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2013年6月27日 (木)

「食べて応援」などしなくていい,汚染物は「買ってはいけない」

 昨日(6/25),農林水産省は下記の通知文書をHPに公開し,都道府県や業界団体,及び国公立・私立の各大学にまで,被災地産の食品への「食べて応援」(従ってまた,事実上「買って支援」)の呼びかけを行いました。

 

*農林水産省HP:「東日本大震災について~被災地域の振興に向けた被災地産食品の活用促進について~」

 http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/ryutu/130625.html

 

 農林水産省のこうした措置は今に始まったことではなく,遡れば約2年半前の福島第1原発事故の直後から続く,放射線(内部)被曝軽視・無視の,軽率かつ狡猾な行政姿勢・方針です。そして,愚かなことに,これに真っ先に便乗したのが各地方自治体(特に県庁)とJAグループであり,続いて地場の食品産業(流通を含む)がそれに続きました。

 

 本来,農林水産省はもちろんのこと,厚生労働省や消費者庁も含め,国民の食の安全確保に関して重い責任を負う政府の各省庁,ならびに食品の産地として消費者・国民に対して,いかなることがあろうとも危険なものは供給してはならない使命と役割を持っている各自治体(特に県庁)は,まずもって放射能に汚染された飲食品が出回ることのないよう,検査態勢の抜本的拡充や未然防止対策,あるいは食品流通上での措置(抜き打ち検査等)も含めて,食の安全に力点を置いた万全の対応をとるべきでした。

 

 しかし,こうした日本の役所がやったことは,まさにその真逆の反消費者的・反国民的措置,背信政策そのものであったのです。消費者・国民の命と健康を守る,地元自治体に住む住民の命と健康を守る,という自治体としての最も重要な存在意義と政策目的は,原子力ムラ政府に尻尾を振る馬鹿もの指導者や幹部達によって棚上げにされてしまいました。おそらくは,関係者の放射能汚染と放射線被曝に関する甘い観念がそれを促したのでしょう。以下は,そのほんの一端を書いたものです。

 

(1)食品汚染検査体制の貧弱なままの放置(検査数の少なさと特定品目への極度の偏り=統計的有意性から見ればやってないのと同じ,放射性セシウム以外の無検査または検査結果の隠蔽他),

 

(2)改定してもなお100ベクレル/kgという信じがたい高レベルの残留放射能規制値の制定と,それ以下なら何の健康上の問題もないかの如くに言う嘘八百の安全キャンペーン=実際はそんなものを食べ続ければ非常に危険な状態に陥る。当初は500ベクレル/kgを規制値にしていたので,放射能汚染ゴミの基準の100ベクレル/kg5倍もの,まさに放射能汚染ゴミそのものが食品であると公認され,その後の改正でも「限りなく放射能汚染ゴミ」に近いものが食品とされた。要するに,貧乏人は放射能汚染ゴミを食え,ということである(昔は「麦を食え」だった)。

 

 また,規制値をいろいろ決めても,それらを遵守させる仕事は全て現場に丸投げされているので,ほとんど実効性を持っていないことが多い。よく,流通している食品は安全だなどと言われるが,それを担保するものは何もない。そう願っている,程度の話である。巷では,規制値を超えた汚染食品は,汚染していないものと混ぜ合わせれば規制値がくぐり抜けられると思っている節がある。農林水産省の役人までもが,そのようなことを推奨していた時期もあった。

 

(3)加害者・東京電力や事故責任者・国の放射能汚染に対する被害者向け賠償・補償・再建支援の費用負担を極限にまで圧縮するため,①そもそも賠償に応じない・応じさせない,賠償する場合でも出来る限り支払時期を先送りする・引き延ばす(兵糧攻め),②賠償金額を屁理屈をつけて値切る・そのために御用人間を動員して原子力損害賠償紛争審査会なるものを設置し,賠償負担削減の合理化を図る,弁護士など法曹界を去勢する,③生産者・農家の農作業被曝を度外視して,信じがたい汚染農地での農業再開推進を行政・JA・産業界とともに大々的に展開する。④それを「農業の復興」と称して褒めたたえ,「がんばる被災地」キャンペーンで消費者・国民の同情をかき集める。⑤少しずつ出始める健康被害については,そんなものは放射能とは無関係・具合が悪いのは気のせいだ,として,被害者をもみつぶす。等々の施策を組織的に展開し,重大な人権侵害行政を強引に推し進めている。

 

(4)更に許し難いことは,学校教育の現場にまで土足で踏み込み,学校給食や現場実習(農作業等)で放射線被曝を強要するかのごとき教育行政を展開し,今までさして熱心でもなかった「地産地消」を3.11以降はことさらに叫び始め,地域住民や地域の生徒達・子ども達に放射線被曝を押し付け始めていることである。これは,放射能の危険性を顧みない,半ば頭がおかしくなった馬鹿もの達による「子どもホロコースト」にも近い行為と言う他ない。何を馬鹿なことをやっているのか,ということだ。

 

(5)頭狂(東京)大学を筆頭に,科学者としての誇りも良識も良心もかなぐり捨てて久しい,「御用人間」の代表のような大学教授達が,そのアカデミズムの権威を利用して「放射能は安全です」「放射線被曝は心配いりません」「低線量ならかえって健康にいい(ホルミシス効果)」などと,またぞろ無責任な嘘八百を放言し始めた。文部科学省の「放射線教科書」がそれを象徴的に現している。「原発安全神話」にとって代わる「放射線安全神話」の擁立が狡猾に推し進められている。

 

(6)飲食の放射能汚染と,それによる恒常的な低線量内部被曝を懸念する賢明な消費者=特に子どもを持つ母親達は,こうした放射能軽視・放射線被曝無視の歪んだ行政と,似非科学者の馬鹿踊りに大きな懸念を抱き,それぞれが,あるいは同じ思いの人達が協力し合って,可能な限りで飲食による内部被曝を回避する取組を始めた。自主測定などはその一つである。

 

 それに対して,政府・自治体・JA/JF・食品産業界・馬鹿踊り学者達は,「風評被害」という言葉を使い,こうしたまっとうな消費者に対する「翼賛社会的バッシング」で対抗し,更には法的手段を使ってでも,こうした消費者の自己防衛を踏みつぶそうとしている。政府や自治体などは許し難いけれど,そもそも生協・農協・漁協も含め,放射能汚染物を拒否する消費者に対して,平気で「風評被害」などという言葉を使う「協同組合」とは,いったい何の組合か,何の協同をしているのか?

 

(7)飲食の周辺物に対する無頓着(食器,加工補助材料(例:ヌカ,ウメジソ,あくぬき灰),調味料・添加剤,木材・木炭・薪,花き,皮革製品,肥料・飼料・原木,医薬品・薬草,化粧品他),外食・加工品の汚染放置あるいは業者への丸投げ,とにかく検査・調査していないのだから危なくてしょうがない。

 

(8)放射能汚染の度合いを示す単位当たりのベクレル数値の「単位」を出来る限り小さくとり,見かけ上のベクレル数値を小さく見せる。(例:/m3 ⇒ /cm3,/m2 ⇒ /kg(約1/50~1/ 60になる),/kg,/t ⇒ /g他)

 

(9)飲食品に係る放射能の汚染状況は全く表示されない

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 まだまだ,飲食の放射能汚染を巡るおかしなこと,危なそうなことはたくさんあるでしょう。

 そして,我々がこの農林水産省の通知文書を見た時に,なすべきことは,言うべきことは,次のようなことではないでしょうか。

 

1.「食べて応援」などしなくていい,「買って支援」などしてはいけない。かようなものは加害者・東京電力や事故責任者・国の賠償・補償責任を含む福島第1原発事故の責任を覆い隠すために行われている「似非キャンペーン」である。

 

2.そんなことよりも,加害者・東京電力や事故責任者・国は,被害者に対する賠償・補償・再建支援を即刻万全に行え。「原子力事故による子ども・被災者支援法」はどうなっているのか。事故責任の尻を消費者・国民に向けるな。

 

3.放射能で高濃度に汚染されたところでの農業を含む全産業を直ちに停止せよ(少なくとも5.2mSv/年以上)。

 

4.高濃度汚染地域に住む被害者住民,生産者・農家,食品産業を直ちに避難・移住させよ,無用の被曝回避を最優先とせよ。

 

5.除染は5.2mSv/年(というより3~5万ベクレル/m2)未満の低線量地域の住宅地を中心に綿密に行い,除染を行う場合でも,住民は一時的に避難させよ

 

6.放射能汚染の危険性があるものは徹底して買わない,食べない=下記の四大危険物は,産地いかんにかかわらず危険なので(汚染栽培土等の流通や産地偽装があるから),近寄らないのが無難,但し,輸入食品は別の危険性があるので全くお勧めしない=特に途上国産品や米国産は眉唾物

 (四大危険物:山菜・きのこ,川魚,家畜の内臓類・野生生物の肉,東日本産の海産物)

 

7.政府・農林水産省や各関係自治体,JA/JF及び食品産業は,くだらないキャンペーンをやめて,飲食の安全確保・放射能汚染物の販売禁止へ向け全力を挙げよ,検査体制の抜本的拡充に加え,汚染物でも平気で販売する悪質業者の徹底排除を行え,そしてすべての費用は,消費者・国民に転嫁するのではなく,加害者・東京電力や原子力産業に負担させよ。

 

8.「御用仕事」しかできない大学教授達を大学から追放せよ

 

9.賢明な消費者・国民への「風評被害」誹謗中傷キャンペーンをやめよ。「原子力翼賛社会」を拒否しよう。

草々

 

 

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