「ニセモノ仮面王国」の諸侯たちの「仮面」をひきはがせ(「福島県民健康管理調査検討委員会」の2人の清水委員)
前略,田中一郎です。
下記VTRは,先般6月5日に開催されました第11回「福島県民健康管理調査検討委員会」後の記者会見の模様が録画されたものです。既にご承知の通り,この第11回委員会において,福島県での子ども甲状腺ガンの検査結果の中途状況が発表され,驚くべきことに,悪性の甲状腺ガン,またはその疑いが濃い子どもたちが27人もいることが明らかとなりました。一次検査を終了した子どもは約17万人と,数は増えてきましたが,肝心の甲状腺ガンかどうかを見定めて行く二次検査を終了した子どもは,6月5日発表時点では,まだまだ少なく,二次検査の対象となるB/C判定者のうちの,わずか1/3~1/4を調べただけです。しかし,わずかそれだけの数の検査で,これだけの悪性ガンが発見されているのです。心配にならないはずはありません。
福島第1原発事故前は,子ども甲状腺ガンは,100万人に対して多くて3~4名程度の発生率でした。しかし,今回の検査結果中間報告で見る限りは,その10倍以上もの発生率であることが見て取れ,とても「今までは検査機器の性能がよくなったから,あるいは大規模な子どもの甲状腺検査をしたことがなかったから,これまでわからなかったものが分かるようになった」程度の,まるで検査受検者を小馬鹿にしたような説明ですむ話ではありません。
しかし,下記のVTRをご覧いただければわかりますが,「福島県民健康管理調査検討委員会」及び福島県庁は,委員会メンバー入れ替え後においても(今回が入れ替え後初めてのミーティング及び記者会見),依然として,福島第1原発事故による放射線被曝(特に初期被曝)の影響の可能性を認めようとはせず,従ってまた,当委員会及び福島県庁は,様々な懸念される観点から,先手を打って,子ども達,ひいては県民の命と健康を守る対策を取ろうとはしていないようです。
(ご承知のことと思いますが,甲状腺の被曝は,放射性ヨウ素によるもののみならず放射性セシウムによるものも無視できません。そして,原発事故による環境汚染放射能からの被曝の場合には,大人よりも子どもの方がより感受性が高く,深刻な事態に陥りやすいことは,甲状腺被曝においても同様です)
私は記者会見の状況の一部始終をVTRで見て,猛烈に腹が立ちました。事故後2年たった今日においても,まだ,かような言辞を弄して,記者会見で(つまりは県民や国民から)逃げ回る「ニセモノ王国」の「仮面」をかぶった諸侯たちが「福島県民健康管理調査検討委員会」を占拠し,3.11以降,ろくでもない反県民行政を展開する福島県庁とともに,被害者住民とその子どもたちを切り捨てようとしていることを確認させられました。そして,これでは子どもたちが救われない,ダメだ,こんなことをしていちゃダメだ,早く救ってあげないとと,いたたまれない思いがこみ上げ,目がしらが熱くなりました。
清水一雄氏,清水修二氏,この2人は,委員の中でもリベラルな言動で知られる立派な医系ないしは文系の学者として世の中では評価されているといいいます。確かに,形だけの記者会見をやり,さしたる説明責任も果たさず,多忙を理由に逃げるように記者会見場から立ち去っていく「ニセモノ仮面」の諸侯達に比べれば,その後も会場に残って厳しい記者らからの質問に答えようとした2人の姿勢は評価されるでしょう。
しかし,その質問に対するこの2人の回答はいったい何なのでしょうか。たとえば文系の清水修二氏(福島大学副学長)。100mSv以下なら安全であるかのごとき嘘八百が巷に意図的に流布され,さまざまな(本当の意味での)「(安全安心)風評被害」を生んでいる現状を改めるべく,朝日新聞の本田雅和記者の「説明の仕方を少なくとも国際放射線防護委員会(ICRP)のLNT仮説に沿って変える,というおつもりはあるのか」の質問に対して,まるで入れ歯の入れ替えをしているかのごとき「ふにゃふにゃ」答弁を行い,「100mSv=事実上閾値説」のインチキを,学界・学者の一般的見解と県民・国民一般人の受け止め方との差に解消する,いわゆる「安全と安心の違い」論のようなものに矮小化しています。
あるいは,医系の清水一雄氏(日本大学内分泌外科教授)。甲状腺検査機器類が新しく精緻になったから,これまでみつからなかった甲状腺ガンやその兆候が見つかったにすぎない(子ども甲状腺ガンの数が増大しているとは言えない),放射線被曝線量と甲状腺ガンとの関係も,ガンにはさまざまな原因があるから何とも言えない,青森・山梨・長崎での疫学的調査との比較も有意な何かを引き出せるようなものではなく,またチェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国での子ども甲状腺ガンの発生状況との比較も単純にはできない,などなど,現段階で子ども甲状腺ガンについて心配などしなくてもよい,と言わんばかりの回答を,ながながと,つべこべと並べ立てて行いました。また,朝日新聞の本田雅和記者の「検査結果は本人が情報公開請求をしなければ入手できないような現状を医者としてどう考えるのか」の質問に対しても,はぐらかしのような回答しか行おうとはしないのです。
彼らは,このままでは「ニセモノ仮面王国」の仮面をかぶった諸侯達のままで終わってしまいそうです。そしてそんなことが許されるはずもありません。記者会見場では,フリーの記者を中心に鋭い質問が飛んでいましたが,概して,回答に対する再追及が甘い・弱いことに加え,既存メディアの記者の中には,依然としてボケたような質問や,バカバカしい「ちょうちん質問」をする者もいます。いささか,物足りなさを感じさせる記者会見での記者達の追求ですが,それにさらなる迫力を持たせるためにも,この「ニセモノ仮面」諸侯たちの「仮面」を,徹底してひきはがしてやろうではありませんか。
彼らに必要なのは,求められているのは,「福島県民健康管理調査検討委員」としての「特権」や「保護」や「秘密の厳守」や「安定した検討の場」などではなく,県民・国民に対する説得力のある説明責任であり,それ以上に,一人でも原発事故による放射線被曝での健康被害を出さないための施策を徹底して前広に打ち出して行くということです。子ども甲状腺ガンについて言えば,それは従来型の大人の甲状腺ガンとは違い,ガン化の進行が早く,年齢が若いほどダメージも大きく,そして危険性も高いことを念頭に,早期の発見・早期治療や,これ以上の被曝を避ける・させないための多くの対策などが打ち出されてしかるべきなのです。また,当然のことですが,甲状腺ガン以外の放射線被曝による健康被害,とりわけ恒常的な低線量内部被曝に対する徹底した警戒に基づく対策・施策・被曝医療なども検討されなければなりません(例:甲状腺検査以外に,血液検査,尿検査,心電図検査(セシウム心筋症他),DNA/エピジェネ検査,WBC,バイオアッセイ(歯や髪の毛等)などの定期的セット検査)。
もし,それができないような委員であるのなら,即座に自ら委員を辞任していただきたいものです。リベラルと言われる2人の清水氏についても同様です。
*(必見)記者会見~第11回「県民健康管理調査」検討委員会 - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=ktOjc0zllcQ
*「県民健康管理調査」検討委員会 委員名簿(2013年5月24日:新メンバー)
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/kentouiinkai-meibo.pdf
*「福島県民健康管理調査検討委員会」HP
*「福島県民健康管理調査」の結果について
http://onndannka.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-6f0b.html
<別添PDFファイル:田中一郎作成>
(1)レジメ2013年6月5日付「福島県民健康管理調査検討委員会」資料より(2013年6月7日)
(2)「福島県民健康管理調査検討委員会」資料から(2013年6月9日)
<記者会見VTRにおける記者達の質問:例>
記者達の質問は核心をついた鋭いものが多く出されたが,それに対する回答のほとんどは「はぐらかし」である。しかし,その回答に対する更なる追及は,ちと甘い・弱い。具体的な回答はVTRを直接ご覧いただきたい。下記には,代表的な質問だけをいくつか例として書き出しておく。
<1>説明責任を果たさずに一方的に記者会見を打ち切らないでいただきたい。別途,記者会見の時間を十分にとって,納得のいく説明をしていただけないか。
<2>子ども甲状腺ガンの検査結果(今回は中間報告)をどのように評価しているか,一次検査・二次検査終了者のそれぞれの数字に対してどうなのか,2011年度・2012年度の違いや地域(3.11時点居住地)での相違を踏まえての評価はどうか,現状は子ども甲状腺ガンの多発と言えるのか,福島第1原発事故との関係はどうか,基本調査の線量評価とのマッチングはしないのか
<3>秘密会などの経緯から委員の入れ替えが行われたが,①弁護士への委員就任(再)要請をなぜしないのか,②責任重大の事務局が変わってないのはおかしいではないか
<4>妊産婦の異常出産の現状を福島県の過去の状況と比べないのか
<5>血液検査結果は性別・年齢別だけでなく地域別・線量別に出さないのか
<6>甲状腺検査をしているのが技師で受検者の質問に答えられない人が多いが,どう改善するのか,福島県ではなく,国が引き受けて体制を充実させるべきではないのか
<7>100mSv以下では健康被害は認められない=心配ないという説明や表現はおかしいので,どう変えるのか(上記)
<8>環境省の青森・山梨・長崎の疫学的調査(4,500人)では44人の二次検査が必要とされたが,この調査結果と比較してどうか,また,この44人の二次検査は行わないのか。母数の数が少ないし年齢調整を行っていないので,甲状腺ガンなどの比較資料として使うのは難しいのではないか
<9>甲状腺ガン検査の対象者年齢を引上げないのか(年齢が上がるにつれて甲状腺ガンの発見数が増える傾向あり)
<10>嚢胞の発見数に対する所見は,それは専門家としての根拠のある見解か,それとも感想か
<11>甲状腺ガンの発見人数についてどう受け止めているか
<12>大規模な子ども甲状腺ガンの疫学的調査を長期にわたってやることについて,やるべきだとおっしゃっているので,国に対して今後要請するのか
<13>発見された甲状腺ガンの数は統計学的に多発ではないのか。統計学的な考察や判断をまずやって,多発かそうでないかをはっきりさせてから,その原因究明に向かうのが筋ではないのか
<14>鈴木真一氏(福島県立医大)の話では,チェルノブイリでは子ども甲状腺ガンの潜伏期間は4年としているが,スクリーニングの機械がよくなっている現状では,この4年はもっと早くなる可能性はありますね?
<15>「福島県民健康管理調査検討委員会」は3か月に1回しか開催されず,記者会見も不十分なまま打ち切られている。改めて,別の場を設けて説明会開催をお願いしたい。
<16>甲状腺検査の結果の本人への還元の仕方がおかしいのではないか(何故情報公開請求などをさせるのか),医者として,こんなことが許されるとお思いか,モラル的にどうか
<17>甲状腺ガンの発生と放射線被曝線量との関係をどう考えているのか
<18>国連人権理事会のアナンド・グローバー氏の特別報告(日本政府への勧告)をご存じか,それをどう生かすのか,清水一雄氏は「知らない」と答えたが,その勧告は「福島県民健康管理調査検討委員会」の委員への皆さまへお配りしたというNPOがあって,それに関する要望書まで出して記者会見もしている,委員会で配布されていないのか
草々
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