg(規制値超7件)
(キノコ・山菜と並んでタケノコも危ない。竹林を含む森林が汚染されている証拠である。しかし,タケノコが危ないのはほぼ常識になっているにもかかわらず,今春,子どもたちを駆り立てて,実地学習だなどと称してタケノコ狩りを行い,それを給食の食材に使った学校がある(東京都江戸川区)。もちろん放射能の汚染など,きちんと調べもしていない。更に,その学校を指導すべき教育委員会が,このタケノコ狩りの件について,知らぬ存ぜぬのような姿勢を示すところもある。日本の義務教育の責任者達は相当程度まで腐っている。一掃しようではないか)
2.緊急時モニタリング又は福島県の検査結果
福島県二本松市 牛肉 8.7ベクレル/kg
福島県玉川村 牛肉 12ベクレル/kg
(3)(7/19)食品中の放射性物質の検査結果について(第687報)|報道発表資料|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000036y7k.html
<特記事項>
この日も,やたら牛肉が多く,次いで特定の水産物が多く,一般の農産物の検査数は少ない。
1.自治体から入手した放射性物質の検査結果
岩手県一戸町 牛肉 18ベクレル/kg
岩手県滝沢村 牛肉 13ベクレル/kg
宮城県栗原市 タケノコ 最高で140ベクレル/kg(規制値超1件)
宮城県登米市 原木シイタケ 6.9ベクレル/kg
栃木県矢板市・高根沢町 菌床キノコ類 最高で15ベクレル/kg
栃木県岩舟町 乾アワビタケ(菌床)加工品 52ベクレル/kg
栃木県那珂川町 ワサビ(葉) 3.8ベクレル/kg
栃木県矢板市 ミョウガ 50ベクレル/kg
千葉県香取市 ウナギ(皮つき筋肉部) 21ベクレル/kg
2.緊急時モニタリング又は福島県の検査結果
福島県新地町 菌床なめこ(施設) 4.7ベクレル/kg
福島市 大豆 最高で280ベクレル/kg(100ベクレル/kg以上は8件)
福島県南相馬市 エダマメ 4.6ベクレル/kg
福島県金山町 バレイショ 3.9ベクレル/kg
福島県新地町 ブルーベリー 19ベクレル/kg
(コメント)
野生のキノコ類ではなく,菌床のキノコ類に放射性セシウムが検出されるのは何故なのだろうか。空気が汚染されているからか,それとも菌床の栽培土や肥料などが汚染されているからか。私は後者=つまり菌床栽培用の栽培土が汚染されているのではないかと推察している。何故なら,農林水産省は放射能で汚染されている栽培土を流通させてもよろしい,などと,気の狂ったようなことを言っているからだ。日本国内は汚染されたキノコ用の栽培土が流通しており,日本全国どこでも菌床キノコは危ない(この福島や栃木の菌床キノコの放射性セシウム汚染の原因を調べればいいのに,調べようとはしない)。
福島市産大豆の放射性セシウム汚染の深刻さはショックである。土壌が放射能で汚染されているということだ。こんなところで農業をしてはいけない。一般論で恐縮だが,大豆や麦,あるいはイモ類(上記では福島県金山町のバレイショ,南相馬市のエダマメに若干の放射性セシウムを検出)は,米などよりも放射性セシウムをため込みやすいと思われるが,このことについても農林水産省は口を閉ざしたまま沈黙を守っている。福島県では,米だけを全袋検査しているが,本当は,麦・大豆・いもの全袋検査も必要なのだ。麦はビールに化けているかもしれず,福島県本宮市にはアサヒビールの工場があり,仙台市にはキリンビールの工場がある。原料麦の安全性をしっかり担保してほしい。それにしても,これで国産大豆が心配材料となった。加工品を含め,正しい食品表示が必要なのだが,これが怪しい。おい,厚生労働省・農林水産省・消費者庁,いったい何やってんだ!!!
その他としては,ブルーベリーは生鮮品にも放射性セシウムを検出(予想通り),栃木県産のミョウガの50ベクレル/kgも少しショックで,関東産のものは,みなこんな感じかもしれない。また,宮城県栗原市は,基準値超のタケノコから見て取れるように,いわゆる遠隔地のホット・スポットの一つである。栗原市の農林業も福島第1原発事故のおかげで大変な苦労を余儀なくされている。にもかかわらず,加害者・東京電力や事故責任者・国は,栗原市の生産者・農家に対してまともな対応をしていないのが現状である。許し難いことである。
(残りは皆さまで,日にちを遡って,順番に見て行って下さい)
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