住民生活の再建なくして復興なし (人間よりも企業・産業を優先する福島復興再生特別措置法:被曝もみ消し・被害者切り捨てを許すな)
前略,田中一郎です。
別添PDFファイルは,昨今の法令解説雑誌の掲載された「福島復興再生特別措置法」の概要説明です(著者は復興庁の役人)。読んでみますと,この法律は,一方で福島県民・住民の無用の放射線被曝回避のための対策をおろそかにし,他方では,福島県の「復興」を口実にして,通常時にはできそうもないやり方で産業・企業を優遇・優先する大盤振る舞いを法律によって「合理化」しようとしているように見受けられます。被曝回避や健康管理,あるいは生活再建・自営業者の経営再建など,肝心かなめの被災者住民の復旧・復興が二の次にされているように思えてなりません。
ひょっとすると,この法律の枠組みの背後で政・官・業の「復興利権」が渦巻いているのかもしれません。原発事故・原発震災の被害者に対する万全の賠償・補償政策と並行して,どうして住民本位の,住民が主役の,住民の生活・経営再建を主眼とした法律ができてこないのでしょうか。おかしな,おかしな,ほんとにおかしな原発震災復旧・復興政策がなされようとしています。以下,その問題点を具体的に略記してみます。
<別添PDFファイル:添付できませんでしたので図書館等でご覧下さい>
・福島復興再生特別措置法(『時の法令 NO.1914』(2012年9月30日)
<福島復興再生特別措置法 サイト>
*福島復興再生特別措置法の概要(復興庁)
*福島復興再生特別措置法(復興庁)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/000783.html
*復興庁 福島復興再生基本方針,及び関連施策[平成24年12月17日]
http://www.reconstruction.go.jp/topics/post_131.html
*日本弁護士連合会│Japan Federation
of Bar Associations:福島復興再生特別措置法成立に関する会長声明
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120330_2.html
<この法律のどこがおかしいか>
1.福島第1原発事故は収束していない
福島第1原発事故が収束していないという認識が不十分です。ご承知の通り,福島第1原発の4号機・使用済み核燃料プールは危機的な状況にありますし,その他の号機の原子炉内の様子は全く不明で,メルトダウンした核燃料がどこにあるのかもわからない状態にあり,事故原発は今でも危険な放射能を出し続けています。また,使用済み核燃料プールは4号機だけでなく,1~6号機まですべて存在していて,そこに危険な核燃料が入れられたままです。
更に,福島第2原発の方はどうなっているのでしょう。報道されませんから,第2原発の状態はほとんど分かりませんが,少なくとも使用済み核燃料プールについては危険なままではないのでしょうか。
今の状態の福島第1原発・福島第2原発を,再び震度6強以上の大地震,あるいは東日本大震災並の大津波が襲えば,たちまち第二次原発震災となることは必至だと見ておいていいでしょう。しかし,インドネシア・スマトラ沖の大地震の例にもあるように,太平洋の西側周辺では地殻の変動期に差し掛かっている様子もあり,大地震は往々にして近接域で再発を繰り返す可能性があるのです。
福島第1原発・福島第2原発を再び襲うかもしれない大地震・大津波に対して,何の対策らしき対策を行わず,住民に対しても堅確な「防災指針」を明らかにすることもなく,東日本大震災と福島第1原発事故はすべて終了したかのごとき認識で書かれている印象を受けるこの法律は,明らかにおかしいし,危機意識が欠如しています。
(たとえば,福島第1原発・福島第2原発周辺地域の「警戒区域」(原則立入禁止)を解除するなどというのは時期尚早も甚だしいし,それを賠償・補償とリンクさせて被害者住民に「警戒区域再編」を「強要」したり,住民の帰還を促進したりしていることは,著しい不適切政策・人権侵害行政です。近い将来,また再び原発が放射能を噴き出すかもしれない,そんな危険な区域に戻って住め・定住せよというわけですから)
2.何故,住民を放射線被曝から守らないのか
住民が受ける危険極まりない放射線被曝に対するこの法律の基本的な姿勢は,「福島県民健康管理調査検討委員会」と同じで,「放射線による健康上の不安の解消」です。この法律が目的の一つとするところの「住民が安心して暮らすことのできる生活環境の実現」というのは,住民の無用の放射線被曝を可能な限り防ぐことによってではなく,放射線はそれほど危険なものではないから安心しろ,という「説教」を,国や自治体や教育機関や御用学者やマスコミや地域の一部有力者や会社経営者らが,手を変え,品を変えて行うことにより実現していきます,ということを意味しています。
いわば,住民の放射線被曝への懸念や不安を,原子力推進の御用言説で包囲し,権力と金の力で押さえつけ,放射線被曝への懸念や不安さえも口外させない,一種の「原子力翼賛社会」を徐々に徐々に創り上げて行こうというものです。放射線被曝は,それ自体が危険なのではなく,放射線被曝を心配し過ぎることが危険である,不安は放射線被曝の危険性からうまれるのではなく,誤った被曝認識に基づく「風評被害」から生まれる,これがこの法律に書かれている一貫した,断固とした「住民への被曝対策の考え方」の基本なのです。
この姿勢から必然的にもたらされるのは,実際に放射線被曝によって健康被害が出てきた場合の被害者の切捨てです。住民がガンや白血病を患っても,それは放射線被曝とは関係がないと突き放され,ガンや白血病以外の健康障害に苦しむことになっても,それは放射線被曝とは関係がないからお門違いだと蔑まれ,そして,それを放射線被曝と結び付けて考えようとする被害者には「非国民」「非県民」のレッテルが張られてバッシングを受ける,そういう状態がつくりあげられようとしているのです。
先般,新たな子ども甲状腺ガンが発見されたときに,早くも行政当局はこの「被害者切捨て」姿勢を鮮明にし,さしたる医学的根拠もないままに「放射線被曝とは関係がない」と言い放ちました。この彼らの姿勢は,今後,どれだけ福島県やその他都県のホット・スポットに悲劇が累積していこうと変わることはないでしょう。何故なら「被害者の切捨て」は,原子力を推進する上では絶対に必要不可欠だからです。
3.「帰還」あれども「避難」なし
繰り返しになりますが,住民の被曝回避対策は,①そもそも被曝しないようにする=被害者住民の避難,疎開,移住,一時保養を積極的に推進する,②住民の放射線被曝の危険性に関する認識を高める(人間の五感で捉えられないが故に一層危険である旨を,その原理的な仕組みから説明し,かつICRPに代表される「原子力御用学説」の危険性・非人間性・犯罪性を明らかにする),③被曝医療体制や健康診断を充実させる,の3つの面から充実されなくてはいけません。もちろん被害者は,これに伴う一切の費用負担は無用の形で,避難や疎開や一時保養にも対応できるよう,日本全国どこにおいてもこうした放射線被曝への対策が受けられるように手配されるべきです。
しかし,こうした「当たり前のこと」が,この法律では,捻じ曲げられ,簡素化され,ケチられて,単なる美辞麗句のお題目に留まってしまっています。
申し上げるまでもありませんが,この法律では「避難解除等区域の復興及び再生のための措置」と称して,被害者住民を,未だ猛烈な放射能汚染状況にある「警戒区域」等への「帰還」「帰宅」「再定住」の大々的促進をうたっております。公共施設を充実させましょう,企業を誘致いたしましょう,税金を軽くしてさしあげましょう,お金を貸してあげましょう(お金をあげましょうとは言わない)等々,あれやこれやの「猫なで声」で,住民に向かって♪♪「帰ってこいよ」♪♪をさえずっています。
しかし,他方では,住民の避難や疎開や一時保養などの便宜を図り,移った先での住居や仕事や生活の安定を確保し,医療や健康診断の利用を適切に提供するという観点からの対策は,ほとんど「リップサービス」の域を出ておりません。それはまるで「帰ってくるのはいいけれど,外に出て行くのはまかりならぬ」と,この法律が住民に言い放っているかのごとくです。「避難する権利」「移住する権利」「放射線被曝を回避する権利」は軽視され(あるいは無視され),「帰還する権利」「汚染地域に住む権利」が声高に強調されています。
「福島県民健康管理調査検討委員会」が進める放射線被曝管理・被曝医療・健康診断などの出鱈目は,ここでは論じないことにいたしましょう。既に,下記のような市民のウォッチドッグ・グループが形成され,活動が始まっております。3月7日の集会をはじめ,今後のこのグループの活動に注目していきましょう。
(参考)「放射線被ばくと健康管理のあり方に関する市民・専門家委員会」
*3/7の緊急院内セミナーでこれを踏まえて政府と対話します。こちらもぜひご参加を!
http://www.foejapan.org/energy/evt/130307.html
*福島県県民健康管理調査の問題点および健康管理のあり方について緊急提言を提出
http://www.foejapan.org/energy/news/130228.html
*(環境省・復興庁・福島県への提言)
http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/130228_1.pdf
*(原子力規制委員会への提言)
http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/130228_2.pdf
4.「避難解除等区域の復興及び再生のための計画」は福島県や地元自治体ではなく国が作る,なんでやねん
この法律によれば,福島県全体の復興と再生のための「福島復興再生基本方針」は国が作り(復興庁),閣議決定することになっています。住民を主役に置かず,放射線被曝を軽視・無視し,企業・産業中心主義で,国の勝手な方針策定を促進するかのような条文になっているのは大問題だと思いますが,それ以上におかしいのは,「避難解除等区域の復興及び再生のための計画」は,福島県や地元自治体ではなく国が作る,インフラ整備などの復興事業は国が直轄で実施する,とされている点です。
その地域に住む人達が計画を作るのではなく,国が作る,他の地域に比べて復旧・復興が著しく困難だから,国が代わって作って差し上げましょう,というのです。おかしな話です。国が全面的に支援・応援するというのなら分かりますが,地元自治体や住民になり代わって,国が計画まで作り,事業も直轄でやりますというのですから,これは明らかに変です。
そして「避難解除等区域の復興及び再生のための計画」には,産業の復興及び再生に関する事項,道路・港湾・海岸その他の公共用施設の復興に関する事項,生活環境の整備に関する事項,などが定められるべきものとして明記されています。これって臭いと思いませんか。臭い,臭い,復興予算にたかるシロアリ族の悪臭がプンプンしているのです。
他方で,計画に定める事項として,住民の放射線被曝に伴う健康障害の防止や早期の生活再建・経営再建などは明記されておらず,あえて言えば「復興及び再生に関し特に必要な事項」と記載されて,「特に」の形容詞付きで定められています。言い換えれば「特に」でなければ,計画にも入れないぞ,ということです。
また,これら住民対策の最初の部分には「将来的な住民の帰還を目指す区域における避難指示の解除後の(取組や措置)」という修飾語がかぶせられ,あくまでも「帰って来る者」には国がこの計画で便宜を図ってやるが,帰ってこない者・避難で出て行く者については「勝手にしろ」という「袈裟の下の鎧」がちらちらと見えているのです。
つまり,上記で書いたことの基本構図は,この法律の大黒柱の一つである「福島復興再生基本方針」や,それに基づく「避難解除等区域の復興及び再生のための計画」については,まずもって放射線安全神話の被災地福島での確立を最優先・大前提として対応をし,それを放射能汚染地域への住民の帰還と定住で,徐々に徐々に現実化していく,国はそれを法的・経済的に担保するため,方針のみならず「復興再生計画」や「復興再生事業」そのものまでもを直轄で行って,他からいらぬ”ちゃちゃ”が入らぬよう万全を期す(計画や事業の決定権を握り自分達の自在にする),そしてそれに便乗する形で,土建・ハコモノ事業や除染事業などで政・官・財の大利権連合を創設して,「復興」「再生」の名目で,堂々と大々的にやっていく・甘い汁を吸い続ける,というものに他ならないのです。
私はこの法律の解説文を読んでいて,はらわたが煮えくりかえるほどに怒りがこみ上げてきました。
5.企業・産業優先,住民は後回し・付けたし
この法律のもう一つの大黒柱は,第5章から7章に至る福島県独自の産業振興対策にお墨付きを与えているところです。簡単にご紹介しますと,
第5章 原子力災害からの産業の復興及び再生について
福島県は「産業復興再生計画」をつくることになっています。そして,この計画の実効性を高めるべく各種規制の特例措置(規制緩和)や課税の特例を行うとして,7つの規制緩和が列記され,更に政令レベルのものは必要に応じて適宜改定するとされています。
第6章 新たな産業の創出等に寄与する取組の重点的な推進について
福島県は「重点推進計画」をつくることになっています。そして国及び国の関係機関は,これに対して必要な措置を講ずるとあります。「福島県内全域においては風評被害や健康不安が著しく,他の被災地と同様の地域の自主性・創造性を活用した産業の転換や振興のための取組を進めるだけでは,福島の産業の復興及び再生を実現するのは困難な状況にある」などという説明がくっついています。
第7章 福島の復興及び再生に関する施策の推進のために必要な措置
ここにこの法律の第64条から第69条まで,全部で6つの施策が列記されています。
住民の健康や生活をそっちのけにして,産業復興だ,企業振興だ,県と国が一体になって新しい「産業王国福島」をつくるぞ,と宣言しています。この法律を作ってくれと言ったであろう福島県庁の幹部や,それを受けて,狡猾にも私利私欲の利権付きでこの法律を作ったであろう霞が関の役人,あるいはそれらを作れと命じた政治家達,この連中は,タイムマシンにでも乗って,明治時代の殖産興業・富国強兵の時代へ行くか,戦後高度成長期の日本にでも戻ればいいでしょう。アナクロニズムも甚だしいことに加え,住民の命と健康,生活や経営の再建をさておいて,何が産業復興・新産業創造なのでしょうか。
「福島県内全域においては風評被害や健康不安が著しく,他の被災地と同様の地域の自主性・創造性を活用した産業の転換や振興のための取組を進めるだけでは,福島の産業の復興及び再生を実現するのは困難な状況にある」などと,福島県民・国民は,放射線被曝を心配し過ぎて,根も葉もない風評被害に惑わされているから,全知全能の国が出て行ってちゃんとしてやるので心配するな,と「下々におふれ」を垂れています。
健康不安が著しいのは,猛烈な放射能汚染のためですし,福島の産業の復興や再生が容易でないのも,猛烈な放射能汚染をもたらした福島第1原発の事故のためです。困難の元になっている放射能汚染に対してきちんと対処しないでおいて,いくら巨額の利権事業を福島県に注ぎ込んだところで,福島県の復興・再生などはありえないでしょう。むしろ,国の甘言に翻弄された住民が汚染地域で危険な放射線被曝を続け,近い将来の健康障害の悲劇を大量発生させることにつながりかねません。風評被害など,福島県にも,県外にも存在していません。福島県民や日本国民の放射線被曝への不安や懸念は,物事の核心を見抜いた極めて適切な認識であり反応です。
なお,上記第5章から7章の中で,最も重要なのは第7章,しかも,その中の「復興交付金その他財政上の措置の活用」(第67条)の部分です。この2つの福島県が作る「産業計画」が生きるも死ぬも,ひとえにこの国の財政措置が生殺与奪の権を握っています。地方分権だの,地方自治だの,地域主権だのは,どこ吹く風の状態に貶められています。福島県は原発事故により甚大な被害を受けた挙句,その事故原因者である国によって完全に包摂され,支配下に置かれてしまっています。
それはまるで,原子力推進者の国が福島県とその県民に向かって「金をやるから原子力推進にはたてつくな,放射線被曝のことは任せておけ,被曝が危ない・心配だなどと言っとる奴らは「風評被害」の扇動者にでもしてしまえ」と暴言を吐いているようなものではないでしょうか。どうみても,こんな法律はいらないと思います。
6.何故,被害者への賠償・補償の促進と再建支援施策の一層の推進が謳われていないのか
現在の福島県民の多くは,可能ならば,経済的に可能ならば,一時的にでもいいから子どもたちとともに,家族や地域そろって他の土地へ避難し,日々の放射線被曝への懸念や不安から解放されたいと願っています。原子力翼賛の猛威が荒れ狂う中では,表立って口に出しては言えないけれども,放射線被曝が続くのは嫌だと感じています。
その思い・願いをかなえて差し上げることが,福島県の復興や再生にとっては一番重要なことのはずです。しかし,現実はどうでしょう。人々の生活再建にとって最重要の,福島第1原発事故による被害の損害賠償が遅々として進みません。進まないどころか,東京電力は加害者の分際で自分で賠償基準などを作って被害者に押し付けたり,被害者に対して損害賠償の支払いを拒否したりしています。また,支払われるべき損害金を,事務体制のぜい弱などを理由に無用に遅らせたりして,要するにもう,出鱈目の限りを尽くしているのです。東京電力曰く,「福島第1原発事故で環境に放出された放射性物質は,もはや無主物であるから,それによる被害の賠償の責任はない」などとは,よく言えたものだと思います。昔の武士の時代なら,「この無礼者!」で,一刀両断にするところです。いずれにせよ,賠償・補償が進まないと,被害者住民は身動きが取れず,進退きわまって放射能汚染地域に強制的に縛り付けられてしまいます。
にもかかわらず,国は知らん顔をしていますし,福島県庁は「リップサービス」の域を出ないようなことしかしようとはしません。これほどひどい話はないと思います。21世紀の日本が,単純な事故の被害・加害に伴う損害賠償や補償をきちんと処理できない社会であるというのは,もう信じがたいくらいに,この国がどうしようもなくなっているということなのでしょう。
本来なら,この福島復興再生特別措置法こそが,それを「正常化」し,住民への賠償・補償を促進する施策で満ち溢れていなければいけないはずです。また,昨年6月に制定された「原子力事故による子ども・被災者支援法」も,復興庁がその「基本方針」を策定しないがために,予算もつかずに店晒しにされています。
国も福島県も,「災害からの復興」と彼らが言う時には,そこには住民・県民が不在なのでしょう。
7.復興手続きからも見える住民除外の非民主的で私利私欲を優先した法律の正体
この法律の最初の大黒柱である「福島復興再生基本方針」「避難解除等区域の復興及び再生のための計画」については,いずれも国が一方的に策定するだけで,わずかに「方針」に対して福島県知事が方針変更の提案をできるにすぎません。計画や直轄事業などには事実上口出しできません。地元市町村や住民は,これらの「方針」や「計画」からは徹底して排除されています(「方針」はネット検索すると簡単に発見できますが,「計画」の方はネット上にはないようです:これも隠蔽されているのでしょうか?)。
また,福島県の復興全般に関して,国と福島県の関係者から構成される「原子力災害からの復興再生協議会」(この法律制定以前から存在していた) が,法律上の協議会として位置づけられました。しかし,その構成メンバーは,国側が,復興大臣,環境大臣,総務大臣,経済産業大臣等,福島県側が,知事,県議会議長,関係市町村長,関係経済団体の長等,などとされています。
「関係経済団体の長」までが協議会に招かれているにもかかわらず,ここにも住民代表は招かれていません。まるで住民は,福島県の復興・再生の邪魔をする問題人間集団であるかのごとき扱いです。この法律は,いったい誰のための,何のための法律なのでしょうか。
8.最後に
この法律は,福島第1原発事故に見舞われて危険な放射能汚染地域となってしまった福島県の弱みにつけ込み,復旧・復興を大義名分・口実に,原子力ムラ復活や放射線安全神話の確立と,公共事業や公共土建や企業税優遇などを通じた巨大利権王国の創設を狙った,一石数鳥のあまりにむごい悪法です。放射線安全神話の確立や,なし崩しの規制緩和,あるいは大盤振る舞いの巨額公共事業予算などは,原発事故の混乱と住民の弱みにつけ込む,一種の「ショック・ドクトリン」のようなものです。
被害者である住民はそっちのけにされ,命や健康も守られず,被害の賠償・補償もまともに受けられないまま,生活の再建もままならずに汚染地域に半ば強制的に定住させられることになってしまいます。このままでは,福島県は「原子力翼賛社会」の最先頭を走ることになってしまうでしょう。
もし,日本に良識と良心のかけらでも残っているのであれば,この法律は一から見直され,本来あるべき姿である被害者住民の完全救済と再建・再生,そしてこれ以上の被曝防止と健康対策=従って,汚染地域からの避難・移住と被曝医療に重点を置いたものに転換されるべきであると思います。
人々を復興・再生させずに,どうして福島県の復興・再生ができるのか。人の命と健康があってこその産業であり,企業であり,仕事ではないのか。国にも福島県にも,もう本末転倒は,ほどほどにしていただきたい。
草々
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