昨今の放射性物質の降下量について (福島県と東京都:役所が公表しているものから)
前略,田中一郎です。
下記サイトは,福島県及び東京都における放射性物質(放射性セシウム及び放射性ヨウ素のみ)の降下量の測定値,並びにその関連サイトです。放射性物質の降下量は,それぞれ東京都の外郭団体,及び福島県庁が測定して公表しているものです。
<福島県>
*福島県ホームページ - 組織別 - 定時降下物モニタリング結果
*定時降下物から放射性セシウムが比較的高い濃度で検出された要因について(2012年2月6日福島県災害対策本部(原子力班))
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/download/1/koukabutsu-youin0206.pdf
<東京都>
*環境放射線測定結果 - 1か月毎の降下物の放射能調査結果
http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/mon_fallout_data_1month.html
*東京の放射性降下物(セシウム)が増加している。と話題 日々雑感
http://hibi-zakkan.net/archives/26912967.html
<原子力「寄生」庁>
*東日本大震災関連情報
放射線モニタリング測定結果等 原子力規制委員会
http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/index.html
<東京電力:福島第1原発からの放射性物質放出量>
*原子炉建屋からの追加的放出量の評価結果(平成25年5月)(東京電力環境線量低減対策:2013年5月30日)
http://www.tepco.co.jp/life/custom/faq/images/d130530_05-j.pdf
*放射線・除染|東京電力
http://www.tepco.co.jp/life/custom/faq/faq_02-j.html
<内部被ばくを考える市民研究会:川根眞也さん>
*内部被ばくを考える市民研究会
今日の雪には触れてはいけない
http://radiationexposure.blog.fc2.com/blog-entry-33.html
<参考資料>
(1)福島県白河市で41,967μSv/時(6月2日16時50分)観測(ゆうなのブログ)
http://ameblo.jp/yuuna7777777/entry-11543322973.html
(2)放射性セシウムの汚染されたスリッパの写真(警戒区域20km圏内)(村松志門さんの写真アルバム:
<コメント>
(1)福島第1原発事故が終息しない中,放射性物質は日々,大気中及び地下水・太平洋に向かって放出が続いております。そこで,今現在(2013年5~6月)で,放射性物質の大気中への放出量やその降下量がどれくらいなのか,簡単にネットで検索できる範囲で調べてみました。(くどいようですが,計測されているのは,放射性セシウムと放射性ヨウ素だけで,それ以外の放射性核種は全く不問にされていることをしっかりと認識しておく必要があります。放射性キセノンやクリプトンなどの希ガス,放射性ストロンチウムやプルトニウム,ウランなどの危険な放射性物質,あるいはトリチウムなどのベータ核種などが計測されもせずに野放しにされています。福島第1原発から放出されたのは放射性セシウムや放射性ヨウ素だけではありませんし,それ以外の放射性核種の放出量も,驚くほどの大量であったことも記憶しておくべきです)
(2)まず,上記の「内部被ばくを考える市民研究会:川根眞也さん」のサイト,及び「参考資料」のサイト以外は,福島県庁や東京都(の外郭団体),原子力「寄生」庁や東京電力のサイトのデータであり,これらの団体・組織は,これまで福島第1原発事故による放射能汚染の実態や放射線被曝の状況,及びその危険性について,歪曲・過小評価・隠蔽を繰り返してきた経緯があります。つまり,それらの公表データは「マユツバ」で見ておく必要があるということです(信じ込んではいけない)。
(その典型事例が,福島県その他の自治体の環境放射能モニタリングポストが,いくつかの理由から実際の汚染状況とかけ離れているとか,東京都をはじめ東日本の多くの自治体の放射能モニターが,例えばビルの屋上で放射能を計測するなどの,福島第1原発事故後の汚染実態を現さないような計測をしていたことなどです。東京電力や原子力「寄生」庁などは論外で,特に原子力「寄生」庁は,データの改竄やゴマカシのしやすい「シーベルト」(線量)の計測値は公表しておりますが,放射能の降下量そのものの値であるベクレル値の公表は,一般の人が容易に検索できるサイトには掲載されていないようです:電話で確認しようとしましたが,担当者不在を理由に確認できませんでした)
(3)更に,一般論ですが,放射能の量や,それに基づく対応・対策を考える場合には,線量を現す数値である「シーベルト」を基準に考えることは,いくつかの理由から,判断を誤り,また,原子力ムラの「策略」に乗せられてしまう危険性があります。放射能汚染の状況把握や対策・対応の判断基準などは,あくまで「ベクレル」値でなされるべきです。土壌汚染や海洋汚染などもそうですし,今回問題にした放射性物質の降下量などもそうです。
(①「シーベルト」値は,時々刻々,様々な理由で変化し,測定したい地点の放射能汚染の状況をストレートには現さない,②「シーベルト」値を計測する機器類にビルトインされている「アルゴリズム」に疑義が出始めている(値が小さく出るように仕組まれている可能性),③「シーベルト」という概念が,外部被曝はともかく,内部被曝については,その実態と大きくかけ離れ,およそ内部被曝の危険性を推し量る尺度としては現状のままでは不適切であること,④従って「シーベルト」という線量単位・放射線被曝の単位は,放射能汚染やその危険性を改竄したりゴマカシたりしやすい「原子力ムラの小道具」と言ってもいいような代物です等)
(4)放射性物質の降下量は,大きく分けて,福島第1原発から新たに放出された放射性物質と,既に放出されていた放射性物質が,たとえば地面から舞い上がる,あるいは森林などから風で運ばれてくる,などの二次的なものの2つに区分出来ます。しかし,観測される値は,この2つを区分することはできません。
(5)上記のうち,福島第1原発から新たに放出される放射性物質の量については東京電力が発表しておりますが,これが「利益相反」丸出しのデータであるために,全く信用が置けません。たとえば1号機ですが,昨今,1号機からの放射性物質の環境放出を少しでも少なくするために設置されていた樹脂製の建屋カバーが取り壊されることになりました。しかし,何故,取り壊すのかについての納得できる説明はありません。また,3号機については,核爆発の疑いを掛けられている使用済み核燃料プールが外から見えなくするように「ふた」のようなものをかぶせる算段もなされているようです。これも説明責任ゼロのまま強行されています。
事故後2年以上が経過しているのに,事故原因の究明もせず,福島第1原発敷地を報道陣に公開もしない,事故後対策について説明責任を果たさない,放射性物質の放出を防ぐような手立てを打とうとしない,福島第1原発で働く・働いた現場作業員への取材活動を妨害する,福島第1原発事故関連情報の情報を公開しない・公開請求すると「まっくろけ」の墨塗り状態を平気で提出してくる,危険極まりない4号機の使用済み核燃料プールをはじめ福島第1原発をいつ襲うかもしれない次の大地震・大津波に対して全くの無防備状態,・・・・・これが東京電力,およびそれを指導監督する立場にある原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の実態なのです。
(6)(上記の公表データから)おおざっぱに申し上げますと,福島県の放射性物質降下量は,毎日数十~100ベクレル/m2のペースであり,東京都の場合は,1か月合計で数~数十ベクレル/m2ということです。福島県と東京都では放射性物質の降下量に大きな差があります。(日々ベースか,月次ベースかの違いなどで,300倍以上の開き)
しかし,福島県も東京都も,時折「異常」と思われる突出した大量の放射性物質が計測されたりもしておりますので,放射能汚染の推移が落ち着いてきたなどとはとても言えない状況です。(たとえば,福島県では2012年の年初に,通常時の測定結果の何倍もの放射性物質が検出されたり,東京都でも,2013年の1月から3月にかけて,放射性物質の降下量の増加が計測されるなどしています)
(7)更に更に,上記<参考資料>サイト(「福島県白河市で41,967μSv/時(6月2日16時50分)観測(ゆうなのブログ」)にあるような,驚くような観測値も時折ありますので,福島第1原発の周辺のかなり広範囲の地域は,依然として危険なままと言っていいでしょう。
(8)こんな汚染のひどいところ=放射性物質降下のひどいところへ,避難をしている住民を帰還させたり,今も住み続ける住民に本当のことを知らせないまま,子どもや若い妊婦さんも含めて定住させ続けていることは,許されない「未必の故意」の「殺人未遂」「障害未遂」の犯罪的行為であることを強く申し上げておきたいと思います。これは何も福島県だけに限った話ではなく,栃木や群馬の北部山地地域や,茨城・宮城・千葉・岩手・埼玉・東京・新潟などの各都県のホット・スポット地域についても言えることです。
(9)政府や汚染地域の多くの自治体は,まず真っ先に求められている避難や疎開などの住民対策には一瞥もくれずに「一に除染,二に除染,三四がなくて,五に除染」を繰り返しておりますが,たとえば農地や森林の除染は容易なことでは進展せず,また上記で申し上げた放射性物質の大量の降下によって,除染後数カ月したら「元のもくあみ」に戻るなど,むなしくも愚かな対応を繰り返しております(それはまるで安部公房著作の小説『砂の女』のごとくであります)。もちろん,住宅地の除染作業もずさんで,環境省が定めた杓子定規な「除染作業基準」に振り回されて,費用対効果の面でも劣悪なパフォーマンスが続いています。
(10)いすれにせよ,福島県をはじめ福島第1原発周辺の県はもちろんのこと,200km以上離れた東京でも,福島第1原発事故後の継続的な放出放射能の降下による汚染は今も続いており,それぞれの地域に住む住民は,外部被曝と内部被曝の両面から,徐々に徐々に被曝させられ,健康をむしばまれているということです。許し難いことであって,私は福島第1原発事故被害者による1,000万人訴訟を東京電力と原子力産業,及び政府に対して起こしていいのではないかと思っているところです。
また,福島第1原発から今も放出される放射能は,大気中への放出のみならず,地下水や海洋への放出が深刻さを増しており,地下水や海の汚染を通じて(つまり飲料水や食品や生態系の汚染を通じて),こちらも徐々に徐々に我々日本国民の首を締め始めているのです。
こうした中,自民党と安倍晋三政権は,全国の原発・核燃料施設を再稼働させるべく,原子力「寄生」委員会・「寄生」庁を手下に従えて,全力で駆け出し始めています。
草々
<追>
*朝日新聞デジタル:政府、再除染認めない方針 自治体に非公式伝達 - 3.11 震災・復興
http://www.asahi.com/shinsai_fukkou/articles/TKY201306150427.html
これは何を意味しているか,簡単に申し上げれば,次のようなことです。
(1)除染は住民の生活や放射線被曝防止のために行われているのではなく,①政治や行政の「汚染対策やってまっせ」のアリバイ行為や宣伝のため,②被害者住民に帰還・定住を押し付ける口実として(=東京電力の賠償負担軽減のため),③除染事業の利権の山分けのため(財政資金へのシロアリ行為),に行われていること
(2)「除染」なるものが始まった2011年の当初から申し上げているように,除染など「できもせん除染」であること,従って「除染よりも避難,除染するにしても避難」であること
(3)このまま行けば,被害者・被曝者切捨てと,原子力推進・原発・核燃料施設再稼働が始まること。
国民は一刻も早く,国政選挙を含む様々な方法で,自民党などの原子力ムラ・原子力複合体を退治しなければ,やがて彼らに「心中」を強要され,または「切り捨て」られる運命にあることを認識すべきです。
早々
« 「福島県民健康管理調査」の結果について(2013年6月5日付「福島県民健康管理調査検討委員会」資料) | トップページ | 海と魚が放射能で汚染されていく : 昨今の都道県別放射性セシウム汚染状況 »
「放射能汚染」カテゴリの記事
- トリチウム(三重水素)の恐怖(2015.04.28)
- (メール転送です) トリチウムについて(第60回 伊方ウォークの報告〈広島〉)(2015.03.24)
- 何度でも申し上げます = 木質燃料が危ない!木材も危ない! (「ママレボ通信」サイトの記事より) :「薪」の放射能汚染と,それを巡る国,自治体,そして東京電力の態度(2015.03.24)
- 放射能モニタリングさえもまともにできない人間たちが原発をコントロールできるはずもない:原発敷地及び周辺地域の放射能モニタリング体制を再点検・監視しましょう(2015.03.18)
- (報告)原発汚染水問題に関する緊急政府交渉:「世界最高水準の原子力規制」という「世界最大水準の嘘八百」の下、「世界最低水準の原子力規制当局」のありようがよく見えた(2015.03.13)
« 「福島県民健康管理調査」の結果について(2013年6月5日付「福島県民健康管理調査検討委員会」資料) | トップページ | 海と魚が放射能で汚染されていく : 昨今の都道県別放射性セシウム汚染状況 »
コメント